交響曲第3番 (ラフ)
概要
1869年にヴィースバーデンで作曲、1870年の復活祭の日にワイマールで初演された。この作品でラフは交響曲作曲家としての名声を獲得し、交響曲第5番「レノーレ」とともに、彼の一生を通じて最も成功し、頻繁に演奏される作品の一つとなった。アメリカの評論家はこの作品を「現代の最高の交響曲」と評し、ハンス・フォン・ビューローは、この作品の成功を「並外れたもの」と述べている[1]。
ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と同じくヘ長調をとり、森での気分や情景を暗示する題が各楽章に付された標題交響曲である。ラフは、生粋のロマン主義者として自然に深く触発されていた(彼の9つの標題交響曲のうち、6つが何らかの形で自然に関連しており、他の多くの作品も同様である)と同時に、ドイツに暮らす者として、この国の木々や森(ドイツの森)に特別な感慨を抱いていた。
楽曲構成
交響曲第5番と同様に、3つの部分、4つの楽章から構成されている。
第1部 昼(I.Abtheilung: Am Tage)
- 第1楽章「印象と感情」(Eindrücke und Empfindungen)
- 第1主題は旅人を表現している。第2主題はホルンの二重奏で提示される[2]。アレグロ、ヘ長調、3/4拍子。ソナタ形式。ホルンの呼び声で始まる短い序奏に続き、符点リズムや三連符を多く含む第一主題が弦楽器によって生き生きと奏し出される。変ロ長調の第二主題はpoco più mossoで大らかに提示され、8/9拍子の小結尾が提示部を締めくくる。展開部を経て、第一主題が強奏で再現されて再現部に入り、各主題を活用した大規模なコーダで楽章を閉じる。
第2部 夕暮れ(II.Abtheilung: In der Dämmerung)
- 第2楽章「夢」(A. Träumerei)
- ラルゴ、変イ長調、2/4拍子。三部形式。クラリネットをはじめとして、木管楽器の独奏が効果的に用いられる。安定した雰囲気でゆったりと歌う主部に対して、ホ長調の中間部はやや動きを増し短いクライマックスを築く。
- 第3楽章「木の妖精の踊り」(B. Tanz der Dryaden)
- アレグロ・アッサイ、ニ短調、3/4拍子。三部形式。メンデルスゾーン風の軽快なスケルツォで、ここでも木管楽器が活躍する。イ長調のトリオではなだらかな旋律の上でヴァイオリンのフラジオレットが幻想的な響きを作り出す。スケルツォが回帰した後のコーダでは、「夢」の楽章の主題がスケルツォの楽想と重ね合わされる。
第3部 夜(III.Abtheilung: Nachts)
脚注
- “Symphony No.3 Im Walde”. Joachim Raff Society. 2013年10月16日閲覧。
- 属啓成 1981, p. 273.
参考文献
- 属啓成『名曲事典』音楽之友社、1981年。
- “Symphony No.3 Im Walde”. Thomas Mark. 2017年3月29日閲覧。
- Raff's Symphony "Im Walde" - Philip H. Goepp "Symphonies and Their Meaning: Second Series" (JB Lippincot, 1902) pp.241-257
- Hilary Davan Wetton, Milton Keynes City Orchestra "Raff: Symphonies Nos. 3&4" (Helios, CDH55017) 解説 - Robert Dearling (1999)
外部リンク
- Symphony No.3 Op.153の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- Symphony No.3 Im Walde - raff.org
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