チロエオポッサム
チロエオポッサム(Dromiciops gliroides)は、ミクロビオテリウム目ミクロビオテリウム科チロエオポッサム属に分類される有袋類。本種のみでチロエオポッサム属を構成する[2]。
チロエオポッサム | ||||||||||||||||||||||||
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チロエオポッサム Dromiciops gliroides | ||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Dromiciops gliroides Thomas, 1893 | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
チロエオポッサム[3][4][5] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Chiloe opossum[3] |
形態
体長8 - 13センチメートル[3][4]。尾長9 - 13.5センチメートル[3]。体重16 - 31グラム[4][5]。全身は短い体毛で密に被われ、後述する小型の耳介も含め熱の放散を防ぎ冷涼な環境に適応している[4]。背面は明褐色や灰褐色で、灰色の斑点が入る[3][4]。腹面は淡黄褐色[4]。尾は太く、脂肪を蓄積させることができる[3][4][5]。
眼の周囲は輪状に黒い[3][4]。耳介は小型で丸みを帯びる[4]。聴胞は大型で平たい[3]。
メスには小型の育児嚢があり、その中に4つの乳頭がある[4]。
分類
ミクロビオテリウム目は1970年代まで化石群と考えられていたが、本種が分類されると考えられるようになった[3]。ミクロビオテリウム目では唯一の現生種とされる[3]。有袋類はアメリカ有袋大目とオーストラリア有袋大目の二つに大きく分かれるが、チロエオポッサムは南米に生息するもののオーストラリア有袋大目に属する。南米で進化した有袋類は二つの系統に分かれ、一方は地続きだった南極大陸経由でオーストラリア大陸へと渡った。ミクロビオテリウム目はそのうちの南米に残った種の系統と考察されている。
生態
冷涼で湿度の高い森林に生息し、竹藪を好む[4]。樹上棲[5]。夜行性[3]。樹洞・倒木や木の根元などに、タケの葉で球形の巣を作る[4]。冬季になると冬眠する[4]。
昆虫などの無脊椎動物を食べると考えられている[3]。飼育下では植物質が強いとする報告例もある[3]。
繁殖様式は胎生。1回に2 - 4匹の幼獣を産む[3]。幼獣は始めは母親の育児嚢で生活するが、ある程度成長すると母親は幼獣を巣に残して活動するようになる[4]。生後2年で性成熟する[4]。
参考文献
- Martin, G.M., Flores, D. & Teta, P. 2015. Dromiciops gliroides. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T6834A22180239. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T6834A22180239.en, Downloaded on 17 March 2016.
- Alfred L. Gardner, "ORDER MICROBIOTHERIA," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, p. 21.
- 遠藤秀紀 「チロエオポッサム」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、140頁。
- Margaret A. O'Connell 「オポッサム」白石哲訳『動物大百科 6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、105-111頁。
- 小野勇一 「アメリカ大陸にすむ有袋類」『週刊朝日百科 動物たちの地球 37 哺乳類I 1 カモノハシ・オポッサムほか』、朝日新聞社、1992年、26-28頁。