出雲大神宮
出雲大神宮(いずもだいじんぐう)は、京都府亀岡市にある神社。式内社(名神大社)、丹波国一宮。旧社格は国幣中社で、現在は神社本庁に属さない単立神社。
出雲大神宮 | |
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拝殿 | |
所在地 | 京都府亀岡市千歳町千歳出雲無番地 |
位置 | 北緯35度3分33.86秒 東経135度34分42.28秒 |
主祭神 |
大国主神 三穂津姫尊 |
神体 | 御蔭山(神体山) |
社格等 |
式内社(名神大) 丹波国一宮 旧国幣中社 |
本殿の様式 | 三間社流造 |
別名 | 元出雲・千年宮 |
例祭 | 10月21日 |
主な神事 |
粥占祭(1月15日) 鎮花祭(4月18日) |
地図 |
出雲大神宮 |
旧称は「出雲神社」。別称として「元出雲」や「千年宮」とも。
概要
亀岡盆地東部に立つ御蔭山(みかげやま。御陰山、御影山、千年山とも)の山麓に鎮座。古くは御蔭山を神体山として祀る信仰があったとされ、社殿は和銅2年(709年)に創建されたと伝える。
「元出雲」の別称は、出雲大社が出雲大神宮からの分霊とする社伝(後述)に由来する。いわゆる出雲大社は明治時代に至るまで「杵築大社」を称していたため、江戸時代末までは「出雲の神」と言えば出雲大神宮を指していたとされる。
現在の本殿は重要文化財に指定されている。
祭神
- 主祭神
- 配祀神
祭神に関しては、天津彦根命・天夷鳥命・三穂津姫命の3柱とする説や、元々は三穂津姫尊1柱のみであるという説もある。
出雲大社との関係
出雲大神宮は「出雲」を社名としているが、島根県の出雲大社や同じ亀岡市内にある出雲大社京都分院(亀岡市下矢田町)とは別法人の神社である。
祭神の大国主神については、一般には出雲国の出雲大社(杵築大社)から勧請したとされている[1]。ただし社伝では逆に、出雲大社の方が出雲大神宮より勧請を受けたとし、「元出雲」の通称がある。社伝では、『丹波国風土記』逸文として「元明天皇和銅年中、大国主神御一柱のみを島根の杵築の地に遷す」の記述があるとする[2](ただし、社伝で主張するのみでその逸文も不詳)。
出雲大社との関係も2009年(平成21年)の社殿創建1300年を境に一層の交流が始まっている。参道に立つ「国幣中社 出雲神社」の社名標は出雲大社の元宮司・千家尊福の筆によるものである。また2014年(平成26年)に造られた正面の石碑「丹波國一之宮 出雲大神宮」の揮毫は出雲大社現宮司・千家尊祐の筆である。
歴史
創建
創建の年代は不詳。前述のように社伝では、『丹波国風土記』逸文として「元明天皇和銅年中、大国主神御一柱のみを島根の杵築の地に遷す」の記述があるという[2]。
社伝では、和銅2年(709年)10月21日に社殿が建てられたとする[3][4]。『古事記』・『日本書紀』には国譲りの神事が記載されるが、丹波国は出雲・大和の両勢力の接点にあり、国譲りの所由によって祀られたとされる[3]。
境内には横穴式石室を持つ後期古墳があるほか、西南には口丹波最大の前方後円墳である千歳車塚古墳があり、古くから御蔭山を神体として祀る氏族がいたと推測されている[5]。
概史
国史の初見は『日本紀略』の弘仁8年(818年)12月16日条「丹波国桑田郡出雲社、名神に預る」という記述であり、この時代にはすでに有力な神社になっていたことがわかる。
平安時代中期の『延喜式神名帳』では「丹波国桑田郡 出雲神社」と記載され、名神大社に列している[6]。正応5年(1292年)には、雨乞いの功を示したことから神階が最高位の正一位まで昇った。
鎌倉時代の吉田兼好の『徒然草』の第236段「丹波に出雲と云ふ所あり」(後述参照)の「出雲」はこの神社であり、それによればこの時期には志田氏によって立派な社殿が建てられ、京都の都人の崇敬を集めていたことがうかがえる。
貞和元年(1345年)、足利尊氏により現在の社殿が造営されたとされる。
明治4年(1871年)5月14日に近代社格制度において国幣中社に列した。また、神宮寺を現在の極楽寺に借地移転した。極楽寺所蔵で重要文化財に指定されている十一面観世音菩薩像は、神宮寺時代に安置していたものとされる。
戦後、現在の「出雲大神宮」に改称した。
境内
摂末社
かつては36社の摂末社を有していたと伝わる。現在は下記の8社が残る。
摂社
主な祭事
年間祭事
大祭・中祭の記載のないものは小祭。
- 毎月
- 月次祭 (1日) - 1月を除く
- 黒太夫社・祖霊社祭 (8日)
- 上の社、笑殿社、崇神天皇社祭 (14日)
- 大國祭 (15日)
- 辨財天社、稲荷社祭 (23日)
- 國祖祭 (25日)
- 1月
- 歳旦祭 (1日) - 中祭
- 粥占祭 (よねうら-、15日) - 中祭
- 2月
- 節分祭 (3日)
- 初午祈願祭 (7日)
- 紀元祭 (11日) - 中祭
- 祈年祭 (17日) - 大祭
- 3月
- 春季祖霊社祭 (21日)
- 4月
- 鎮花祭 (18日) - 大祭
- 6月
- 夏越大祓式 (30日)
- 8月
- 秋祭(法会、18日) - 中祭
- 9月
- 秋季祖霊社祭 (23日)
- 10月
- 例祭 (21日) - 大祭。社殿が創建された日に同じ
- 11月
- 七五三詣 (11月中)
- 新嘗祭 (23日) - 大祭
- 12月
- 天長祭 (23日)
- 師走大祓式 (31日)
文化財
重要文化財(国指定)
京都府登録文化財
- 無形民俗文化財
- 出雲風流花踊 - 1984年(昭和59年)4月14日登録。
亀岡市指定文化財
その他
- 京都の自然200選 「出雲大神宮」
- 亀岡の自然100選 「出雲大神宮」
登場作品
現地情報
所在地
交通アクセス
脚注
- 『京都府の地名』・『国史大辞典』等の百科事典の記載に拠る。『徒然草』 第236段においても出雲大神宮について「大社をうつして、めでたく造れり。」と記している。
- 「御祭神」 Archived 2010年3月16日, at the Wayback Machine.(出雲大神宮公式サイト)。
- 「由緒」 Archived 2010年7月21日, at the Wayback Machine.(出雲大神宮公式サイト)。
- 天福2年(1234年)3月23日付『関東御教書』ならびに『社領傍示絵図』にもとづく(『日本の神々』出雲大神宮項)。
- 『日本の神々』出雲大神宮項。
- ただし、亀岡市本梅町の出雲神社もその論社とされている。
- 近世の地誌『桑下漫録』に記載されるが、西園寺家にこの伝本はない(『日本の神々』出雲大神宮項)。
- 『ふるさとの名品 -指定文化財の世界-』亀岡市文化資料館(第56会企画展図録)、2014年、p. 10。
- 出雲大神宮本殿 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 「真名井の水」 Archived 2010年7月21日, at the Wayback Machine.(出雲大神宮公式サイト)。
- 木造男神坐像(伝大国主命) - 国指定文化財等データベース(文化庁)
木造男神坐像 - 国指定文化財等データベース(文化庁) - 『ふるさとの名品 -指定文化財の世界-』亀岡市文化資料館(第56会企画展図録)、2014年、p. 37。
参考文献
(記事執筆に使用した文献)