093型原子力潜水艦

093型原子力潜水艦は、中国人民解放軍海軍原子力潜水艦である[1]NATOコードネーム殷王朝の別名に因んで商級(Shang Class)。

093型原子力潜水艦(商型)
基本情報
運用者  中国人民解放軍海軍
建造数 8隻[1]
前級 091型
要目
排水量 6,000-7,000t
長さ 106m[1]
11.5m[1]
主機 原子力蒸気タービン(原子炉2基/蒸気タービン2基)、1軸[1]
最大速力 30kts[1]
兵装 YJ-18 USM,YJ-82 USM,533㎜魚雷発射管x6[1]

概要

旧式化した091型(漢級)の後継[2]として開発された中国人民解放軍海軍で2番目の攻撃型原潜である[1]ロシアからヴィクターIII型原子力潜水艦の技術を導入して静粛性の向上を図っている[3]。ただし、司令塔の形状はヴィクター型と全く異なり、潜舵も司令塔取り付けであるなど、外形は全く異なる[3]アメリカ海軍の評価では、静粛性もヴィクターIII型に劣るとされている[3](ヴィクターIII型の静粛性は、概ねスタージョン級やロサンゼルス級の初期型と同レベル)。

2007年になると、この艦の発展型である094型が航海している様子が撮影され、本艦が実戦配備されている可能性が濃厚となった。

また、2007年8月には、中国の軍の公式雑誌『現代艦船』で写真が公開され、同時に技術的課題が解決され、2006年の12月に一番艦が就役(配備)したと伝えた 公開された写真。1番艦は1994年建造開始のため、就役まで12年を要しているが、2番艦は2000年建造開始、2007年就役と建造期間は短縮されている[3]

093型の後継として、静粛性が向上し、対地攻撃力を増した、095型が開発中と推測されており[2]、早ければ2010年代後半[3]、遅くとも2020年代前半には就役すると見込まれている[2]

その後、船体を若干延長し水中放射雑音も抑えた改良型の093A型が、4~6番艦として2015~2016年に就役し、さらに改良型の093B型が、7番艦・8番艦として2017~2018年に就役している[1]

中国人民解放軍海軍が技術や兵站上の問題を改善し、潜水艦の遠洋航海に乗り出したのは、事実上2000年代の半ばからと、その期間は未だ長くはない[4]。その中でもって、093型は遠距離展開を図っており、2014年にはインド洋において哨戒活動を行っている[5][6]

2018年1月10日から11日にかけて尖閣諸島(沖縄県石垣市)の接続水域を潜没航行した潜水艦1隻が同12日に中華人民共和国の国旗を掲げて東シナ海を浮上航行したことを、日本海上自衛隊が確認した[7]小野寺五典防衛大臣は同15日、この潜水艦が商級であると記者団に説明した。『産経新聞』の報道によると、この潜水艦は商級改良型の可能性があり、その場合、最大射程540kmの巡航ミサイル十数発を搭載可能で、中国海軍がアメリカ海軍の空母部隊に対してとっている接近阻止・領域拒否戦略の一端を担っているとみられる[8]

2020年、アメリカの企業により、海南島楡林港地下基地に出入りする093型原子力潜水艦を捉えたとする衛星画像が公開されている[9]

脚注

  1. 今日の中国軍艦 原子力攻撃潜水艦「商」型/093・093A・093B型,世界の艦船,2021年4月号,P23,海人社
  2. Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2014,P8,DoD
  3. 攻撃原潜「商」型,小林正男,P84-85,世界の艦船,2014年6月号,海人社
  4. 中国潜水艦運用の現状と課題,小原凡司,世界の艦船,2013年10月号,P92-95,海人社
  5. 中国潜水艦のインド洋進出,海上自衛隊幹部学校コラム,2014-10-06
  6. Exclusive: Indian Navy headless as Chinese nuclear sub prowls Indian Ocean”. indiatoday (2014年3月21日). 2015年2月8日閲覧。
  7. 潜没潜水艦の動向について防衛省・報道発表(2018年1月12日)2018年1月17日閲覧
  8. 尖閣接続水域入域の中国潜水艦は「商」級攻撃型原潜 長射程巡航ミサイル搭載か 防衛相が発表『産経新聞』朝刊2018年1月16日
  9. 地下基地に入る中国の原子力潜水艦? 米企業が衛星写真公開”. AFP (2020年8月22日). 2020年8月22日閲覧。

外部リンク

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