上脇博之

上脇 博之(かみわき ひろし、1958年7月25日 - )は、日本法学者憲法学政党国家論国民代表政治資金問題)。学位博士(法学)神戸大学2000年)。神戸学院大学法学部教授

上脇 博之
生誕 (1958-07-25) 1958年7月25日(64歳)
日本の旗 日本 鹿児島県姶良郡隼人町
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 法学
研究機関 北九州大学
北九州市立大学
神戸学院大学
出身校 関西大学法学部卒業
神戸大学大学院法学研究科
博士前期課程修了
神戸大学大学院法学研究科
博士後期課程単位取得退学
指導教員 浦部法穂
主な業績 政党憲法問題研究
国民代表選挙制度
政治資金の研究
プロジェクト:人物伝

北九州大学法学部助教授北九州市立大学法学部教授、神戸学院大学大学院実務法学研究科教授などを歴任した。

経歴

生い立ち

鹿児島県姶良郡隼人町(現在の霧島市)生まれ。1977年鹿児島県立加治木高等学校を卒業。1984年関西大学法学部を卒業。神戸大学大学院法学研究科に進学し、1988年博士前期課程を修了し、1991年博士後期課程を単位取得退学した。同年、日本学術振興会の特別研究員(PD)となる。

研究者として

1994年、北九州大学法学部にて専任の講師に就任する。1995年には同学部の助教授に昇任する。2001年、北九州大学が北九州市立大学に改組した際も、引き続き法学部の助教授を務めた。翌年、北九州市立大学法学部の教授に昇任する。2004年神戸学院大学に転じ、大学院実務法学研究科の教授に就任した。2015年、神戸学院大学法学部教授へ所属変更。

研究

専門は憲法学、政党国家論、国民代表論、政治資金問題である。神戸大学名誉教授浦部法穂の門下にあたる。学位論文「政党国家論と憲法学――『政党の憲法上の地位』論と政党助成」にて、博士(法学)(神戸大学・2000年)を取得した。

社会的活動

  • 2002年3月20日、市民団体のネットワーク「政治資金オンブズマン」を弁護士の阪口徳雄と設立し、阪口とともに代表に就いた。事務局は大阪市中央区に設置された[1][2]
  • 大阪府議会議員大阪府知事を務めた松井一郎が、政治家秘書給与を自身が経営する企業に肩代わりさせたのに政治資金収支報告書に記載していない点を指摘し、2012年10月政治資金規正法違反容疑で大阪地方検察庁に告発した[3][4]。松井は「自分の会社の仕事をサポートしてくれた対価として払ったお金で、問題があるとは思っていない」[3]などと反論したが、上脇は「知事はこの問題で責任を取っていない。全国政党の幹事長としてあってはならないことだ」[4]と主張している。なお、政治資金規正法では、政治家秘書の給与を企業が負担した場合はその企業からの寄附として扱われるため、政治資金収支報告書に記載しなければならない[5]。この点については、松井は「社長秘書として仕事してもらった部分には対価を払っている。議員秘書の部分はサービスでやってもらったという認識だ」[6]などと主張している。
  • 2018年1月19日に最高裁官房機密費の使途の一部開示を命じる判断を下した裁判[7][8][9] の原告の一人[10]
  • 2019年11月27日河井案里参議院議員の事務所による選挙違反疑惑に関し「夫婦が共謀して違法行為をした疑いがある」として、広島地方検察庁告発状を送付。記者会見を行った[11]
  • 2020年9月28日、政府が新型コロナウイルスの感染対策として全世帯に配った布マスク、いわゆるアベノマスクについて、納入業者に発注した枚数と単価を開示しないのは不当だとして、国に情報開示などを求めて大阪地方裁判所に提訴した。上脇は記者会見で「政策の妥当性を議論するために国は情報を開示する必要がある」と主張した[12]2023年2月28日、大阪地方裁判所は国に対し、不開示を取り消し、開示するよう命じた[13]。国が控訴を断念したためこの判決が確定した[14]
  • 2022年8月2日第49回衆議院議員総選挙細田博之の陣営が、島根県内の地方議員らに労務費名目で1日当たり数千円程度の現金を支払っていた問題で、細田と陣営幹部に対する公選法違反(買収)容疑で松江地方検察庁に告発状を提出したことを明らかにした[15][16]

人物

バンダナを愛用し、頭にバンダナを巻いていることが多い。好きな歌手は小椋佳である[17]

略歴

著作

単著

  • 『政党国家論と憲法学―「政党の憲法上の地位」論と政党助成』(信山社、1999年)
  • 『政党助成法の憲法問題』(日本評論社、1999年)
  • 『政党国家論と国民代表論の憲法問題』(日本評論社、2005年)
  • 『ゼロからわかる政治とカネ』(日本機関紙出版センター、2010年)
  • 『議員定数を削減していいの? ゼロからわかる選挙のしくみ』(日本機関紙出版センター、2011年)
  • 『なぜ4割の得票で8割の議席なのか~いまこそ、小選挙区制の見直しを』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『自民改憲案 VS 日本国憲法 緊迫! 9条と96条の危機』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『安倍改憲と「政治改革」~【解釈・立法・96条先行】改憲のカラクリ』(日本機関紙出版センター、2013年)
  • 『どう思う? 地方議員削減~憲法と民意が生きる地方自治のために』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『誰も言わない政党助成金の闇 「政治とカネ」の本質に迫る』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『財界主権国家・ニッポン 買収政治の構図に迫る』(日本機関紙出版センター、2014年)
  • 『告発!政治とカネ 政党助成金20年、腐敗の深層』(かもがわ出版、2015年)
  • 『追及! 安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』(日本機関紙出版センター、2016年)
  • 『日本国憲法の真価と改憲論の正体 施行70年、希望の活憲民主主義をめざして』(日本機関紙出版センター、2017年)
  • 『ここまできた小選挙区制の弊害―アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』(あけび書房、2018年)
  • 『内閣官房長官の裏金 ~ 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(日本機関紙出版センター、2018年)
  • 『安倍「4項目」改憲の建前と本音』(日本機関紙出版センター、2018年)

共著

  • 播磨信義・ 上脇博之・ 木下智史・ 脇田吉隆・ 渡辺洋編著『新・どうなっている!?日本国憲法』(第2版、法律文化社、2009年)
  • 坂本修・小澤隆一・上脇博之『国会議員定数削減と私たちの選択』(新日本出版社、2011年)
  • 稲次寛=上脇博之『高校生と教師の憲法授業 主権者になるために』(日本機関紙出版センター、2015年)ほか
  • 阪口徳雄、前川喜平、小野寺義象、石戸谷豊、岡田正則松宮孝明『ストップ!!国政の私物化: 森友・加計、桜、学術会議の疑惑を究明する』(あけび書房、 2021年4月) ISBN 9784871541886。

市民運動

  • 市民オンブズマン北九州幹事(1996年 - 2004年)
  • 議会の情報公開と政治倫理の確立度ランキング制定委員会委員長(1999年 - 2004年)
  • 政治倫理九州ネットワーク(1999年 - ?)
  • 政治改革オンブズパーソン事務局長(2000年 - 2007年)
  • 「有事法制を阻止し、憲法を守る」北九州の会代表委員(? - 2004年)
  • 政治資金オンブズマン共同代表(2002年 - )
  • 株主オンブズマン共同代表(2005年 - )
  • 兵庫県憲法会議幹事・事務局長(? - 1994年、2004年 - )
  • 九条の会がくえん代表呼びかけ人(2004年 - )
  • NHK市民の会会員
  • 政治資金センター理事[18]

社会活動

脚注

  1. 政治資金オンブズマンについて”. 政治資金オンブズマン. 2022年10月28日閲覧。
  2. 政治資金オンブズマン結成宣言”. 政治資金オンブズマン. 2022年10月28日閲覧。
  3. 「松井府知事を政治資金規正法違反で告発――大学教授ら」『松井府知事を政治資金規正法違反で告発 大学教授ら - MSN産経ニュース産経デジタル、2012年10月24日
  4. 「松井府知事へ政治資金規正法違反の告発状」『松井府知事へ政治資金規正法違反の告発状 - 社会ニュース : nikkansports.com日刊スポーツ新聞社、2012年10月24日。
  5. 「政治資金規正法――松井知事を刑事告発」『政治資金規正法 松井知事を刑事告発|MBSニュース-MBS毎日放送の動画ニュースサイト-毎日放送、2012年10月25日
  6. 「大阪府知事らを告発=政治資金規正法違反容――市民団体」『時事ドットコム:大阪府知事らを告発=政治資金規正法違反容疑-市民団体時事通信社、2012年10月24日。
  7. 事件番号  平成29(行ヒ)46 不開示決定処分取消等請求事件”. 最高裁判所. 2021年10月18日閲覧。
  8. “官房機密費、一部開示認める 最高裁が初判断”. 日本経済新聞. (2018年1月19日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25919810Z10C18A1000000/ 2021年10月18日閲覧。
  9. “「官房機密費」最高裁が一部開示命じる判決”. 日テレNEWS24. (2021年1月19日). https://news.ntv.co.jp/category/society/383371 2021年10月18日閲覧。
  10. 「開かずの扉こじ開けた」 最高裁「機密費」一部開示認める. KyodoNews. (2018年1月19日). https://m.youtube.com/watch?v=qNQ4Yx89s4I 2021年10月18日閲覧。
  11. 河井前法相と妻らを刑事告発”. NHK (2019年11月27日). 2019年12月5日閲覧。
  12. “政府が配布の布マスク、単価など開示命じる…大阪地裁「税金の使途にかかる説明責任」”. 読売新聞. (2023年2月28日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20230228-OYT1T50180/ 2023年3月15日閲覧。
  13. “アベノマスクの単価や発注枚数、開示へ 国が控訴断念”. 毎日新聞. (2023年3月15日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASR3G7QGZR3FPTIL01M.html 2023年3月15日閲覧。
  14. “細田議長の告発状提出 衆院選で公選法違反容疑”. 東京新聞. (2022年9月15日). https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/202345 2022年9月24日閲覧。
  15. “細田博之衆院議長が運動員買収で刑事告発されていた 《告発状入手》”. 文春オンライン. (2022年9月14日). https://bunshun.jp/articles/-/57400?page=1 2022年9月24日閲覧。
  16. 前掲『政党国家論と憲法学』の「あとがき」、およびTwitterへの投稿内容による。
  17. 公益財団法人政治資金センターの発足にあたって”. 公益財団法人政治資金センター. 2021年10月18日閲覧。

外部リンク

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