地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(ちいきにおけるれきしてきふうちのいじおよびこうじょうにかんするほうりつ、平成20年5月23日法律第40号)は、歴史的建造物や伝統的祭礼行事など、地域の歴史や伝統を残しながら形成された環境、すなわち歴史的風致の維持・向上を図るために制定された日本法律である。2008年平成20年)5月23日公布、同年11月4日施行。通称は歴史まちづくり法(れきしまちづくりほう)。

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 歴史まちづくり法
法令番号 平成20年5月23日法律第40号
種類 環境法
効力 現行法
成立 2008年5月16日
公布 2008年5月23日
施行 2008年11月4日
所管 文化庁農林水産省国土交通省
主な内容 地域の歴史的風致の維持・向上
関連法令 文化財保護法景観法都市計画法
条文リンク e-Gov法令検索
ウィキソース原文

概説

第1条で「歴史的風致」を「地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の環境」と定義している。

これまでも文化財保護法景観法古都保存法等の法律があったが、これらは文化財の保護や土地利用規制に主眼が置かれていて、歴史的な建造物の復原や、文化財の周辺環境の整備等には必ずしも十分に対応できたわけではなかった。

市町村が作成する「歴史的風致維持向上計画」に基づき、歴史的風致を後世に継承するまちづくり国が支援するために制定された。文部科学省文化庁)、農林水産省国土交通省共管の法律である。

歴史的風致維持向上計画が国に認定された市町村は、当法に基づく国からの支援や特別措置を受けることができる。

構成

  • 第1章 総則(第1条―第3条)
  • 第2章 歴史的風致維持向上基本方針(第4条)
  • 第3章 歴史的風致維持向上計画の認定等(第5条―第11条)
  • 第4章 認定歴史的風致維持向上計画に基づく特別の措置
    • 第1節 歴史的風致形成建造物(第12条―第21条)
    • 第2節 歴史的風致維持向上施設の整備等に関する特例(第22条―第30条)
  • 第5章 歴史的風致維持向上地区計画(第31条―第33条)
  • 第6章 歴史的風致維持向上支援法人(第34条―第37条)
  • 第7章 雑則(第38条・第39条)
  • 第8章 罰則(第40条・第41条)
  • 附則

法律の内容

  • 歴史的風致形成建造物に指定(第12条1項)された建造物の増改築、移転または除却をしようとする者は、着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、着手予定日等を市町村長に届け出なければならない(第15条1項)。市町村長は、当該建造物の保全のために、設計の変更等必要な措置を取るよう勧告を行うことができる(同条3項)とともに、勧告を受けた者の申出を受け、その権利の処分に関し、買取や賃貸借を希望する歴史的風致維持向上支援法人等の紹介のあっせんや、市町村自らが当該建造物を買取る等の必要な措置を講ずることができる(同条5項)。
  • 歴史的風致維持向上地区計画(第31条)の区域内(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る)で、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、増改築等をしようとする者は、着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日等を市町村長に届け出なければならない(第33条1項)。市町村長は、その届出に係る行為が歴史的風致維持向上地区計画に適合しないと認めるときは、設計の変更その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができる(同条3項)。
  • 宅地建物取引業者が歴史的風致形成建造物の売買を行う場合、あるいは歴史的風致維持向上地区計画の区域内(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る)で宅地建物の売買を行う場合は、取引の相手方に、上記の市町村長へ届出なければならない旨を重要事項説明として宅地建物取引士に説明させなければならない(宅地建物取引業法第35条)。

歴史的風致維持向上地区の一覧

2021年(令和3年)3月23日現在、84市町の歴史的風致維持向上計画が国に認定されている[1]

歴史的風致維持向上地区の一覧
番号都道府県市町村名認定日
1石川県金沢市2009年平成21年)01月19日
2岐阜県高山市
3滋賀県彦根市
4山口県萩市
5三重県亀山市
6愛知県犬山市03月11日
7長野県下諏訪町
8高知県佐川町
9熊本県山鹿市
10茨城県桜川市
11岡山県津山市07月22日
12京都府京都市11月19日
13茨城県水戸市2010年(平成22年)02月4日
14滋賀県長浜市
15青森県弘前市
16群馬県甘楽町03月30日
17岡山県高梁市11月22日
18福岡県太宰府市
19徳島県三好市
20福島県白河市2011年(平成23年)02月23日
21島根県松江市
22岐阜県恵那市
23富山県高岡市06月8日
24神奈川県小田原市
25長野県松本市
26埼玉県川越市
27宮城県多賀城市12月6日
28京都府宇治市2012年(平成24年)03月5日
29愛媛県大洲市
30岐阜県美濃市
31佐賀県佐賀市
32広島県尾道市06月6日
33広島県竹原市
34三重県明和町
35長野県東御市
36岐阜県岐阜市2013年(平成25年)04月11日
37長野県長野市
38島根県津和野町
39大阪府堺市11月22日
40山形県鶴岡市
41宮崎県日南市
42岐阜県郡上市2014年(平成26年)02月14日
43愛知県名古屋市
44奈良県斑鳩町
45大分県竹田市06月23日
46福岡県添田町
47京都府向日市2015年(平成27年)02月23日
48福島県国見町
49奈良県奈良市
50神奈川県鎌倉市2016年(平成28年)01月25日
51福島県磐梯町
52福島県桑折町03月28日
53和歌山県湯浅町
54三重県伊賀市05月19日
55長野県千曲市
56愛知県岡崎市
57新潟県村上市10月3日
58和歌山県広川町
59静岡県三島市
60秋田県大館市2017年(平成29年)03月17日
61山梨県甲州市
62熊本県湯前町
63群馬県桐生市2018年(平成30年)01月23日
64静岡県掛川市
65福岡県宗像市03月26日
66和歌山県和歌山市
67静岡県伊豆の国市07月11日
68秋田県横手市
69静岡県下田市011月13日
70岩手県盛岡市
71和歌山県高野町2019年(平成31年)01月24日
72佐賀県基山町
73茨城県鹿島市03月26日
74千葉県香取市
75栃木県下野市
76栃木県栃木市
77愛媛県内子町2019年令和元年)06月12日
78大分県大分市
79愛知県津島市2020年(令和2年)03月24日
80新潟県佐渡市
81長崎県長崎市
82石川県加賀市[2][3]2021年(令和3年)03月23日
83滋賀県大津市[2]
84大分県杵築市[2]

脚注

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.