ドルビーHX PRO
ドルビー HX PRO (ドルビー エイチエックス プロ、Dolby HX Pro)はドルビーラボラトリーズが1982年に開発した、従来のドルビー HX(ドルビー エイチエックス、Dolby HX)を大幅に改良し、テープレコーダーの録音時に高域特性を改善するシステムである。 HX は "Headroom eXtension"、 PRO は "Process" に由来する。
日本メーカー製のカセットデッキとしては1982年にアイワ(初代法人)が開発・製造・発売した「AD-FF60」、および「AD-FF70」にドルビーHX PROが初めて搭載された。
テープレコーダーの録音では直線性を改善するために音声信号に交流バイアス信号を重畳している。このとき音声信号に高域成分が含まれているとそれ自身が交流バイアスと似た働きをし、録音バイアス量過多の場合と同様に高域のレスポンスや最大録音レベルが低下する。ドルビーHX PRO は音声信号の高域成分を検出し録音バイアス量を 1 ms 毎に制御することで高域特性を改善する。
ドルビーHX PRO は従来のドルビーHX同様、エンコード(録音)時のみの処理であり、デコード(再生)時には何の処理もしないので、既存のドルビーノイズリダクションシステムとは異なり再生互換の問題がない。そのためこの機能を搭載するテープレコーダーはごく一部の高価格帯の機種を除き、通常オン/オフのスイッチを設けず常時作動するようになっている。
東芝 EMI (現:ユニバーサル ミュージック ジャパン)、ワーナー・パイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)はミュージックテープにドルビーHX PRO を、 J-POP を含む全てのポップス、ロック、歌謡曲、演歌、フュージョン、ジャズなどジャンルを問わず採用していた時期があった。
関連項目
- ドルビーラボラトリーズ
- ドルビーHX
- ドルビーノイズリダクション