マツダ・B型エンジン
マツダ・B型エンジン(マツダ・Bがたエンジン)は、マツダによって1987年から2005年まで製造された、1.1L〜1.8Lの直列4気筒ガソリンエンジンである。ファミリアなどのマツダの小型車の他、OEMを通じてフォードやキアの車種にも搭載された。ロードスター(初代NA型、2代目NB型)に搭載されたエンジンとしても知られる。SOHCとDOHCの2タイプが存在し、カムシャフトの駆動はコグドベルト(タイミングベルト)式だが、タイミングベルトが切れてもバルブクラッシュは起きない設計となっている。
系譜
B1
- 種類:SOHC 8バルブ キャブレター
- 排気量:1,138cc
- 内径×行程:68.0×78.4 (mm)
- 主な搭載車種(車両型式)
- 初代フォード・フェスティバ(DA1PF)
B型エンジンで最も排気量の小さいタイプである。マツダと起亜自動車の工場で生産され、フォードによって日本やアメリカ合衆国などで発売されたフォード・フェスティバ(初代)及び、そのバッジ違いとなるマツダ・121(オーストラリアでマツダブランドから発売された)、キア・プライドなどに搭載された。
BJ
- 種類:DOHC 16バルブ EGI
- 排気量:1,290cc
- 内径×行程:78.0×67.5 (mm)
- 圧縮比:9.4
- 参考出力:88ps(65kW)/7,000rpm(DAJPF型 フォード・フェスティバ GT-X)
- 参考トルク:10.0kg・m(98.1N・m)/4,500rpm(DAJPF型 フォード・フェスティバ GT-X)
- 主な搭載車種(車両型式)
- フォード・フェスティバ GT-X(DAJPF)
後述のB5/B6をショートストローク化し高性能・高回転化したエンジンであり、フェスティバのスポーツグレードであるGT、GT-X及びGT-Aに搭載された。ショートストロークエンジンの弱点である低速トルク不足はVICS(可変吸気システム)で補っている[1]。
B3
- 種類:SOHC 16バルブ キャブレター/EGI
- 排気量:1,323cc
- 内径×行程:71.0×83.6 (mm)
- 圧縮比:9.4
- 参考出力:85ps(63kW)/6,000rpm(BJ3P型 マツダ・ファミリア)
- 参考トルク:11.2kg・m(109.8N・m)/4,000rpm(BJ3P型 マツダ・ファミリア)
- 主な搭載車種(車両型式)
B5
- 種類:SOHC 8バルブ、SOHC 16バルブ、DOHC 16バルブ EGI
- 排気量:1,498cc
- 内径×行程:78.0×78.4 (mm)
- 圧縮比:9.4
- 参考出力:100ps(74kW)/6,000rpm(B5-ME、DW5W型 マツダ・デミオ)
- 参考トルク:13.0kg・m(127.5N・m)/4,500rpm(B5-ME、DW5W型 マツダ・デミオ)
- 主な搭載車種(車両型式)
- 2代目フォード・フェスティバ(D25PF)
- 7代目ファミリア(BG5P/BG5S)
- 8代目ファミリア(BHA5P)
- 初代デミオ(DW5W)
- オートザムレビュー(DB5PA)
8バルブSOHCのB5、16バルブSOHCのB5-M・B5-ME・B5-MI、16バルブDOHCのB5-DEが存在する。B5-M・B5-ME・B5-MIはそれぞれ出力やトルクなどが異なる。
B6
- 種類:SOHC 8バルブ、SOHC 16バルブ、DOHC 16バルブ EGI
- 排気量:1,597cc
- 内径×行程:78.0×83.6 (mm)
- 圧縮比:9.4
- 参考出力:125ps(92kW)/6,500rpm(B6-ZE [RS]、NB6C型 マツダ・ロードスター)
- 参考トルク:14.5kg・m(142N・m)/5,000rpm(B6-ZE [RS]、NB6C型 マツダ・ロードスター)
- 主な搭載車種(車両型式)
7代目ファミリアに初搭載され、約半年後に発売されたNA型ロードスターにもB6-ZE [RS]として搭載された。ロードスターに搭載するにあたっては、横置きから縦置きへの設計変更や、VICS(可変吸気システム)の不採用、レギュラーガソリン仕様化(ファミリアはハイオク仕様)に伴う圧縮比低下などの変更がなされている[2]。
BP
- 種類:DOHC 16バルブ EGI
- 排気量:1,839cc
- 内径×行程:83.0×85.0 (mm)
- 圧縮比:9.5(BP-ZE [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター)
- 参考出力
- 135ps(99kW)/7,000rpm(BP、BG8S型マツダ・ファミリアGT)
- 145ps(107kW)/6,500rpm(BP-ZE [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター(2000年7月のマイナーチェンジまで))
- 160ps(118kW)/7,000rpm(BP-VE [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター(2000年7月のマイナーチェンジ以降))
- 172ps(126kW)/6,000rpm(BP-ZET [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター ターボ)
- 参考トルク
- 16.0kg・m(156.9N・m)/4,500rpm(BP、BG8S型マツダ・ファミリアGT)
- 16.6kg・m(162.8N・m)/5,000rpm(BP-ZE [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター(2000年7月のマイナーチェンジまで))
- 17.3kg・m(170N・m)/5,500rpm(BP-VE [RS]、NB8C型マツダ・ロードスター(2000年7月のマイナーチェンジ以降))
- 21.3kg・m(209N・m)/5,500rpm(BP-ZET [RS]、NB8C型マツダ・ロードスターターボ)
- 主な搭載車種(車両型式)
- 7代目ファミリア(BG8S/BG8P/BG8Z/BG8R)
- 8代目ファミリア(BHA8S/BHA8P)
- ランティス(CBA8P)
- 初代ロードスター(NA8C)
- 2代目ロードスター(NB8C)
1991年に発売された7代目ファミリアGTに初搭載された。1993年7月のロードスターの商品改良では、それまで搭載されていたB6-ZEに代わってBP-ZE [RS]として、縦置き仕様が初搭載された。2代目のNB型ロードスターでも引き続き採用され、2000年7月でのマイナーチェンジでは可変バルブタイミング機構(S-VT)を採用したBP-VEにバージョンアップした[3]。また、限定車として発売されたロードスターターボには、BP-ZEをベースにターボを組み込んだBP-ZETが搭載された[4]。
脚注
- 【昭和の名車 170】フォード フェスティバはイメージリーダーの「GT」が注目を集めた webモーターマガジン、2020年2月8日
- 内燃機関超基礎講座 | ユーノス・ロードスターの1.6ℓエンジン[B6-ZE RS] Motor-Fun、2021年5月15日
- 【国産名機10選 08】「マツダ BP-ZE」は、排気量アップでロードスターに余裕を生んだ webモーターマガジン、2019年8月16日
- 「歴代モデルで唯一ターボエンジンを搭載するロードスター」圧倒的な中間トルクで怒涛の加速! web option、2023年1月13日