ナカムラクニオ
ナカムラ クニオ(1971年 - )は荻窪『6次元』主宰の美術家。民放やNHKワールドで美術や旅番組の演出家として映像制作に携わり、これまでに訪れた国は60ヶ国以上[1]。現在は画家、金継ぎ作家として活動し、山形ビエンナーレや東京ビエンナーレにも参加している。
略歴
東京都目黒区生まれ。母方の先祖は、平良文を祖とする豊島一族の板橋氏。親戚にスウェーデン語翻訳家の板橋憲明、戦前のアメリカで宣教師とした活躍した山本忠美などがいる。父方は目黒区で工場を経営。勲章や和菓子の金型などを制作していた。東京都立日比谷高等学校在学中より美術の活動を始める。学生時代に作品を横尾忠則に絶賛され、17歳で初個展を開く。公募展など受賞多数、すどう美術館の「菅創吉との対話」展などにも参加。西麻布にあった現代美術館「PICA(ペンローズ・インスティテュート)」のスタッフをしながら世界を巡り、美術書、美術作品など収集。中村政人らと新宿少年アートなどの現代美術の活動も続けていた。アーツ千代田3331で開催された、特別展「アーリー90's トーキョー アートスクアッド」展(2020年3月開催)にも参加している。
日本大学を卒業後、フジテレビ系の制作会社ニユーテレスに入社。ネクサスでは、「開運!なんでも鑑定団」「地球街道」などを担当。その後、NHKワールドで紀行番組を担当、「Out & About」「journeys in Japan」など、日本の文化を海外に伝える国際番組を多数演出した。代表作にNHK、Eテレ『世界が読む村上春樹 〜境界を越える文学〜』などがある。
2008年、荻窪にギャラリー「6次元」を設立。近現代美術史に造詣が深く、ブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)、山種美術館、Bunkamura ザ・ミュージアム、京都文化博物館、あべのハルカス美術館などでギャラリートーク開催。2022年に東京都美術館で開催されるボストン美術館展のアートナビゲーターを担当している。
また陶磁器修復技術「金継ぎ」の普及活動をはじめ、東北、熊本などの被災地やアメリカなどでワークショップを開催。映像作品『金継ぎ PIECES IN HARMONY』は、ADFEST 2018(第21回アジア太平洋広告祭)デザイン部門でシルバーを受賞。資生堂の世界CM「The redefiniton of Japanese Beauty by Shiseido」に金継ぎの器を提供。小学校高学年向け環境問題の教科書「エシカル消費(金の星社)」にも「金継ぎ」の項目が掲載されるようになった。
出演する映画「Kintsugi」は、ダマー国際映画祭、サンダンス国際映画祭で上映された。児童養護施設に暮らす子どものドキュメンタリー映画「ぼくのこわれないコンパス(2019)」(監督マット・ミラー)にも出演、金継ぎをテーマにした絵本「My Invincible Compass」が出版されている。
2019年には、アメリカの画家マコトフジムラと共同で金継ぎの学校「キンツギアカデミー」をロサンゼルスに設立、ニューヨークで展示やワークショップなどを企画。2021年には、東根市美術館で東北各地の市民とともに制作した器を展示する「金継ぎアンソロジー」展を開催した(キュレーター/宮本武典)。
主な仕事
著書
- 『人が集まる「つなぎ場」のつくり方〜都市型茶室「6次元」の発想とは』(CCCメディアハウス、2013年)
- 『さんぽで感じる村上春樹』(ダイヤモンド社、2014年)
- 『ブックトープ山形』(東北芸術工科大学、2015年)
- 『パラレルキャリア』(晶文社、2016年)
- 『ブックトープ豊橋』(豊橋市、2016年)
- 『金継ぎ手帖』(玄光社、2017年)
- 『猫思考』(集英社、2018年)
- 『村上春樹語事典』(誠文堂新光社、2018年)
- 『はじめての金継ぎBOOK』(光文社、2018年)
- 『古美術手帖』(玄光社、2019年)
- 『世界の本屋さんめぐり』(産業編集センター、2019年)
- 『チャートで読み解く美術史入門』(玄光社、2019年)
- 『魔法の文章講座』(パイインターナショナル、2019年)
- 『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』(筑摩書房、2019年)
- 『モチーフで読み解く美術史入門』(玄光社、2020年)
- 『本の世界をめぐる冒険』(NHK出版、2020年)
- 『描いてわかる西洋絵画の教科書』(玄光社、2020年)
- 『洋画家の美術史』(光文社、2021年)
- 『こじらせ美術館』(集英社、2021年)
- 『こじらせ恋愛美術館』(集英社、2023年)
外部リンク
- ナカムラクニオ(6次元) (@6jigen) - Twitter
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