十の災い
災いの内容について
なお、理由は定かではないがローマ時代にこれらを説明しているフラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ古代誌』と偽フィロンの『聖書古代誌』といった本の記述では4番目の災いに当たるものがヘブライ語の記述とも七十人訳聖書の「犬蝿」とも異なり、「様々な種類の野獣」としている[注釈 1]
その他の宗教などにおける似たような記述
- イスラム教
- クルアーン7番目の章高壁133節に、「そこでわれ(アッラー)はかれら(フィルアウン(アラビア語でファラオの事))に、自らの様々な力の明証として洪水やバッタやシラミ、カエルや血などを送った。だがかれらは高慢な態度を続け,罪深い民であった。」[5]。この説話は、旧約聖書を参考にしたクルアーンのアレンジ(聖書の説話とクルアーンの関係)によるものと考えられる。
- エジプト神話
- 血に飢えた疫病と殺戮と戦いの女神セクメトが、ナイル川に投げ込まれた血のような赤い酒に酔って、疫病と殺戮を止めた話がある。
歴史
考古学者ウィリアム・オルブライトやジョン・S・マー(John S. Marr)などの学者達は、実際に起きた事でないかという学説を唱えている。エジプト第12王朝に書かれた Ipuwer Papyrus の後半には「ナイル川が血のように赤くなっている」という記述がみられる(ただ、洪水のときに運び込まれる赤い土によるものの可能性がある。)。これらが起こる理由に、火山噴火(地中海のサントリーニ島の噴火)をあげ、酸性度の高い酸性雨や火山灰による異常気象によるものではないかとしている[6]。なお、この十の災いはすべて火山の噴火によるものであると知るとき、様々な虫が放たれたのは火山噴火による異常気象、長子皆殺しは疫病の蔓延による(体力がまだ十分でない)子供の死となる。
脚注
注釈
- これ以外にヨセフスは「家畜の疫病」、偽フィロンは「腫物」の話を乗せておらず、偽フィロンの場合は順番が出エジプト記の1・2・4・7・5・8・3・9・10の順番で乗っている[2]。
- この「ぶよ」と次の「虻」という訳は便宜上のもので、本来何の虫を指すのかよくわかっていない(「虻」は群れをなす害虫の一般名詞だったらしい)、なお、この2つの災いは内容が酷似しているので元々同じ話だったものを編集者が別々に記載した可能性がある[3]。ちなみに「ぶよ」の原文は「スクニフェス」といい複数形主格の「スクニペス」が『詩篇』(104:31)にもみられる、他の訳では七十人訳聖書ではこれが「毛虱」、次の災いが「犬蠅(犬にたかる蝿)」と訳されている[4]
出典
- 出エジプト記(口語訳) 第7章
- 秦(2017) p.890注釈6
- 関根(2007) p.136註釈
- 秦(2017) p.247-248・891注釈24
- The_Holy_Qur%27an_(Maulana_Muhammad_Ali)/7._The_Elevated_Places. - ウィキソース.
- 「十の災い」の真実(ナショナルジオグラフィック、原題:Secrets of the 10 Plagues)
参考文献
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