桂蔵坊
物語
昔、鳥取にお城があった頃、池田の殿様に仕える「桂蔵坊」と名乗る狐がいた。桂蔵坊は若侍に化けるのがうまく、江戸まで3日で行き帰りできるすぐれた術を持っているため、殿様に大変かわいがられていた。
ある時、桂蔵坊は殿様から言いつかった仕事で江戸に出向いた。お城からほど近い百谷の村にさしかかったところ、香ばしいよい匂いがしてくる。ふと見ると道の脇で焼きねずみを罠に仕掛けている百姓がいたので、侍に化けてわけを聞いてみたところ[2]、畑を荒らす狐を退治するために罠を仕掛けているとのことだった。
江戸で用事を済ませた桂蔵坊がその村を通りかかると、あの焼きねずみがよい匂いを放っている。罠が仕掛けられていると知りつつも、匂いに釣られ我慢ができなくなった桂蔵坊は焼きねずみに飛びつき、挟まれて死んでしまった。池田の殿様は桂蔵坊をたいそう哀れがり、お城に中坂神社を造り桂蔵坊を祀ってやったということである。
備考
脚注
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