エクスフィニティ・シリーズ

エクスフィニティ・シリーズ (Xfinity Series) は、NASCARが主催するストックカーレースのカテゴリー。モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズの下位カテゴリー。カップシリーズにステップアップを目指すドライバーたちが競い合う。エクスフィニティ・シリーズはモンスターエナジー・カップシリーズと同じ開催地でその前日などに開催されたり独立開催もあり、ファンたちは両方のイベントを楽しむことができることが多い。またカップ戦ドライバーの参戦も多く、同じ週末に両レースを制覇してしまう猛者もいる。

エクスフィニティ・シリーズ
カテゴリ ストックカー
国・地域 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
開始年 1982年
コンストラクター アメリカ合衆国の旗 シボレー
アメリカ合衆国の旗 フォード
日本の旗 トヨタ
ドライバーズ
チャンピオン
タイラー・レディック(2018年)
チーム
チャンピオン
JRモータースポーツ(2018年)
マニュファクチャラーズ
チャンピオン
シボレー(2018年)
公式サイト NASCAR.com
現在のシーズン

そのためアメリカンモータースポーツにおける人気はNASCARカップ戦に次いで高く、視聴者数はインディカーNHRAを遥かに凌ぐ[1]

旧名称はバドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズBudweiser Late Model Sportsman Series:1982~1983年)、ブッシュ・グランドナショナル・シリーズ またはブッシュ・シリーズ(Busch Grand National Series:1984~2003年) 、ネイションワイド・シリーズNationwide Series:2004~2014年)。

歴史

ペースカ-に先導されるレースカー、テキサス、2007年4月

シリーズは1950年代にNASCARのショートトラック・ディビジョンから形成されたスポーツマン・ディビジョンが元である。それは1948年に創設されたモディファイド・シリーズロードスター・シリーズ、1949年に創設されたストリクトリー・ストック・シリーズに次ぐ4番目のシリーズである。スポーツマン・ディビジョンで使用される車両は現行モデル車ではなく、より改造が行われたものであった。(モディファイド・シリーズで使用される車両程は改造されてはいない。)[2]1968年にはレイトモデル・スポーツマン・シリーズと改称され、間もなくデイトナ・インターナショナル・スピードウェイのようなより大きなサーキットで競われるようになった。ドライバーはより大きなサーキットで旧式なグランドナショナル(現在のスプリントカップ・シリーズ)用車両を使用したが、1982年のNASCAR・バドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズからは旧式の小型車を使用するようになった。ショートトラック用車両は300立方インチの比較的小さなV型8気筒エンジンを搭載した。ドライバーたちはV型6気筒エンジンを搭載した現行モデル車を使用した。

現在のネイションワイド・シリーズは1982年に形成された。アンハイザー・ブッシュ社が新たに変更されたレイトモデル・スポーツマン・シリーズを、バドワイザー・ブランドでスポンサードした。シリーズは1984年にブッシュ・ブランドが冠されるようになり、1986年にはブッシュ・グランドナショナル・シリーズと改称された。

「グランドナショナル」の語は2003年にNASCARブランドのアイデンティティ確立の一環として取り外された。現在「グランドナショナル」は地方シリーズであるブッシュ・イースト・シリーズ(現・NASCAR K&N プロシリーズ・イースト)およびウィンストン・ウェスト・シリーズ(現・NASCAR K&N プロシリーズ・ウェスト)に使用される。2007年シリーズの後、アンハイザー・ブッシュはスポンサーを更新しないと発表した。2008年シーズンはネイションワイド・インシュアランス社がタイトルスポンサーとなり、シリーズはネイションワイド・シリーズと改称された[3]

ネイションワイドによるスポンサーシップは7年間の契約であり、その期間はABC/ESPNとNASCARとの放送契約と一致している。スポンサーシップは2008年度、1,000万ドルで契約され、その後は年6%ずつ増加することとなっている[4]。直接のスポンサー料に加え、ネイションワイドはESPNでの広告料として400万ドルから500万ドルの追加契約を行った。

2014年9月にはNBCNBCSNの親会社コムキャストケーブルテレビ事業部門である「エクスフィニティ」がスポンサー契約を結んだ[5]

アメリカ国外の、カナダやメキシコでもロードレースを行うことがある。

使用車両

スプリントカップ車両との差異

カー・オブ・トゥモロー車両の導入に従い、ネイションワイド・シリーズの車両はスプリントカップ・シリーズ車両と大きく異なるようになった。主な違いとして、ホイールベースの短縮化(110インチから105インチ)、100ポンドの軽量化、ウィングの代わりにスポイラーを装着、非力なエンジンが挙げられる。以前にはスプリントカップのV8エンジンに代わってV6エンジンを使用するのと同様に、スプリントカップでは使用されない車両を使用することができた。

80年代前半、ゼネラルモーターズの参加チームは311立方インチ(5.096リットル)のエンジンを積む 1971-77年式GM・X-ボディコンパクトカーからその使用車両を切り替えていき、後には1982-87年式GM・G-ボディを使用するようになった。フォード・モーター使用チームは一貫してフォード・サンダーバードを使用した。

1989年、NASCARはスプリントカップ・シリーズ車両同様の車体を使用するように規則を変更した。しかしながら搭載エンジンはV6のままであった。車両は徐々にスプリントカップ・シリーズ車両同様に変化していった。

性能諸元

NASCARオフィシャルによりテンプレートによる計測を受ける、2004年式シボレー・モンテカルロケイシー・アトウッド車。

参戦メーカー・車両の変遷

バドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズ(1982年–1983年)

クライスラー
フォード
  • フォード・フェアモント(1982年–1983年)
ゼネラル・モーターズ
  • シボレー・マリブ(1982年–1983年)
  • オールズモビル・オメガ(1982年–1983年)
  • ポンティアック・ヴェンチュラ(1982年–1983年)

ブッシュ・グランドナショナル・シリーズ(1984年–2003年)

クライスラー
フォード
ゼネラル・モーターズ
  • ビュイック・リーガル(1985年, 1988年–1995年) ※1991年以降はビュイックの公式サポートが無くなる。
  • ビュイック・ルセイバー(1986年–1989年)
  • シボレー・モンテカルロ(1986年–1988年, 1995年–2003年)
  • シボレー・ノヴァ(1984年–1988年)
  • シボレー・ルミナ(1989年–1995年)
  • オールズモビル・オメガ(1984年–1987年)
  • オールズモビル・デルタ88(1986年–1995年) ※1992年以降はオールズモビルの公式サポートが無くなる。
  • ポンティアック・ヴェンチュラ(1984年–1987年)
  • ポンティアック・グランプリ(1988年–2003年)

ブッシュ・シリーズ(2004年–2007年)

クライスラー
フォード
ゼネラル・モーターズ
  • ポンティアック・グランプリ(2004年)
  • シボレー・モンテカルロ(2004年–2005年)
  • シボレー・モンテカルロSS(2006年–2008年)
トヨタ

ネイションワイド・シリーズ(2008年–2014年)

クライスラー
フォード
ゼネラル・モーターズ
トヨタ

エクスフィニティ・シリーズ(2015年–現在)

FCA US(クライスラー)
  • ダッジ・チャレンジャー(2015年–2016年) ※公式サポート無し
フォード
  • フォード・マスタング(2015年–現在)
ゼネラル・モーターズ
  • シボレー・カマロ(2015年–現在)
トヨタ

歴代チャンピオン

ドライバー オーナー チーム No メーカー St Ws TT P Pts Gap
1982 ジャック・イングラム ジャック・イングラム イングラム・レーシング 11 ポンティアック 29 7 24 1 4495 47
1983 サム・アード ハワード・トーマス トーマス・ブラザーズ・レーシング 00 オールズモビル 35 10 30 10 5454 84
1984 サム・アード(2) ハワード・トーマス(2) トーマス・ブラザーズ・レーシング(2) 00 オールズモビル(2) 28 8 26 7 4552 426
1985 ジャック・イングラム(2) ジャック・イングラム(2) イングラム・レーシング(2) 11 ポンティアック(2) 27 5 22 2 4106 29
1986 ラリー・ピアソン デヴィッド・ピアソン ピアソン・レーシング 21 ポンティアック(3) 31 1 24 1 4514 7
1987 ラリー・ピアソン(2) デヴィッド・ピアソン(2) ピアソン・レーシング(2) 21 シボレー 27 6 20 3 3959 394
1988 トミー・エリス ジョン・ジャクソン J&Jレーシング 99 ビュイック 30 3 20 5 4281 295
1989 ロブ・モローゾ ディック・モローゾ モローゾ・レーシング 25 オールズモビル(3) 29 4 16 7 4001 55
1990 チャック・ボウン ヒューバート・ヘンズレー HVPモータースポーツ 63 ポンティアック(4) 31 6 18 4 4372 200
1991 ボビー・ラボンテ ボビー・ラボンテ ラボンテ・モータースポーツ 44 オールズモビル(4) 31 2 21 2 4264 74
1992 ジョー・ネメチェク ジョー・ネメチェク NEMCOモータースポーツ 87 シボレー(2) 31 2 18 1 4275 3
1993 スティーヴ・グリソム ウェイン・グリソム グリソム・レーシング・エンタープライゼス 31 シボレー(3) 28 2 18 0 3846 253
1994 デヴィッド・グリーン ボビー・ラボンテ(2) ラボンテ・モータースポーツ(2) 44 シボレー(4) 28 1 14 9 3725 46
1995 ジョニー・ベンソン・ジュニア ビル・ボームガードナー BACEモータースポーツ 74 シボレー(5) 26 2 19 0 3688 404
1996 ランディ・ラジョーイ ビル・ボームガードナー(2) BACEモータースポーツ(2) 74 シボレー(6) 26 5 20 2 3714 29
1997 ランディ・ラジョーイ(2) ビル・ボームガードナー(3) BACEモータースポーツ(3) 74 シボレー(7) 30 5 21 2 4381 266
1998 デイル・アーンハート・ジュニア デイル・アーンハート デイル・アーンハート・インク 3 シボレー(8) 31 7 22 3 4469 48
1999 デイル・アーンハート・ジュニア(2) デイル・アーンハート(2) デイル・アーンハート・インク(2) 3 シボレー(9) 32 6 22 3 4647 280
2000 ジェフ・グリーン グレッグ・ポレックス ppcレーシング 10 シボレー(10) 32 6 27 7 5005 616
2001 ケヴィン・ハーヴィック リチャード・チルドレス リチャード・チルドレス・レーシング 2 シボレー(11) 33 5 24 4 4813 124
2002 グレッグ・ビッフル ジャック・ラウシュ ラウシュ・レーシング 60 フォード 34 4 25 5 4924 280
2003 ブライアン・ヴィッカーズ リック・ヘンドリック ヘンドリック・モータースポーツ 5 シボレー(12) 34 3 21 1 4637 14
2004 マーティン・トゥーレックス・ジュニア デイル・アーンハート・ジュニア デイル・アーンハート・インク(3) 8 シボレー(13) 34 6 26 7 5173 230
2005 マーティン・トゥーレックス・ジュニア(2) デイル・アーンハート・ジュニア(2) デイル・アーンハート・インク(4) 8 シボレー(14) 35 6 22 3 4937 68
2006 ケヴィン・ハーヴィック(2) リチャード・チルドレス(2) リチャード・チルドレス・レーシング(2) 21 シボレー(15) 35 9 32 1 5648 824
29
ケヴィン・ハーヴィック ケヴィン・ハーヴィック・インコーポレート 33
2007 カール・エドワーズ ジャック・ラウシュ(2) ラウシュ・フェンウェイ・レーシング 60 フォード(2) 35 4 21 0 4805 618
2008 クリント・ボウヤー リチャード・チルドレス(3) リチャード・チルドレス・レーシング(3) 2 シボレー(16) 35 1 29 0 5132 21
2009 カイル・ブッシュ ジョー・ギブス ジョー・ギブス・レーシング 18 トヨタ 35 9 30 3 5682 210
2010 ブラッド・ケセロウスキー ロジャー・ペンスキー ペンスキー・レーシング 22 ダッジ 35 6 29 5 5639 445
2011 リッキー・ステンハウス・ジュニア ジャック・ラウシュ(3) ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(2) 6 フォード(3) 34 2 26 3 1,222 45
2012 リッキー・ステンハウス・ジュニア(2) ジャック・ラウシュ(4) ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(3) 6 フォード(4) 33 6 26 4 1,251 23
2013 オースティン・ディロン リチャード・チルドレス(4) リチャード・チルドレス・レーシング(4) 3 シボレー(17) 33 0 22 7 1,180 3
2014 チェイス・エリオット デイル・アーンハート・ジュニア(3) JRモータースポーツ 9 シボレー(18) 33 3 26 2 1,213 42
2015 クリス・ブッシャー ジャック・ラウシュ(5) ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(4) 60 フォード(5) 33 2 20 0 1190 15
2016 ダニエル・スアレス ジョー・ギブス(2) ジョー・ギブス・レーシング(2) 19 トヨタ(2) 33 3 27 2 4040 2
2017 ウィリアム・バイロン デイル・アーンハート・ジュニア(4) JRモータースポーツ(2) 9 シボレー(19) 33 4 22 2 4034 5
2018 タイラー・レディック デイル・アーンハート・ジュニア(5) JRモータースポーツ(3) 9 シボレー(20) 33 2 20 0 4040 5

参照

  1. Ratings Roundup: IndyCar, F1, NHRA
  2. The Busch Series dilemma
  3. Nationwide Insurance to be sponsor of No. 2 Series
  4. NASCAR Scene, October 11, 2007, Vol. XXXI - No. 24, p32
  5. Mickle, Tripp (2014年8月28日). “Comcast, NASCAR To Announce 10-Year Deal Next Week For Xfinity To Title No. 2 Series”. スポーツ・ビジネス・ジャーナル. http://www.sportsbusinessdaily.com/Daily/Issues/2014/08/28/Marketing-and-Sponsorship/Xfinity.aspx 2014年9月1日閲覧。
  6. ドライバーの体重200 lb (91 kg)以上の場合は前者が適用され、それ以下の場合は後者の規定が適用される事で、多様な人種や年齢層が参加するステップアップカテゴリーとしての公平性を担保している。

関連項目

外部リンク


This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.