ヴァレンティーナ・シェフチェンコ

ヴァレンティーナ・シェフチェンコロシア語: Валентина Шевченко, ラテン文字転写: Valentina Shevchenko1988年3月7日 - )は、キルギスペルー女性総合格闘家。元プロボクサーキックボクサームエタイ選手。ビシュケク出身。アメリカ合衆国ラスベガス在住。タイガームエタイ所属。元UFC世界女子フライ級王者。UFC世界女子フライ級ランキング1位UFC女子パウンド・フォー・パウンド・ランキング3位キルギス人及びペルー人史上初のUFC世界王者。ワレンチナ・シェフチェンコとも表記される。

ヴァレンティーナ・シェフチェンコ
2016年
本名ヴァレンティーナ・アナトリェフナ・シェフチェンコ
(Valentina Anatolievna Shevchenko)
生年月日 (1988-03-07) 1988年3月7日(35歳)
出身地ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
キルギス・ソビエト社会主義共和国フルンゼ
通称バレット
(Bullet、弾丸)
居住アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ネバダ州ラスベガス
国籍キルギスの旗 キルギス
ペルーの旗 ペルー
身長165 cm (5 ft 5 in)
体重56.7 kg (125 lb)
階級フライ級
バンタム級
リーチ169 cm (67 in)
スタイルキックボクシング
ムエタイ
スタンスサウスポー
拠点キルギスの旗 キルギスビシュケク
チームタイガームエタイ
トレーナーパベル・フェドートフ
ランクテコンドー (黒帯二段、スポーツマスター)
ムエタイ (スポーツマスター)
ボクシング (スポーツマスター)
柔道 (黒帯、スポーツマスター)
現役期間2000年 -
総合格闘技記録
試合数27
勝利23
ノックアウト8
タップアウト7
判定8
敗戦4
ノックアウト1
タップアウト1
判定2
キックボクシング記録
試合数59
勝利57
ノックアウト4
敗戦2
プロボクシング記録
試合数2
勝利2
ノックアウト1
敗戦0
その他
大学キルギス国立芸術大学
著名な親族アントニーナ・シェフチェンコ (姉)
ウェブサイトhttp://www.bulletko.com/
総合格闘技記録 - SHERDOG
ボクシング記録 - BoxRec
獲得メダル
キルギスの旗 キルギス
ペルーの旗 ペルー
女子ムエタイ
世界選手権
2014 ランカウイ60kg級
2012 サンクトペテルブルク60kg級
2011 タシュケント60kg級
2010 バンコク63.5kg級
2009 バンコク60kg級
2008 釜山57kg級
2007 バンコク57kg級
2006 バンコク57kg級
2003 アルマトイ57kg級
スポーツアコードワールドコンバットゲームズ
2010 北京60kg級
2013 サンクトペテルブルク60kg級

来歴

ソビエト連邦キルギス・ソビエト社会主義共和国(現在のキルギス)でウクライナ人の両親の間に生まれた。キルギスタン・ムエタイ協会会長であり元ムエタイ王者であった母親の影響で、幼い頃から姉のアントニーナと共に5歳からテコンドー、12歳からムエタイ、キックボクシング、それからさらにサンボ柔道レスリングボクシングなど様々な格闘技に励んだ。将来の夢はダンサーとケーキ屋になることで両親から隠れてバレエのレッスンにも通ったとBBCのインタビューで話す。 [1][2]

キルギス国立芸術大学で映画監督部を専攻し卒業している。

Kunlun Fight時代のシェフチェンコ(2014年)

ムエタイ・キックボクシング

シェフチェンコはムエタイキックボクシングでプロ通算57勝2敗という戦績を誇り[1]IFMAWAKOWMCKunlun Fightなど数々の団体の世界タイトルを獲得した。2006年から2008年にかけて、後のUFC世界女子ストロー級王者であるヨアナ・イェンジェイチックと3度対戦し、全てシェフチェンコが勝利している[3]

ボクシング

2010年5月8日、移住先のペルーでプロボクシング戦績14戦12勝2敗の選手を相手にプロボクシングデビュー戦を行い、10R判定勝ちを収めた。

2011年、WIBA世界ライト級王者メリッサ・ヘルナンデスへの挑戦が発表されるが、シェフチェンコがボクシングの試合を1試合しかしたことが無かったためボクシング専門家やボクサーから多くの批判を受けた。そしてWIBA会長がヘルナンデスにシェフチェンコを相手に防衛戦を行わなければ王座を剥奪すると通告すると11月にヘルナンデスは王座を返上した[4]。そのため空位になった王座の決定戦でアン・サクラートと2011年12月9日にペルーのリマで対戦することが発表されるも最終的にキャンセルされ、シェフチェンコは代わりにネリス・リンコンと対戦した[5]

2012年1月14日、空位のWIBA世界ライト級王座決定戦でメアリー・マギーとの対戦が発表されるが再びキャンセルになった[6]

ボクシングのプロ通算戦績は2戦2勝1KO[7]

総合格闘技

2003年4月21日、15歳でプロデビュー[1]。デビュー戦から7連勝を挙げるが、ムエタイとキックボクシングに専念するため、総合格闘技を2006年から2010年まで休止した。

2010年9月30日、約4年半ぶりの総合格闘技復帰戦となったC3 Fightsでリズ・カムーシュと対戦し、カットによるドクターストップでTKO負けを喫した[8]。UFC契約前の唯一の敗戦となったが、シェフチェンコのカットが反則のグラウンド状態での下からの蹴り上げで負った傷であったため物議を醸した。

2011年4月30日、アクヤルキン・バイトゥルバエワと対戦し、カムーシュとの敗戦からの復帰戦を勝利するも、アマチュアムエタイに専念するため、再び約2年半総合格闘技を休止した。

UFC

2015年12月19日、UFCデビュー戦となったUFC on FOX 17で女子バンタム級ランキング5位のサラ・カフマンと対戦し、2-1の判定勝ち。

2016年3月5日、UFC 196で女子バンタム級ランキング4位のアマンダ・ヌネスと対戦し、0-3の判定負け。UFC初黒星を喫した。

2016年7月23日、UFC on FOX 20のメインイベントで女子バンタム級ランキング2位のホリー・ホルムと対戦し、3-0の5R判定勝ち。

2017年1月28日、UFC on FOX 23で女子バンタム級ランキング2位のジュリアナ・ペーニャと対戦し、2Rに腕ひしぎ十字固めで一本勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2017年9月9日、UFC 215のUFC世界女子バンタム級タイトルマッチで王者アマンダ・ヌネスと再戦。1-2の5R判定負けを喫し、王座獲得に失敗したが、シェフチェンコが勝利していたという声も上がる接戦となった。

2018年2月3日、新設されたフライ級に階級を落とし、UFC Fight Night: Machida vs. Andersでプリシラ・カショエイラと対戦。合計打撃ヒット数230対3という大差が付く一方的な展開となり、2Rにリアネイキドチョークで一本勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

UFC世界王座獲得

2018年12月8日、UFC 231のUFC世界女子フライ級王座決定戦で元UFC世界ストロー級王者のヨアナ・イェンジェイチックと対戦し、3-0の5R判定勝ち。王座獲得に成功した。

2019年6月8日、UFC 238のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング1位の挑戦者ジェシカ・アイと対戦し、2Rに左ハイキックで失神KO勝ち。王座の初防衛に成功し、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2019年8月10日、UFC Fight Night: Shevchenko vs. Carmouche 2のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング3位の挑戦者リズ・カムーシュと再戦し、3-0の5R判定勝ち。ジャッジ全員がフルマーク(50-45)をつける圧勝で9年越しのリベンジを果たし、2度目の王座防衛に成功した[9]

2020年2月8日、UFC 247のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング1位の挑戦者ケイトリン・チュケイギアンと対戦し、マット・ヒューズ・ポジションでのパウンドで3RTKO勝ち。3度目の王座防衛に成功した。

2020年11月21日、UFC 255のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング3位の挑戦者ジェニファー・マイアと対戦。再三に渡ってスピーディーな左フックや左ストレートをヒットさせ、3-0の5R判定勝ち。4度目の王座防衛に成功した。

2021年4月24日、UFC 261のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング1位の挑戦者ジェシカ・アンドラージと対戦。グラウンドで終始圧倒し、マット・ヒューズ・ポジションでの肘打ち連打で2RTKO勝ち。5度目の王座防衛に成功した。

2021年9月25日、UFC 266のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング3位の挑戦者ローレン・マーフィーと対戦。スタンドの攻防で終始圧倒し、4Rに右フックでぐらつかせ追撃のスタンドパンチ連打からテイクダウンを奪い、パウンドでTKO勝ち。6度目の王座防衛に成功した。

2022年6月12日、UFC 275のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング4位の挑戦者タイラ・サントスと対戦。再三にわたりテイクダウンを奪われチョークを極められかけるなど苦戦を強いられたものの、後半に盛り返して2-1の5R判定勝ち。女子UFC史上最多連続防衛記録となる7度目の王座防衛に成功した[10]

世界王座陥落

2023年3月4日、UFC 285のUFC世界女子フライ級タイトルマッチで女子フライ級ランキング6位の挑戦者アレクサ・グラッソと対戦。試合前のオッズでは1.1倍対7倍で圧倒的有利と目されていたが、4R終盤にスピニングバックキックを外した際にバックを奪われ、そのままネッククランクで一本負け。王座から陥落し、約5年半ぶりの敗戦となった[11]

ファイトスタイル

洗練されたストライカーで、相手との距離を正確に取り、左ストレートなど精度の高いカウンターを返す。またスピニングバックキック、ハイキック、ローキックなどの蹴り技を得意としている。ストライカーでありながら、テイクダウンの攻防や、寝技のテクニックにも優れている。

人物・エピソード

  • 2019年4月に7年ぶりに母国のキルギスへ凱旋帰国し国賓級の歓迎を受ける[12]。その際にソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領と面談、キルギスの「ダンク」勲章を受章した[13]
  • 格闘技のセミナーで訪れたペルーを気に入り、2008年にペルーの市民権を取得し姉アントニーナやコーチのパベル・フェドートフと共に移住した[14]
  • 2016年5月30日、ペルーの首都リマにあるレストランで、強盗銃撃事件に巻き込まれ、シェフチェンコは無傷で済んだが、食事を共にしていたコーチのフェドートフは命に別状はなかったものの腹部を撃たれた[15]
  • 総合格闘家のアントニーナ・シェフチェンコは実姉。
  • 射撃が趣味で2006年からトレーニングを始め2010年以来、国際実用射撃連盟(IPSC)、国際自衛ピストル協会(IDPA)、3ガン(3-Gun)などの射撃競技の大会に定期出場している[16]
  • ハル・ベリーが監督・主演を務めた映画「ブルーズド 〜打ちのめされても〜」に出演し、主役の対戦相手レディ・キラーを演じている。

戦績

総合格闘技 戦績
27 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
23 8 7 8 0 0 0
4 1 1 2 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
×アレクサ・グラッソ4R 4:34 ネッククランクUFC 285: Jones vs. Gane
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2023年3月4日
タイラ・サントス5分5R終了 判定2-1UFC 275: Teixeira vs. Procházka
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2022年6月12日
ローレン・マーフィー4R 4:00 TKO(パウンド)UFC 266: Volkanovski vs. Ortega
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2021年9月25日
ジェシカ・アンドラージ2R 3:19 TKO(グラウンドの肘打ち連打)UFC 261: Usman vs. Masvidal 2
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2021年4月24日
ジェニファー・マイア5分5R終了 判定3-0UFC 255: Figueiredo vs. Perez
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2020年11月21日
ケイトリン・チュケイギアン3R 1:03 TKO(パウンド)UFC 247: Jones vs. Reyes
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2020年2月8日
リズ・カムーシュ5分5R終了 判定3-0UFC Fight Night: Shevchenko vs. Carmouche 2
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2019年8月10日
ジェシカ・アイ2R 0:26 KO(左ハイキック)UFC 238: Cejudo vs. Moraes
【UFC世界女子フライ級タイトルマッチ】
2019年6月8日
ヨアナ・イェンジェイチック5分5R終了 判定3-0UFC 231: Holloway vs. Ortega
【UFC世界女子フライ級王座決定戦】
2018年12月8日
プリシラ・カショエイラ2R 4:25 リアネイキドチョークUFC Fight Night: Machida vs. Anders2018年2月3日
×アマンダ・ヌネス5分5R終了 判定1-2UFC 215: Nunes vs. Shevchenko 2
【UFC世界女子バンタム級タイトルマッチ】
2017年9月9日
ジュリアナ・ペーニャ2R 4:29 腕ひしぎ十字固めUFC on FOX 23: Shevchenko vs. Pena2017年1月28日
ホリー・ホルム5分5R終了 判定3-0UFC on FOX 20: Holm vs. Shevchenko2016年7月23日
×アマンダ・ヌネス5分3R終了 判定0-3UFC 196: McGregor vs. Diaz2016年3月5日
サラ・カフマン5分3R終了 判定2-1UFC on FOX 17: dos Anjos vs. Cowboy 22015年12月19日
ジャン・フィニー5分3R終了 判定3-0Legacy FC 392015年2月27日
ヘレン・バストス2R 3:00 TKO(ドクターストップ)Fusion FC 62014年2月26日
プリシラ・オレジャーナ1R 0:50 TKO(パンチ)Fusion FC 52013年12月18日
アクヤルキン・バイトゥルバエワ5分3R終了 判定3-0KF-1: MMA World Competition2011年4月30日
×リズ・カムーシュ2R 3:00 TKO(ドクターストップ)C3 Fights: Red River Rivalry2010年9月30日
ユリア・ネムツォワ1R 1:11 エゼキエルチョークProfessional Free Fight2006年3月3日
キム・キョンエ1R 1:09 腕ひしぎ十字固めWXF: X-Impact World Championships 20052005年7月9日
ローザ・カリエワ2R 1:29 リアネイキドチョークKazakhstan Federation of Pankration 22005年3月22日
アリャ・イスカレノワ1R リアネイキドチョークKazakhstan Federation of Pankration2005年3月21日
エルケシュ・ココエワ1R TKO(パンチ)Kyrgyz Federation of Kulatuu 22004年10月15日
キム・ミチェ1R 1:55 リアネイキドチョークWXF: X-Impact World Championships 20032003年12月3日
エリザ・アイダラリエワ2R TKO(パンチ)Kyrgyz Federation of Kulatuu2003年4月21日

獲得タイトル

ムエタイ

キックボクシング

  • KF-1 MMA Pro世界55kg級王座(2003年)
  • WAKO世界選手権 女子フェザー級 優勝(2004年)
  • KF-1 MMA Pro世界57kg級王座(2005年)
  • WKC K-1世界女子60kg級王座(2013年)
  • Kunlun Fight女子60kg級トーナメント 優勝(2014年)
  • 初代Kunlun Fight世界女子ライト級王座(2014年)

総合格闘技

表彰

  • UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(3回)

脚注

関連項目

外部リンク

空位
前タイトル保持者
ニコ・モンターニョ
第2代UFC世界女子フライ級王者

2018年12月8日 - 2023年3月4日

次王者
N/A
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