Bunkamura

Bunkamura(ぶんかむら、文化村)は、日本の東京都渋谷区道玄坂にある大型複合文化施設である。企画展用の美術館ミニシアターコンサートホールなどで構成されている。1989年に開業した。

Bunkamura

概要

株式会社東急文化村
TOKYU BUNKAMURA, INC.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
150-8507
東京都渋谷区道玄坂二丁目24番1号
設立 1989年
業種 サービス業
法人番号 1011001025950
代表者 西村友伸(代表取締役副会長兼社長)
資本金 1億円
純利益 2700万円
(2023年1月31日時点)[1]
総資産 20億6900万円
(2023年01月31日時点)[1]
決算期 1月
主要株主 東急
外部リンク https://www.bunkamura.co.jp/

東急グループ総帥五島昇の弟分・岡田茂東映社長が1975年に開設したテーマパーク東映太秦映画村命名したことに[2]、「お前いいタイトル付けたなあ」と感心し、五島が本プロジェクトを発案[2]、同じような「〇〇村」という名前を付けた[2]

1980年代の東急グループ全体の戦略であった「3C戦略」に基づき設立された、株式会社東急文化村が運営する東急グループの施設である。

東急グループの「3C」とは「culture文化)」、「CATV(東急有線テレビ 現:イッツ・コミュニケーションズ)」、card(クレジット・イチマルキュウ 現:東急カード)の頭文字をとったもので、Bunkamuraはカルチャー(文化)の中心的プロジェクトであり、東急グループの「文化戦略」の中核を担うものである。

良質の文化を創造し提供する「発表の場」、新しい文化の育成のための「創造の場」、人・芸術・物の交流を促進する「出会いの場」の3つをコンセプトに、コンサートホール(音楽)、劇場演劇)、美術館(美術)、ミニシアター(映画)の各施設をはじめ、カフェやアート関連ショップなどがある。

かつてファンハウス(現・アリオラジャパン)が東急グループ傘下に入っていた時期には、共同で東急ファン事業を行っていた。

最寄り駅は渋谷駅渋谷スクランブル交差点界隈から文化村通りで接続する。隣接する東急百貨店本店とは各階の連絡通路で結ばれている。

2023年春以降に、隣接する東急百貨店本店が建物の老朽化に伴う閉店・建て替えにより、Bunkamuraも大規模改修工事を行い、同年4月よりオーチャードホールを除き長期休館する予定である[3]。なお、休館中の自主制作公演は、横浜みなとみらいホール東急シアターオーブTHEATER MILANO-Za(2023年4月開業予定[4])など東急グループの代替施設で開催する。また、美術館のザ・ミュージアムは渋谷ヒカリエ9階の「ヒカリエホール」などで展覧会を開催、ギャラリーは渋谷ヒカリエ8階の「クリエイティブスペース 8/(はち)」に「Bunkamura Gallery 8/」として移転、ミニシアターのル・シネマは閉館した渋谷TOEI跡に「Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下」として移転し営業を継続する[5]

沿革

  • 1964年- 渋谷区立大向小学校の土地を東急が購入。
  • 1967年- 同地に東急百貨店本店(東急本店)が開店。
  • 1982年6月 - 渋谷の商業再開発における東急の戦略を確立するため、渋谷商業開発のマスタープラン「渋谷計画1985」の作成を日本都市総合研究所に依頼。
  • 1984年2月 - 東急グループ経営会議常務会において、「東急文化村」の設立が決定。
  • 1984年4月11日 - 「渋谷計画1985」を基に東急百貨店内に「文化事業開発室」が創設。
  • 1984年6月 - 東京急行電鉄と東急百貨店の出資(約240億円)で、東急百貨店本店の隣の余剰地(同じく大向小学校跡地)にて「東急文化村」の建設が始まる。
  • 1988年 - 「Bunkamura」の管理・運営を目的として、株式会社東急文化村設立。
  • 1989年 - ファンハウスが東急グループ入りしたのと同時に、共同で東急ファン事業を展開する。
  • 1989年 - 東京フィルハーモニー交響楽団オーチャードホールと日本で初めてフランチャイズ契約を結び本拠地とする。
  • 1989年9月3日 - 日本初の大型の複合文化施設として「Bunkamura」開業。
  • 1990年 - 「Bunkamura ドゥ マゴ 文学賞」を創設。
  • 1992年 - 「創造と才能への支援」の一環から、「シアターコクーン戯曲賞」を創設。
  • 1994年 - 「シアターコクーン戯曲賞の運営」で、1994年度の「メセナ育成賞」(社団法人企業 メセナ協議会主催)を受賞。
  • 1995年12月31日 - 第一回「東急ジルベスターコンサート」開催。
  • 1999年 - 「複合文化施設Bunkamuraの運営」で、1999年度「メセナ大賞」(社団法人企業 メセナ協議会主催)を受賞。
  • 1999年 - 東急ファン事業が終了。ファンハウスはBMGジャパンと合併しBMGファンハウス(→BMG JAPAN→アリオラジャパン)となる。レコーディングスタジオ「TOKYU FUN STUDIO」はBunkamuraに売却されBunkamuraスタジオとなる。
  • 2000年4月 - 会員組織「フレンズ」発足。
  • 2002年4月 - 会員組織「倶楽部B」発足。
  • 2005年4月1日 - それまでの会員組織「Bunkamura Member's Club」をリニューアルし、「Bunkamura チケットメイト」発足。
  • 2007年10月16日 - インターネットショッピングサイト「Bunkamura オンライン市場」開始。
  • 2009年6月 - 開館20周年キャンペーンとして、「Bunkamura POINT CARD」開始。
  • 2011年7月4日 - 改装工事のため休館[6]
  • 2011年12月23日 - リニューアルオープン。
  • 2016年12月1日 - 松涛カフェがフランネル スタイル コーヒーにリニューアル。
  • 2023年4月10日- 土地開発計画「Shibuya Upper West Project」に伴い、オーチャードホールを除き2027年度まで長期休館する予定[7]

Bunkamura内の施設


(階の名前)
営業時間 特徴
6階
(シネマフロア)
ル・シネマ
  • テーマカラーは青色。マークは菱形。
  • Bunkamuraで唯一、フランス語名の施設。
  • 独自の作品選定を行う、単館ロードショースタイルのミニシアター
  • ル・シネマ1(150席)および、ル・シネマ2(126席)の2館があり、定員制・入替制を導入している。
  • 営業時間 - 上映作品により異なる。
3階
(オーチャードフロア)
オーチャードホール
  • テーマカラーは赤色。マークは四角形。
  • 世界三大ホール(コンセルトヘボウシンフォニーホールウィーン楽友協会)と同様のシューボックス型を採用した、国内最大規模のシューボックス型ホールで総客席数2,150席。
  • 高く平らな天井と垂直で大きな側壁に音が繰り返し反射し、重厚で豊かな音場を生み出す。
  • ステージに設けられた三重構造の可動式音響シェルターにより劇場としても機能し、クラシックコンサートをメインに、オペラ、バレエ、ポピュラーコンサートなど、異なるジャンルを一つの空間で提供できるコンバーチブルホール。
  • 「豊穣」をイメージとした内装となっている。
  • コンサートや演劇目的以外では滅多に利用されないが、例年4月1日は、東急グループ全社合同の入社式が行われる。6月末には東急株主総会が行われる。
松涛カフェ(レストラン)
曜日営業時間
11:00 - 19:30

(注文締め 19:00)

1階
(メインロビーフロア)
シアターコクーン
  • テーマカラーは緑色。マークは丸。
  • 総客席数747席。舞台から1階最後列の客席までが24m、客席の左右は三層のサイドバルコニー席になっており客席と舞台の一体感を実現。
インフォメーションカウンター(案内所)
チケットカウンター(発券所)
曜日営業時間
10:00 - 19:00
Bunkamura ギャラリー(芸術作品展示場)
曜日営業時間
10:00 - 19:30
  • 1階ロビーラウンジに面しており、国内外で注目を集める作家の企画展を開催。
  • 油彩、版画、立体、写真など幅広い分野のアート作品を展覧販売している。
ドゥ マゴ パリ(レストラン)
曜日営業時間
11:30 - 22:30

(注文締め 22:00)

ロビーラウンジ(レストラン)
曜日営業時間
10:00 - 19:30

(注文締め 19:00)

Bunkamura Shop
曜日営業時間
10:00 - 19:30
  • 音楽をテーマにしたアクセサリー、バッグ、ステーショナリー、デスクインテリア、服飾小物等を販売
フラワーショップ エルベ シャトラン
曜日営業時間
10:00 - 20:00
  • オリジナルデザインのアレンジやブーケをはじめ、特別オーダーもできる。
SWAROVSKI Shopスワロフスキー・ショップ
曜日営業時間
10:00 - 20:00
倶楽部B会員デスク
曜日営業時間
10:00 - 19:00
地下1階
(ガーデンフロア)
ザ・ミュージアム
曜日営業時間
月~木10:00 - 19:00(入館は18:30まで)
金・土21:00まで開館(入館は20:30まで)
  • テーマカラーは黄色。マークは三角形。
  • 所蔵作品は無く、企画・展示を運営の主体とし、近代美術の流れに焦点をあて、テーマ性・先見性・話題性を持った展覧会を開催する美術館。
  • 主に19 - 20世紀の西洋絵画展、海外美術館の名品展、女性芸術家の作品展、写真展の4つのテーマを中心に、年間4 - 6回の企画展を開催している。
  • 展示面積 - 836.6m2
  • 天井高4m、無柱で可動壁面パネルにより自由に構成することができる。
  • 入館料 - 開催する展覧会により異なる。
  • 身障者割引 - チケット購入時にチケット販売窓口で障害者手帳身体障害者手帳療育手帳精神障害者保健福祉手帳、愛の手帳、被爆者健康手帳)を提示すれば、本人および介助者(1名)の入館料が割引。
Bunkamura スタジオ(旧TOKYU FUN STUDIO)
  • オーチャードホール、シアターコクーンとのダイレクトリンクにより、ハイクオリティーなライブ録音が可能。
ドゥ マゴ パリ(レストラン)
曜日営業時間
11:30 - 22:30

(注文締め 22:00)

  • パリのサンジェルマン・デ・プレ(パリ6区にある地区)にある老舗カフェ「ドゥ マゴ」(1885年創業)の海外業務提携第1号店
  • 席数 - 180席(店内60席、テラス120席)
ミュージアムショップ(ザ・ミュージアム内)
曜日営業時間
月~木10:00 - 19:00
金・土
(展覧会がない日)
10:00 - 19:00
金・土
(展覧会がある日)
10:00 - 21:00
  • ザ・ミュージアム館内にあり、ザ・ミュージアムで開催中の展覧会関連書籍や、ポストカード、ステーショナリー、Tシャツ、アクセサリー、時計、傘等を販売。
  • ザ・ミュージアムへの入館者のみ利用できる。
ブックショップ ナディッフモダン(書店)
曜日営業時間
月~木10:00 - 20:00
金・土10:00 - 21:00
  • クルーザーをイメージした内装で、20世紀を中心にした画集、古書、美術書等を販売。
地下2階
(パーキングフロア)
駐車場
  • 東急本店地下駐車場(新館駐車場含む)278台、東急第1パーキング139台
  • Bunkamura専用の駐車場は無く、Bunkamura利用時の駐車料金の割引優待は無い。

Bunkamuraで行われてきた主なイベント

フランチャイズ・システム

  • 東京フィルハーモニー交響楽団(オーチャードホール)
    • 日本で初めてフランチャイズ契約を結び、本拠地として年8回の定期演奏会を行っている。
  • K-BALLET COMPANY(オーチャードホール)
    • 熊川哲也が芸術監督を務める日本を代表するバレエ団。2018年11月よりフランチャイズ契約を締結。都内での公演のほとんどをオーチャードホールで開催している。
  • オンシアター自由劇場(シアターコクーン)
    • 1985年から串田和美がシアターコクーンの芸術監督に就任、設計段階から関わっており、1989年より「オンシアター自由劇場」としてフランチャイズ契約を結んだが、1996年2月の「オンシアター自由劇場最終記念公演」を以って、フランチャイズ劇団としての任期を満了(解散)した。

オフィシャルサプライヤー

Bunkamuraでは文化・芸術を長期的に支援・育成してもらうため、複数の企業による単発的な協賛ではない長期のスポンサーシステムを採用している。これがオフィシャルサプライヤーである。

現在の参加企業

2020年11月現在。

過去の参加企業

会員組織

MY Bunkamura

Bunkamuraが提供するオンラインサービスの総称で、 Bunkamura、東急シアターオーブ、セルリアンタワー能楽堂のチケット販売とメールマガジン配信を行う登録制度。パソコン、スマートフォンにて利用可。

  • 2013年11月に発足し、登録無料、年会費無料、システム利用料無料である。次のような特典がある。
チケット先行販売
抽選制または先着制のいづれかにてチケットの先行販売を実施(対象外の公演もあり)。
メールマガジンの配信
「MY Bunkamura」で取り扱うチケット情報を月2回配信。他に、登録時のアンケートに基づき、自分の興味に合った公演情報をタイムリーに配信。
登録者限定サービス
プレゼントやイベント開催などを実施。

オーチャード フレンズ

Bunkamuraが企画したオーチャードホールで行われる公演をシリーズ化したもので、チケットが優待価格で提供される。2000年4月に発足。法人会員であれば、会費は年間一口200,000円で1年間有効である。特典としては一口につき11公演、合計22枚(全てS券)のチケットが提供される。また、Bunkamuraのホームページに開設する「オーチャードフレンズ」のページに、本会員の法人名を希望により記載する事が出来る。記載の際は本会員が指定するロゴマークを使用し、本会員のホームページとリンクさせることも可能。

倶楽部B

項目 内容
発足 2002年4月
入会条件 年齢30歳以上、年収500万円以上、勤続年数または営業年数(自営の場合)5年以上。
入会金 50,000円(税抜)
月会費 5,000円(税抜)
特典
特典種別特典内容
ホール特典
対象ホール 特典内容
オーチャードホール、シアターコクーン、東急シアターオーブ、セルリアンタワー能楽堂 Bunkamura主催公演をはじめとした「倶楽部B特選公演」について、特別先行予約期間が設けられ、その期間中にチケットの最優先予約ができる。
ザ・ミュージアム
  • 1催事につき、招待券が2枚送付される。
  • 招待券利用後、同一催事に再度入場の際は会員本人と同伴者1名まで、前売料金で入場できる。
ル・シネマ
  • 指定席の先行予約(鑑賞日の4日前までの申込み)ができる。
  • 会員本人と同伴者1名まで、当日一般料金(通常1,800円(税込))を1,000円(税込)で鑑賞できる。
  • プログラムが1冊100円引きで購入できる。
オーチャードホール、シアターコクーン、ル・シネマの各ビュッフェ、およびロビーラウンジ ドリンクが1品につき100円割引になる。
会員デスク特典
特典対象 特典内容
送料 チケット及びお買上げ商品の送料が無料になる。
オペラグラス 無料貸し出し
演劇作品鑑賞 「倶楽部B会員デスク」で貸し出される。
取り寄せ CDや芸術書の取り寄せができる。
クローク
特別駐車カード Bunkamuraを利用の際、本人会員に限り、東急本店地下駐車場、アットパーク宇田川町の「特別駐車カード」3枚(1か月間に3時間まで無料)が配付される。
館内施設の買い物時
  • 会員カードの提示により、Bunkamura内での店舗で料金が 10%‐5% 引きになる。
  • 注文時の会員カードの提示により、レストラン「ドゥ マゴ パリ」が10%割引になる。
イベント特典
  • 会員限定パーティ、懇親会が開催される。
  • Bunkamura内外のイベントに会員優先枠を設けられ優待料金での参加、または招待がある(一部のイベントに限る)。
  • 会員による有志企画を運営、サポートする。
パートナーズレストラン
  • 倶楽部Bデスクで、プレ&アフターシアターのレストランやホテル予約ができる。
  • 一部、倶楽部Bデスク予約特典がある。
その他
  • 「倶楽部B TOP&カード」と倶楽部Bオリジナル会員バッヂ(プラチナ製pt900)を発行される。
  • 本会員はもう一名を「パートナー会員」として登録でき、一部の特典が利用できる。
  • 毎月、会報誌「倶楽部B」が送付される。

情報誌

Bunkamura magazine
音楽、演劇、映画、美術等の様々なジャンルの情報を載せたもので、Bunkamuraのイベントスケジュールやチケット発売情報等を紹介している。価格は無料で、Bunkamura内各所、東急百貨店各店、渋谷エクセルホテル東急、都内主要コンサート会場他で配布されている。

通信販売

Bunkamura オンライン市場
2007年10月16日に営業開始した。音楽・演劇・映画・美術にちなんだアートグッズ等を販売している。

アクセス

脚注

注釈

  1. 同ドゥ・マゴの他、イスラエル発のマックス・ブレナーラフォーレ原宿や台湾発のマンゴーかき氷店ICE MONSTER表参道を神宮前に、トヨタによるレクサスブランドのビストロないしカフェINTERSECT BY LEXUS - TOKYOを南青山みゆき通りにそれぞれ出店する日本のトランジット・ジェネラル・オフィス社によるライセンス店舗(SHOP TOPICS 同社公式HP)。

出典

  1. 株式会社東急文化村 第35期決算公告
  2. 「佐藤正忠の極意対談 連載第234回 ゲスト―東映社長 岡田茂 『映画は天才が作る。会社はそれを支える体制作りをしなくては』」『経済界』1991年11月24日号、経済界、81頁。
  3. 東急百貨店本店とBunkamura再開発へ 百貨店は解体 2023年春から”. 乗りものニュース. 2021年5月23日閲覧。
  4. “東急歌舞伎町タワー、23年4月に開業 新宿エリアに新たな観光拠点”. 毎日新聞. (2022年4月26日). https://mainichi.jp/articles/20220426/k00/00m/020/182000c 2022年12月8日閲覧。
  5. 複合文化施設「Bunkamura」の長期休館および施設休館中の当社活動について”. PR TIMES (2022年11月29日). 2022年12月8日閲覧。
  6. 渋谷の「Bunkamura」が全館休館へ 来年7月から SankeiBiz
  7. 複合文化施設『Bunkamura』来年4・10より長期休館へ オーチャードホール除く、活動は周辺施設などで継続”. ORICON NEWS. 2022年11月30日閲覧。

関連項目

外部リンク

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