四季 (ヴィヴァルディ)
「四季」(イタリア語: Le quattro stagioni、英語: The Four Seasons)は、アントニオ・ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』(Il cimento dell'armonia e dell'inventione) 作品8のうち、 第1から第4曲の「春」「夏」「秋」「冬」の総称。ヴィヴァルディ自身は作品8の献辞以外でこれら4曲を「四季」と称したことはない。各曲はそれぞれ3つの楽章から成り立っており、各楽章にはソネットが付されている。これらのソネットの作者は不明であるが、ヴィヴァルディ自身の作という説もある。
音楽・音声外部リンク | |
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『四季』全4曲を試聴する | |
Vivaldi:Four Seasons/Quattro Stagioni - ジャニーヌ・ヤンセンのVn独奏およびアムステルダム・シンフォニエッタ(Amsterdam Sinfonietta)による演奏。AVROTROS Klassiek公式YouTube。 | |
Vivaldi - Seasons - スレーテン・クルスティチ(Sreten Krstić)のVn独奏およびザグレブ・ソロイスツによる演奏。ザグレブ・ソロイスツ公式YouTube。 | |
ヴィヴァルディ:四季 - アンタル・シャライ(Antal Zalai)のVn独奏およびThe Chamber Orchestra of St. Petersburg State Symphony Orchestraによる演奏。当該Vn独奏者自身の公式YouTube。 | |
VIVALDI - Four Seasons - アレクサンドラ・コヌノーヴァ(Alexandra Conunova)のVn独奏およびOrchestre International de Genèveによる演奏。Beyond Groove Productions《映像制作者》公式YouTube。 |
楽譜
1725年アムステルダムのル・セーヌ(Michel-Charles Le Cène)による初版パート譜の他、〔雷〕音型が第2ヴァイオリンにも入るなど記譜と指示に初版との差異がみられる筆写パート譜をマンチェスター公共図書館が所蔵している。ナイジェル・ケネディ、ジャニーヌ・ヤンセン、ファビオ・ビオンディは実演/録音両面でマンチェスター稿を好んで採り上げ、クリストファー・ホグウッドもこの筆写譜の特徴を2000年のベーレンライター社版校訂の際、率先して採用した。[1]
楽器編成
構成楽曲および楽曲毎の構成・ソネットの要約
「四季」は、以下に示す4つの楽曲から構成されている。構成4楽曲全てを通しで演奏する場合の演奏時間は約40分[3]。
協奏曲第1番ホ長調 RV 269「春」(La Primavera)
協奏曲第2番ト短調 RV 315「夏」(L'Estate)
- 第1楽章 アレグロ・ノン・モルト - アレグロ
- かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりしている。松の木も燃えそうに熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトの囀りが聞える。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くて慄く。
- ヴァイオリンの一瞬一瞬の“間”に続いての絶え間ない音の連続が荒れる嵐を表現している。
- 第2楽章 アダージョ
- 稲妻と雷鳴の轟きで眠るどころではない、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。
- それは甲高い音でソロヴァイオリンによって奏でられる。
- 第3楽章 プレスト(夏の嵐)
- 嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
協奏曲第3番ヘ長調 RV 293「秋」(L'Autunno)
協奏曲第4番ヘ短調 RV 297「冬」(L'Inverno)
- 第1楽章 アレグロ・ノン・モルト
- 寒さの中で身震いしている。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。
- ソロヴァイオリンの重音で身震いを表現している。
- 第2楽章 ラルゴ
- 外は大雨が降っている、中で暖炉で満足そうに休息。
- ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
- 第3楽章 アレグロ
- 私たちはゆっくりと用心深く、つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れ、頑丈なドアから出ると外はシロッコと北風がビュービューと吹いていく。そんな冬であるが、もうすぐ楽しい春がやってくる。
参考:作品番号8の5から12までの作品
- 協奏曲第5番 変ホ長調 RV 253「海の嵐」
- 協奏曲第6番 ハ長調 RV 180「喜び」
- 協奏曲第7番 ニ短調 RV 242『ピゼンデル氏のために』
- 協奏曲第8番 ト短調 RV 332
- 協奏曲第9番 ニ短調 RV 454
- 協奏曲第10番 変ロ長調 RV 362「狩り」
- 協奏曲第11番 ニ長調 RV 210
- 協奏曲第12番 ハ長調 RV 449
関連作品
- 『そよ風のささやきに』(Dell 'aura al sussurrar) - 作者自身による歌劇『嵐の中のドリッラ(RV 709)』内の合唱曲。「春」第1楽章の旋律を一部転用し、歌詞も春について歌われている。
- 歌劇『ジュスティーノ(RV 717)』 (Giustino (Vivaldi)) のシンフォニアで「春」の冒頭の旋律を転用している[4]。
- ミシェル・コレット:『主をほめたたえよ』(Laudate Dominum) - 春の音楽素材を借用して詩篇第148番の詞をつけた声楽作品。1768年。3人の独唱者と合唱と器楽からなる。
- ヨーゼフ・ハイドン 『四季』(オラトリオ)
- ピョートル・チャイコフスキー『四季』(12の性格的小品)
- アストル・ピアソラ:『ブエノスアイレスの四季』 - 夏(南半球の1月)から始まる。
- 海野洋司作詞、石川皓也編曲、北原ミレイ歌:『白い道』 - 「冬」第二楽章を編曲した楽曲。NHKの歌番組みんなのうたで放送された。
- フィリップ・グラス:ヴァイオリン協奏曲 第2番『アメリカの四季』 (Violin Concerto No. 2 (Glass)) (2009年初演)[5]。
- マックス・リヒター:リヒターによって再構成された『四季』 (Recomposed by Max Richter: Vivaldi – The Four Seasons) (2012年初演)[6]。
脚注
- ニコラウス・アーノンクールは著作"Musik als Klanglede(邦訳「古楽とは何か」)"でマンチェスター稿も参照した事を仄めかし、初版は技巧的に易しくしたものと推察。アーノンクール自身は初の古楽器による録音となる1977年の『四季』アルバム収録で、初版に修正を施したパリのルクレール商会(Mme Boivin & Le Clerc)による後継版を基本資料とした。
- Michael Talbot: THE VIVALDI COMPEDIUM, Boydell Press, 2011, p.132
- “オリヴィエ・シャルリエ with PAC ヴィヴァルディ「四季」” (PDF). 兵庫芸術文化センター管弦楽団 (2015年5月1日). 2017年4月15日閲覧。《→アーカイブ (PDF) 》
- Eric Cross (2003). “Vivaldi Operas”. Early Music 31 (3): 463-466. JSTOR 3138107.
- “Concerto: Violin Concerto No.2 – Philip Glass” (英語). 2022年7月27日閲覧。
- “25%のヴィヴァルディ Recomposed By マックス・リヒター”. 2022年12月10日閲覧。
外部リンク
- 「和声と創意の試み」の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- RV 269「春」, RV 315「夏」, RV 293「秋」, RV 297「冬」の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- The Four Seasons, Op. 8 - Musopenより《構成4楽曲分の総譜(リンク)掲載有》
- 『Free-scores.com』より《構成楽曲毎の楽譜一覧》
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