パッチュク
伝統
小豆は色が赤いことから、朝鮮では陰陽の「陽」の象徴と伝えられている[1]。冬至は昼の時間が延び始める重要な節目であるともに「陰」がピークを迎える日とされ、疫鬼や邪気を追い払うため、小豆を用いたパッチュケを食べたり家の周囲などに撒くという風習が生まれた[1]。なお、玄関の柱や室内などに撒くこともあったが、汚れることを嫌って近年は行われなくなった[3]。また、米を主食とする朝鮮の食生活の中で不足しがちなビタミンB1が穀類の中でも小豆には特に豊富なため栄養バランスの点からも好ましく、近隣の住民と一緒に食べて交流を深める効果もある、と考えられている[1][2]。
パッチュクに入れる白玉はセアルシム(朝: 새알심)と呼ばれ、セアルは「鳥の卵」、シムは「心」を意味する[3]。子どもは年齢の数だけセアルシムを食べて無病息災を祈るという風習もある[3]が、近年では数にこだわらない例が増えているという[4]。なお、小豆粥に白玉ではなく手打ち面を加えたパッカルグクス(朝: 팥칼국수)も冬至の行事食となっている[3]。
地域ごとに異なる風習もあり、全羅道では転居や葬儀の際にパッチュクを作る[5]。また、農繁期には女性達が一樽ずつ作って持ち寄り、調理の手間を軽減する[5]。慶尚道ではパッチュクを松の葉で家の四隅に撒き、三の神(桓因、桓雄、桓倹)に祈ることで病気を払うよう願う[6]。京畿道では、家族の四十九日を終えるまでにパッチュクを作ると鬼に嫌われて祖先が成仏できないとして、緑豆で代わりに粥を作る[6]。また、故人の誕生日には祠堂で茶礼を行った後に数か所に置いたパッチュクを食べることがある[6]。
製法
一例として、下記のような材料および製法がある[1]。
脚注
- 秋桂任 2008, p. 59
- “韓国料理レシピシリーズ:パッチュク(小豆粥)”. KOREA.net. 海外文化弘報院 (2015年12月23日). 2022年11月1日閲覧。
- “【白雪かあさんの韓国料理⑨】韓国の冬至に「パッチュク」”. KOREA.net. 海外文化弘報院 (2021年12月22日). 2022年11月1日閲覧。
- “パッチュク(小豆粥)”. KBS WORLD JAPANESE. KBS (2019年1月21日). 2022年11月1日閲覧。
- 秋桂任 2008, p. 60
- 秋桂任 2008, p. 61
参考文献
- 秋桂任「世代を越えて受け継がれる韓国の小豆粥」『豆類時報』第50号、日本豆類協会、2008年、59-61頁、NAID 40015930486。
外部リンク
- ウィキメディア・コモンズには、パッチュクに関するカテゴリがあります。
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