タニミツバ

タニミツバ(谷三葉、学名: Sium serra)は、セリ科ムカゴニンジン属多年草。山地の谷間の湿った木陰にややまれに生育する[3][4][5]

タニミツバ
福島県中通り地方 2021年8月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ムカゴニンジン属 Sium
: タニミツバ S. serra
学名
Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. (1941)[1]
シノニム
  • Pimpinella serra Franch. et Sav. (1878)[2]
和名
タニミツバ(谷三葉)[3]

特徴

は数個が束状にでて、多少肥厚する。は細長く、直立し、上部で分枝して、高さは60-80cmになる。茎は中空で植物体全体に毛はない。は互生し、茎の下部の葉は3-5個からなる奇数羽状複葉となり、葉質は薄く、小葉は卵形から卵状楕円形で、長さ3-10cm、幅1-4cm、先は尾状鋭突頭になり、基部は広いくさび形、円形、まれに浅い心形、縁に細かい鋸歯があり、小葉柄はない。茎の上部の葉は小型になり、小葉は狭披針形から線形になる。葉腋に珠芽はできない[3][4][5]

花期は7-8月。複散形花序はまばらな3-5個の小花序からなり、まばらに小さい白色のをつける。花は径2mmほどで、花弁は5個で先端は内側に曲がる。複散形花序の花柄は2-4個、長さ1-2cmで細く、総苞片はないかあっても1-2個で糸状、小花序の小花柄は5-10個、長さ7-10mmでごく細く、小総苞片は数個あり糸状になる。雄蕊は5個あり、花柱は2個ある。果実は長さ約2mmの広卵形になり、2個の分果からなり、分果に糸状で低い隆条がある。油管は約15個ある[3][4][5]

分布と生育環境

日本固有種で、本州の中部地方関東地方東北地方の太平洋側と北海道に分布し[6]、山地の谷間の木陰の水辺にややまれに生育する[3][4][5]

名前の由来

和名タニミツバは、「谷三葉」の意で、生育環境が山地の谷間であることを表す[3]

種小名(種形容語)serra は、「鋸歯」の意味[7]

ギャラリー

分類

ミツバグサ属 Pimpinella L. に含める意見もある[2][8]が、北川政夫 (1941) は、属をミツバグサ属からムカゴニンジン属に移し、学名を Pimpinella serra Franch. et Sav. から Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. に組み替えた[9]分子系統解析の結果からムカゴニンジン属に含められるという[5]

近縁種

ムカゴニンジン Sium ninsi L. (1753)[10] - タニミツバと同属。茎に稜線があり、よく分枝して高さ30-100cmになる。下部の小葉は3-5個の奇数羽状複葉、上部は3出複葉でタニミツバより小さく細い。葉腋に珠芽ができる。細い枝先に複散形花序をつける。油管は約11個ある。タニミツバは山地の谷間の木陰の水辺にややまれに生育するが、ムカゴニンジンは日当たりの良い湿地などに生育する[3][4][5]

脚注

  1. タニミツバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. タニミツバ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1244
  4. 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』p.16
  5. 鈴木浩司 (2017)「セリ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.399
  6. 『日本の固有植物』p.101, p.337
  7. 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1513
  8. Takasi YAMAZAKI, Umbelliferae in Japan II, 3. Pimpinella serra, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』, Vol.76, No.5, pp.276-277, (2001).
  9. 北川政夫、「日満産せり科植物小記(其四)」、たにみつばノ學名變更The Journal of Japanese Botany、『植物研究雑誌』、第17巻第10号、562頁、1941年
  10. ムカゴニンジン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

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