方言学

方言学(ほうげんがく、英語:dialectology)とは、方言についての言語学[1][2][3]

概要

研究対象とするのは方言であるが、方言と言語との区別は必ずしも明確でない。例えば、上海語中国語の一方言であるが[4][5][6]北京語を母体とする普通話との差は、別々の言語とされるスペイン語ポルトガル語以上に大きい。

つまり、純粋に言語構造としての見方と、社会国家の下での言語の見方が必ずしも一致していないわけである。

一般に方言学が関心を寄せるのは、言語の地域変種または社会変種としての特性、その成因、分布、通時的変化などであり、一般言語学とはある程度違う視点をもつ[7]

言語地理学では、方言の地理的分布を元に言語・方言の歴史を追究する[8][9]。また、比較言語学を方言に応用して、方言間の比較により祖語を再構しようとする学問を比較方言学とも言う[10]

隣接した分野

方言学は民族学歴史学社会学民俗学地理学など周辺分野との学際的な研究が多い。その一つには柳田國男が提唱した「方言周圏論」等がある。

関連項目

脚注

  1. Chambers, J. K., & Trudgill, P. (1998). Dialectology. Cambridge University Press.
  2. 金田一, 春彦『日本語方言の研究』東京堂出版、1977年8月。ASIN 4490202458ISBN 978-4490202458。 NCID BN00486327OCLC 34896884全国書誌番号:77028565
  3. 小林英夫「方言学、その理論と実際」『民族』第3巻第3号、1928年。
  4. Lance Eccles, Shanghai dialect: an introduction to speaking the contemporary language. Dunwoody Press, 1993. ISBN 1-881265-11-0.
  5. Chen, Yiya; Gussenhoven, Carlos (2015), "Shanghai Chinese", Journal of the International Phonetic Association, 45 (3): 321–327, doi:10.1017/S0025100315000043
  6. 小田格. (2018). 中華人民共和国上海市における上海語テレビ放送と言語政策―ポスト標準中国語普及時代の方言放送の行方―. 人文研紀要, 89, 223-254.
  7. 窪薗晴夫. (2015). 日本語の方言研究と一般言語学. 言語研究, 148(0), 1-31.
  8. 柴田武『言語地理学の方法』筑摩書房、1969年。
  9. 徳川宗賢『方言地理学の展開』ひつじ書房、1993年。
  10. 方言地理学と比較方言学 (1974), 徳川宗賢, 学習院大学国語国文学会誌 17, 1-18.
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