バウチャーコン

バウチャーコンBouchercon、正式名称:the Anthony Boucher Memorial World Mystery Convention )は、ミステリ推理小説の創作者(作家・批評家)や愛好者が年に一度集まる世界大会[1]。作家、批評家、編集者だったアントニー・バウチャーに敬意を表してその名が付けられた[2]

バウチャーコン
種類 ミステリ
会場所在地 輪番(次回は2016年9月15日 - 18日、ルイジアナ州ニューオーリンズ
開催国 アメリカ合衆国
初回開催 1970年 -
ウェブサイト
http://bouchercon.info/

毎年秋に、異なる都市でボランティアらの手によって開催される[3]。大会は木曜日から日曜日まで行われる。

各年ごとに優れた推理小説の推薦・投票が行われ、アンソニー賞(長編賞・新人賞・短編賞・評論 / ノンフィクション賞・ペーパーバック賞)が決定する(1986年 - )。

参加者は、作家、書店員、出版関係者やミステリや推理小説の読者などである。第1回大会は1970年カリフォルニア州サンタモニカで開催され、名誉ゲストは「サイコ」で知られるロバート・ブロックであった。


開催地及び名誉賞受賞者

開催地功労賞受賞者
11970年カリフォルニア州サンタモニカ-
21971年カリフォルニア州ロサンゼルス-
31972年カリフォルニア州ロサンゼルス-
41973年マサチューセッツ州ボストン-
51974年カリフォルニア州オークランド-
61975年イリノイ州シカゴ-
71976年カリフォルニア州カルバーシティ-
81977年ニューヨーク州ニューヨーク-
91978年イリノイ州シカゴ-
101979年カリフォルニア州ロサンゼルス-
111980年ワシントンD.C.-
121981年ウィスコンシン州ミルウォーキー-
131982年カリフォルニア州サンフランシスコ-
141983年ニューヨーク州ニューヨーク-
151984年イリノイ州シカゴ-
161985年カリフォルニア州サンフランシスコ-
171986年メリーランド州ボルチモア-
181987年ミネソタ州ミネアポリス-
191988年カリフォルニア州サンディエゴ-
201989年ペンシルベニア州フィラデルフィアドロシー・ソールズベリ・デイヴィス
211990年イングランドロンドンマイケル・ギルバート
221991年カリフォルニア州パサデナウィリアム・キャンベル・ゴールト
231992年オンタリオ州トロントシャーロット・マクラウド
241993年ネブラスカ州オマハハモンド・イネスラルフ・マキナニー
251994年ワシントン州シアトルトニイ・ヒラーマン
261995年イングランド・ノッティンガム-
271996年ミネソタ州セントポール-
281997年カリフォルニア州モントレードナルド・E・ウェストレイク
291998年ペンシルベニア州フィラデルフィア-
301999年ウィスコンシン州ミルウォーキーレン・モファット、ジューン・モファット
312000年コロラド州デンバージェーン・ラングトン
322001年ワシントンD.C.エドワード・D・ホック
332002年テキサス州オースティン-
342003年ネバダ州ラスベガス-
352004年オンタリオ州トロントバーナード・コーンウェル
362005年イリノイ州シカゴビル・プロンジーニマーシャ・ミュラー
372006年ウィスコンシン州マディソンロバート・B・パーカー
382007年アラスカ州アンカレッジジェイムズ・サリス
392008年メリーランド州ボルチモアローレンス・ブロック
402009年インディアナ州インディアナポリスAllen J. Hubin
412010年カリフォルニア州サンフランシスコリー・チャイルド
422011年ミズーリ州セントルイスサラ・パレツキー
432012年オハイオ州クリーブランドメアリ・H・クラーク
442013年ニューヨーク州オールバニスー・グラフトン
452014年カリフォルニア州ロングビーチジェフリー・ディーヴァー
462015年ノースカロライナ州ローリーマーガレット・マロン
472016年ルイジアナ州ニューオーリンズディヴィッド・マレル
482017年オンタリオ州トロント
492018年フロリダ州セントピーターズバーグイアン・ランキン

日本の推理作家の参加

1997年10月30日から11月2日にかけてカリフォルニア州モントレーで開催された第28回バウチャーコンには、日本推理作家協会50周年事業のひとつとして日本の推理作家の井沢元彦および推理小説研究家の山前譲が派遣された(最初に渡米を打診されたのはアメリカで作品の英訳が出版されていた宮部みゆきで、それに井沢元彦が同行する予定だったが、宮部みゆきが飛行機に乗りたくないと言ったため、作品の英訳が出版されていない井沢元彦と山前譲が派遣されることになった)。最終日には日本の推理小説の英訳アンソロジーを編纂したこともあるジョン・アポストロウを司会役に、日本の推理小説について語るパネル・ディスカッションが開かれた。井沢元彦、山前譲以外の参加者は以下の通り。

  • 千田宏之 - 『ミステリマガジン』編集部
  • ロバート・J・コリンズ - 日本在住(当時)のアメリカ人作家。『日米摩擦、やっと原点が見えてきた』などの小説のほか、カワムラ警部を主人公とする長編推理小説シリーズ発表している。
  • ジェイムズ・メルヴィル - イギリスの推理作家。10年ほど日本に住んだ経験があり、日本を舞台にした大谷本部長捜査シリーズなどの著作がある。
  • ローラ・ジョー・ローランド - アメリカの推理作家。17世紀の日本を舞台にした長編推理小説シリーズを発表している。

なお、翌1998年の第29回バウチャーコンではアジアの推理小説についてのパネル・ディスカッションが開かれ、日本からは前年に引き続き『ミステリマガジン』の千田宏之が参加した。司会者はジョン・アポストロウで、ほかの参加者は、日本を舞台にした『雪殺人事件』でアガサ賞最優秀処女長編賞を受賞したスジャータ・マッシー、現代中国を舞台にしたミステリ『黄昏の北京 王警部補の事件簿』などの著作があるクリストファー・ウエスト、19世紀の香港を舞台にしたミステリの著作があるディーン・バレット

出典

  1. Bouchercon World Mystery Convention : Home”. Bouchercon.info. 2012年1月30日閲覧。
  2. Bouchercon 2010 by the Bay: The World Series of Mystery”. Libraryjournal.com. 2012年1月30日閲覧。
  3. Happy Birthday, Mr. Holmes - The New York Sun”. Nysun.com (2005年1月5日). 2012年1月30日閲覧。
  • 井沢元彦「バウチャーコン体験記」(『ミステリマガジン』1998年2月号)
  • 「日本ミステリ・パネル誌上再現」(『ミステリマガジン』1998年2月号)
  • 「アジア・ミステリ・パネル誌上再現」『ミステリマガジン』1999年2月号)
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