宗谷黒牛

宗谷黒牛(そうやくろうし)は、北海道稚内市に存在する宗谷岬牧場で生産される、日本最北の牛肉銘柄である。

農地所有適格法人 株式会社宗谷岬牧場
宗谷黒牛のサーロイン
宗谷黒牛のサーロイン
種類 農地所有適格法人株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
098-6758
北海道稚内市宗谷岬328番地
設立 2007年平成19年)3月6日
業種 水産・農林業
事業内容 酪農事業、肉用牛の繁殖生産および育成・肥育事等
代表者 新保 潔
資本金 9,030万円
外部リンク http://www.soyamisaki-farm.co.jp/

生産

宗谷黒牛は、宗谷岬牧場が生産する牛肉であり、次の3種類の交雑牛に付与されるブランドである[1]

  1. 黒毛和種乳牛の交雑牛×黒毛和種〔=BBD牛〕
  2. 黒毛和種×乳牛〔=BD牛〕
  3. 黒毛和種×アンガス種〔=BA牛〕

素牛(肥育前の子牛)は、F1のBD牛を道内の家畜市場から調達する以外は、自家生産している[2]。出荷規模は年間1,000頭程度で、内訳はBBD牛20%、BD牛75%、BA牛5%である[3]。繁殖牛は500頭いる[3]

宗谷丘陵

全国農業協同組合連合会(全農)の安全・安心システム第1号認証を受けた飼養管理、非遺伝子組み換えトウモロコシの飼料への採用、明文化された生産方針・理念・基準に基づいた肥育を行う[1]。宗谷岬牧場が定める独自の「飼料給与マニュアル」に沿って肥育される。 北海道遺産である宗谷丘陵に広がる広大な牧草地(約900 ha[3])で放牧し、天塩町の牛舎を買い取って分場としている[3]。牛舎は常に換気扇を作動させ、舎内の乾燥状態を保つ[4]。飼養期間は24 - 29か月である[5]。ウシはストレスのない環境で育ち、人に良くなつく[4]

肉質等級は3等級が6割を占め、5等級になるのはBBD牛が多い[3]歩留は平均61.8%(C等級)である[6]

流通

北海道畜産公社上川事業所で屠畜され、ホクレン農業協同組合連合会を介して、全農ミートフーズ・シジシージャパン(CGC)・稚内市のスーパーマーケット3社へ販売される[7]。ほとんどは本州へ流通していくため、道内では知らない人もいる「幻の牛肉」である[8]

CGCの取り扱い分は秋田県のスーパーマーケット・伊徳(いとく)で小売され、同社は宗谷黒牛の最大の販売業者である[9]。全農ミートフーズが取り扱う分は一部CGCへ卸され、残りは横浜高島屋や関西の量販店で小売され、横浜高島屋では精肉販売だけでなく、ギフト用にローストビーフに加工して販売することもある[10]

歴史

1983年、稚内市など宗谷管内7市町村および7農協が出資者となり、社団法人宗谷畜産開発公社を設立した[8]。公社は肉牛専門の直営農場「宗谷岬肉牛牧場」を開設し、肉牛の飼育を開始した[1]。当初はアンガス種やヘレフォード種などの日本国外の種を肥育していたが、牛肉の輸入自由化などを契機に、黒毛和種の交雑牛に転換した[11]。「わっかない牛」というブランド名を使っていた[8]が、1999年頃から宗谷黒牛の名称を使い始め、2005年9月に商標登録された[1]

2007年、社団法人宗谷畜産開発公社は、生産施設等を栃木県農業生産法人株式会社ジェイイーティーファーム(JETファーム)に売却し、その関連会社株式会社宗谷岬牧場が営業を承継した[1]。牧場名から「肉牛」を外したのは、事業継承のタイミングで酪農部門を導入したからである[2]

喫食法

宗谷黒牛は柔らかな肉質と[8]霜降り肉のような余分な脂肪分がなく、コクのある味わいが特徴である[5]。主にステーキすき焼きしゃぶしゃぶ焼肉などの牛肉料理に用いられる。稚内市内では握り寿司で提供する店も多い。

株式会社宗谷岬牧場は、宗谷黒牛を用いた冷凍ハンバーグを製造販売している。同社のハンバーグは「北の黒牛ハンバーグ」の商品名で流通し、牛肉以外の材料(タマネギ小麦粉)も北海道産のものを使用する[2]

脚注

  1. 須藤 2010, p. 41.
  2. 須藤 2010, p. 44.
  3. 須藤 2010, p. 42.
  4. 稚内市「株式会社宗谷岬牧場」。宗谷黒牛が旨いワケは。。。”. Wake Up Hokkaido (2018年11月4日). 2021年5月15日閲覧。
  5. その他のグルメ(ラーメン・宗谷黒牛など)”. 最北のまち 稚内観光情報. 稚内市建設産業部観光交流課. 2021年5月15日閲覧。
  6. 須藤 2010, p. 43.
  7. 須藤 2010, p. 44, 46.
  8. 編集部 (2020年1月26日). 宗谷黒牛は日本最北の牛肉ブランド”. 北海道ファンマガジン. 2021年5月15日閲覧。
  9. 須藤 2010, p. 44, 48.
  10. 須藤 2010, p. 44, 47.
  11. 須藤 2010, pp. 41–42.

参考文献

  • 須藤純一「宗谷黒牛のブランド化の取組」『平成21年度 国産食肉需要構造改善対策事業 国産牛肉産地ブランド化に関する優良事例調査報告II』、財団法人日本食肉消費総合センター、2010年3月、41-48頁。

関連項目

外部リンク

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