ジャパンタローズ
ジャパンタローズ(英語: Japan Taro's of conveyance Corporation)は、埼玉県北葛飾郡松伏町に本社を置くバス事業者[1]。愛称は「タローズバス」で公式にも使用される[3]。丸和運輸機関の完全子会社である[4]。社名と愛称の「タローズ」は親会社である丸和運輸機関の「桃太郎便」に由来する。
ジャパンタローズの乗合バス車両 | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
略称 | タローズバス |
本社所在地 |
日本 〒343-0111 埼玉県北葛飾郡松伏町松伏136番地1[1] |
設立 | 1997年(平成9年)1月20日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 2030001065582 |
事業内容 |
乗合バス事業 貸切バス事業 特定バス事業 ほか |
代表者 | 飯塚武志(代表取締役社長) |
資本金 | 3,000万円 |
純利益 |
337万6000円 (2023年3月期)[2] |
総資産 |
1億6730万4000円 (2023年3月期)[2] |
従業員数 | 43名 |
決算期 | 3月 |
主要株主 | 丸和運輸機関 |
外部リンク | http://www.taros-bus.co.jp/ |
路線バスは埼玉県の東南部を運行エリアとし、乗り入れる自治体は本社所在地の松伏町をはじめ、吉川市、越谷市である[5]。かつてはさいたま市にも乗り入れていた[6]。主なターミナルは吉川駅、南越谷駅、越谷駅、越谷レイクタウン駅[3][5]。
概要
既存のバス事業者が乗り入れず、これまでバス路線がない、または大型バスではまかなえない地点間を、物流業の経験を活かしたルートを設定し、中型・小型バスを運行している。運転手を「サービスマン」と呼び[6]、乗客に「いらっしゃいませ」と挨拶するなど乗務員の接遇教育にも力を入れ「市民に便利な親切なバス」をモットーとする[6][8][9]。
バス営業所は松伏町の本社営業所のみで、最寄りバス停留所は「タローズ本社前」[5]。所属車両のナンバープレートは春日部ナンバーとなる[6]。
埼玉県企業局が1997年、吉川市と松伏町にまたがる大規模工業団地「吉松工業団地」(現:東埼玉テクノポリス)を造成するにあたり、用地が鉄道駅から遠いため、既存の乗合バス事業者に路線開設を打診した[6]。ところが1990年代後半は県内でもバス路線の撤退や縮小が相次いでいた時期であり、地域のバス事業者も路線を開設する余裕がなかったため断られてしまう[6]。そのため、東埼玉テクノポリスへの入居が決まっていた丸和運輸機関にシャトルバスの運行を依頼し、同社も地域への社会貢献という観点からこれを受け、シャトルバス運行のためジャパンタローズを設立した[6]。
翌1998年には特定バス事業の認可を得て、東埼玉テクノポリスの稼働開始と同時に、同年5月から吉川駅と東埼玉テクノポリスを結ぶ従業員輸送シャトルバスを運行開始した[6]。同1998年12月、県道67号のバイパス部分に大落古利根川の「ふれあい橋」が開通した。この橋を渡り南下する短絡ルートで、鉄道路線のない松伏町とJR武蔵野線南越谷駅を結ぶバス路線の開通を考え、行政が既存の乗合バス事業者に打診したものの、採算面からやはり断られてしまう[6]。そこでジャパンタローズに運行を依頼したが、当時の乗合バス事業は免許制で、新規事業者の参入はハードルが高かった[6]。ジャパンタローズは2000年の規制緩和を待って貸切バス事業の認可を取得し、2002年12月には乗合バス事業の認可を取得した[6]。
2000年の運行開始当初は当初は小型バス4台でスタートしたが[6]、松伏町から南越谷駅まで最短で結ぶバス路線だったこともあり、開業当初から乗客が増え積み残しも発生した[6]。そのため2002年には中型バスを4台増車し[6]、乗合バス事業認可を受けて2003年には南越谷線を3系統に増やした[6]。その後も路線と車両を増やしている[6]。2011年からは貸切バス事業も開始した[10][11]。
乗車券類は定期券、専用回数券があり、タローズバス本社のほか、丸和運輸機関、沿線の商店で取り扱っている[12]。PASMO・Suica等の交通系ICカードは導入していない(バス共通カードも利用できなかった)。
沿革
- 1973年(昭和48年)8月:埼玉県北葛飾郡吉川町(現:吉川市)に丸和運輸機関を設立。
- 1997年(平成9年)1月20日:ジャパンタローズ設立[13][14]。
- 1998年(平成10年)5月:特定旅客自動車運送事業認可[6]。吉川駅 - 吉松工業団地で従業員輸送シャトルバス運行開始(特定輸送)[6]。
- 2000年(平成12年)
- 2002年(平成14年)12月:一般乗合旅客自動車運送事業認可[6]。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)4月1日:松伏町コミュニティバス廃止。
- 2006年(平成18年)
- 2008年(平成20年)
- 2011年(平成23年)
- 2014年(平成26年)8月30日 - 9月28日:期間限定で北千住駅 - レイクタウンアウトレット(イオンレイクタウン)間の無料送迎バスを運行。車両は貸切車の日野・セレガ(春日部200い1000)を使用。
- 2015年(平成27年)10月1日:大杉公園通り線の運行を開始。
- 2016年(平成28年)5月1日:破産した大さがみ交通から引き継ぐ形で、越谷レイクタウン駅 - イオンレイクタウン間の無料送迎バスを運行開始。
- 2017年(平成29年)4月10日:上間久里循環線の運行を開始。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(令和元年)
休廃止路線
浦和美園線は当初は25往復運行していたが、沿線宅地開発が進まず乗客数が伸び悩み、休止時点では1.5往復まで減らされていた。
せんげん台駅発着系統は、沿線住民の署名活動などによりせんげん台駅線を開設したが乗客数は伸び悩み、大杉公園通り線や区間を短縮した上間久里循環線を運行するなど改善に努めたが好転しなかった。
各系統とも2018年(平成30年)7月1日付で休止[10][17][18][19]。
大杉公園通り線
- せんげん台駅東口 - 上間久里南自治会館 - 上間久里東自治会館入口 - 越谷特別支援学校入口 - 大杉 - 松伏 - 松伏ニュータウンショッピングセンター - 松伏消防署前 - 東埼玉テクノポリス(旭地区センター)
上間久里循環線
- せんげん台駅東口→ふれあい広場前→上間久里南自治会館→せんげん台駅東口
コミュニティバス
松伏町循環バス
一般貸切旅客自動車運送事業認可を受け[6]、2000年(平成12年)10月1日運行開始[6]。松伏町が所有する自家用バスの運行業務を受託する運行形態(自治体バス)をとっていた[6]。2003年(平成15年)3月をもって運行終了した[6]。
松伏町役場を起終点として、赤コース・緑コースの2コースの循環系統を運行していた。車両は小型ノンステップバスの日野・レインボーHR(7m車)を使用していた。
車両
2000年10月に運行開始した松伏町循環バスでは、専用車として赤白ツートンカラーに松伏町のゆるキャラ「マップー[20]」が描かれたレインボーHRを使用していたが、これは松伏町が所有する自家用バス(白ナンバー)であった。同年11月に松伏町の要請により運行開始した路線バス(ただしこの時点では貸切免許による運行)の際には車種を統一し、同型同年式の車両を4台導入した。その後、松伏町循環バスが運行終了したため、専用車はジャパンタローズに移籍して塗装変更の上、路線車として使用された。この際に事業用ナンバー(緑ナンバー)に変更となるため、希望ナンバーを取得して数字を揃えた。松伏町からの譲渡車は定員37名、自社発注車は定員35名で、車椅子ステッカーの位置など微妙に仕様が異なる。
車両
路線バス車両は、2007年10月31日時点で19台[6]、2012年3月31日時点で25台保有している。路線車は中型・小型ノンステップバスである。2003年からは希望ナンバーで導入[6]している。
バスのボディカラーは「桃太郎」にちなみピンクで、車体前面・側面・後面に白い「TARO'S」のロゴ、側面に白とグレーのストライプが入る。車体に社番は表記されていない[6]。
当初は日野自動車製の車両を導入していた[6]。2000年式の日野・レインボーHR(7m車、KK-HR1JEEE、2000年式)が5台在籍し[6]、定員37名の車両が1台(春日部230あ111)[6]、定員35名の車両が4台(春日部200か108~110、114)存在する[6]。しかし小型車では積み残しが発生したため[6]、乗合免許取得後の2003年4月、中型車の日野・レインボーHR(9m車、KK-HR1JKEE、2003年式)を4台増車した(春日部230あ115~118)[6]。
翌年からは三菱ふそう製の車両に切り替え、2004年にエアロミディ・ノンステップ(KK-MJ27HL、2004年式)を4台導入(春日部230あ120~123)[6]。2006年にはエアロミディMK(PA-MK27FH、2006年式)を5台(春日部230あ124~128)[6]、2007年にもエアロミディMK(PA-MK27FH、2007年式)を1台導入した(春日部230あ129)[6]。
2006年の浦和美園線開業に際しては、浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)カラーの車両が用意された。2006年式(春日部230あ127)と2007年式(春日部230あ129)のエアロミディMKで、車体色は浦和レッズのチームカラーである赤、車体側面には浦和レッズのロゴとマスコット、後面にはエンブレムが描かれている[6][9][8]。これは丸和運輸機関が2006年から浦和レッズのオフィシャルパートナーとなった[15]縁から、丸和運輸機関側からサポートの一環としてデザインを依頼したもので、浦和レッズなど三菱グループ関連企業によるバス広告ではない。2006年10月7日に埼玉スタジアム2002でのお披露目を経て浦和美園線の運用に就いた[9][8]。
その後はエアロミディの生産終了により、三菱ふそう製バスのラインナップから中型・小型車が消滅したため日野車に戻り、日野・レインボーII、日野・ポンチョを導入している。2020年にはレインボー(2KG-KR290J4)を導入した。
脚注
- “会社概要”. 株式会社ジャパンタローズ. 2020年9月26日閲覧。
- 株式会社ジャパンタローズ 第27期決算公告
- “タローズバス”. 株式会社ジャパンタローズ. 2020年9月26日閲覧。
- “企業情報|沿革”. 丸和運輸機関. 2020年9月26日閲覧。
- “タローズバス 全路線図”. 株式会社ジャパンタローズ (2019年10月). 2020年9月26日閲覧。
- 「今号の気になりバス事業者 ジャパンタローズ」『バスマガジン Vol.26』三推社/講談社、2007年11月27日、p.41-43,79頁。ISBN 978-4-06-366259-7。
- 会員バス事業者一覧 埼玉県バス協会、2022年3月11日閲覧。
- “FUSO NEWS 浦和レッズのマスコットデザインの路線バスが運行開始”. FUSO 2006年12月号. 三菱ふそうトラック・バス. 2013年5月21日閲覧。
- “AERO ROAD 株式会社丸和運輸機関 株式会社ジャパンタローズ”. FUSO 2007年3月号. 三菱ふそうトラック・バス. 2013年5月21日閲覧。
- “Topics”. 株式会社ジャパンタローズ. 2013年5月21日閲覧。
- “貸切バス”. 株式会社ジャパンタローズ. 2020年9月26日閲覧。
- “販売所”. ジャパンタローズ. 2013年5月21日閲覧。
- “会社概要”. ジャパンタローズ. 2013年5月21日閲覧。
- “(株)ジャパンタローズ”. 丸和運輸機関. 2013年5月21日閲覧。
- “地域社会貢献の取り組み|協賛活動:浦和レッドダイヤモンズ”. 丸和運輸機関. 2020年9月26日閲覧。
- “タローズバス、浦和美園線を運行開始!”. 浦和レッドダイヤモンズ (2006年11月24日). 2013年5月21日閲覧。
- “「浦和美園線」「市立病院線」「大杉公園通り線」路線の休止について” (PDF). ジャパンタローズ (2018年5月1日). 2018年7月8日閲覧。
- “公示 18C1号、18C2号” (PDF). 関東運輸局 (2018年2月1日). 2018年7月8日閲覧。
- “株式会社ジャパンタローズが運行するバス路線の休止について”. 越谷市 (2018年5月2日). 2018年7月8日閲覧。
- “ゆるキャラ「マップー情報局」プロフィール”. 松伏町役場. 2020年9月26日閲覧。