チョウジザクラ
チョウジザクラ(丁字桜、学名:Cerasus apetala (Sieb. & Zucc.) Masam. & S.Suzuki var. tetsuyae H.Ohba)[1][2]はバラ科、サクラ属の植物。桜の野生種の一つ。東北南部より南の太平洋側に見られる。別名にメジロザクラ。名前のちょうじの由来は花を横から見ると丁字や丁子(クローブ)のように見えることから名づけられている。なお、チョウジザクラの名はフジモドキにも使われている。
チョウジザクラ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Cerasus apetala (Sieb. & Zucc.) Masam. & S.Suzuki (1936) Cerasus apetala (Sieb. & Zucc.) Masam. & S.Suzuki var. tetsuyae H.Ohba (2007)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
チョウジザクラ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Clove cherry |
特徴
花は3月下旬から4月下旬に咲く。花は白からやや薄紅色。五枚一重であり、花びらは小さく花全体で大きくても2cm前後。花は180度近くまで平たく開き、萼筒も長く、このとき横から見ると丁字のように見える。花は下向きに咲くことが多い。
樹木の大きさは大きくなっても7m前後。花を除くとマメザクラに良く似ている。その樹皮を樺細工のような工芸品に使用したりする。
葉は長い楕円形であり、葉の縁はで葉の端の鋸上の部分は切込みが深く(欠刻状重鋸葉)マメザクラに似る。葉には一面に毛が生える。時々葉の先端が長く伸びる。秋になると紅葉し落葉する。
観賞用の価値が低いために、植えられる事は稀である。その一方、この種は多種との雑種を作りやすく、品種改良に使われることも少なくない。
分布
チョウジザクラは本州の東北以南の太平洋側に見られる。また、九州にも一部で見られる。山地を好んで分布し、谷川の近くのような岩石の多い部分でも生息できる。石灰岩地にも生息する。
チョウジザクラ群
チョウジザクラに似ていたり、変種だとされる桜はチョウジザクラ群に分類されている。チョウジザクラ自体は観賞用の価値が低いが、チョウジザクラ群には好んで植えられるものもある。
野生種
- チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ) - Cerasus apetala
- チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ) - Cerasus apetala var. tetsuyae H.Ohba 種 (species)の下位分類の変種 (variety)としてのチョウジザクラ[1][2]。
- ミヤマチョウジザクラ(深山丁字桜) - Cerasus apetala var. apetala 種の下位分類の変種の深山型。中央アルプスから南アルプスにかけて分布する。
- オクチョウジザクラ(奥丁字桜) - Cerasus apetala var. pilosa (Koidz.) H.Ohba 種の下位分類の変種[3]。
種間雑種
- オオミネザクラ(大峰桜) - Cerasus ×oneyamensis (Hayashi) H.Ohba nothovar. takasawana (H.Kubota & Funatsu) H.Ohba[4][5] オクチョウジザクラとオオヤマザクラの自然雑種。
- チチブザクラ(秩父桜) - Cerasus ×chichibuensis (H.Kubota & Moriya) H.Ohba[3] チョウジザクラとエドヒガンの自然雑種。
- ニッコウザクラ(日光桜) - Cerasus ×tschonoskii (Koehne) H.Ohba[6] チョウジザクラとカスミザクラの自然雑種。
- ナルサワザクラ(鳴沢桜) - Cerasus ×yanashimana (H.Kubota & Moriya) H.Ohba[7][8] チョウジザクラとヤマザクラの自然雑種。ハナイシザクラ(花石桜)を含む。
園芸品種
- オオオクチョウジザクラ(大奥丁字桜)
- キクザキオクチョウジザクラ(菊咲奥丁字桜) - Cerasus apetala (Sieb. & Zucc.) H.Ohba var. pilosa (Koidz.) H.Ohba f. multipentala (Kawas.) H.Ohba ヒナギクザクラ(雛菊桜)ともいう。チョウジザクラ群の園芸品種は、キクザキオクチョウジザクラを親に持っていることが多い。
- シキザキチョウジザクラ(四季咲丁字桜)
脚注
- 大場・川崎・田中. 2007. 『新・日本の桜』(山と渓谷社) p. 253.
- Ohba, H. 2007. New Names of in Genus Cerasus (Rosaceae-Amygdaloideae). Journ. Japan. Bot. 82 (4): 245. (PDF)
- Ohba, H. 1992. Japanese Cherry Trees under the Genus Cerasus (Rosaceae). Journ. Japan. Bot. 67 (5): 277. (PDF)
- Ohba, H. 1998. A New Hybrid Cerasus ×katonis and New Combinations under Cerasus (Notulae ad Plantas Japoniae 7). Journ. Japan. Bot. 73 (2): 117. (PDF)
- Ohashi, H. et al. 2001. Rosaceae. In Iwatsuki, K. et al. (eds.), Flora of Japan. 2b: 142.
- Ohba, H. 1992. Japanese Cherry Trees under the Genus Cerasus (Rosaceae). Journ. Japan. Bot. 67 (5): 280. (PDF)
- 大場・川崎・田中. 2007. 『新・日本の桜』(山と渓谷社) p. 254.
- Ohba, H. 2007. New Names of in Genus Cerasus (Rosaceae-Amygdaloideae). Journ. Japan. Bot. 82 (4): 247. (PDF)
関連項目
- タカサゴ - チョウジザクラとサトザクラを両親に持つ品種。
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