告解
告解(こっかい・こくかい[1]、ラテン語: confessio (atque poenitentia), 英語: penance (or confession), ロシア語: исповедь)とは、キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいう。教派ごとに概念や用語が異なっている。カトリック教会および正教会では、教義上サクラメントと捉えられているが、聖公会では聖奠的諸式とされる[2]。プロテスタントではサクラメントとは看做されていない。
「告解」は明治時代から多くの教派で使われてきた表記であるが、2011年現在ではいずれの教派においても日常的な語彙ではなく、ほとんどの場合で異なる語彙の方が、正式な呼称、もしくは通用性の高い呼称としての扱いを受けている。
カトリック教会
告解はカトリック教会においては、洗礼後に犯した自罪を聖職者への告白を通して、その罪における神からの赦しと和解を得る信仰儀礼。現在のカトリック教会ではゆるしの秘跡と呼ばれている。
カトリック教会では、大罪を犯した場合には、赦される為にはこの秘跡が不可欠となる。また年に一度は必ず行うべきものとされている。
古い文献では悔悛の秘蹟(かいしゅんのひせき)といった表記や、現在では日本正教会で一般的に用いられる痛悔という語彙も見られるが[3]、現在のカトリック教会ではほとんど使われていない。
正教会
正教会では、機密名としては痛悔機密と呼ばれる。痛悔機密は罪によって正教徒が教会生活から離れた時の、教会における神との和解の正式な儀礼として位置づけられる[4]。
儀礼の名称としては告解禮儀(告解礼儀)との呼称がある[5]が、この呼称は日常的にはほとんど用いられず、もっぱら「痛悔」「痛悔機密」の語彙が用いられる。
ロシア正教会などのスラヴ系正教会や日本正教会では、通常、聖体の領聖(りょうせい・聖体拝領のこと)の前に痛悔を司祭または主教を通して行うこととされている。ただし、ギリシャ正教会などのギリシャ系正教会では、痛悔は領聖の必須要件とはされていない[6]。
脚注
- 読み出典:大辞林
- 第20章 聖奠的諸式 Archived 2015年4月26日, at the Wayback Machine.(熊本聖三一教会)
- 『カトリック大辞典』(359頁左、上智大学編纂、冨山房、昭和42年第七刷)
- 出典:トマス・ホプコ著・イオアン小野貞治訳『正教入門シリーズ2 奉神礼』19頁、西日本主教区(日本正教会)
- 『聖事経』大日本正教会、1895年。NDLJP:824745 。
- イラリオン・アルフェエフ著、ニコライ高松光一訳『信仰の機密』119頁 - 120頁、東京復活大聖堂教会(ニコライ堂) 2004年
- 聖公会の祈り(2003年3月、「立教カードメイト」立教大学チャプレン香山洋人)
関連項目
- 赦罪の主日
- 告解室
- sub rosa - 「バラの下で」を意味するラテン語でスブ・ロサーと読む。ローマ神話などに登場するバラが由来で秘密をバラさないことを示す。