スカンクワークス

スカンクワークス(Skunk works)は、アメリカ合衆国航空機メーカーであるロッキード・マーティン社の一部門「ロッキード・マーティン先進開発計画(Lockheed Martin's Advanced Development Programs)」の通称。転じて、航空宇宙企業内における軍事関連の秘密開発部門、警察の武器庫・火器管理調整・独自装備開発担当を指していたが、 その後語義がさらに拡大し、企業内の極秘開発部門・選抜されたメンバーのみからなる特命チームなどをも指すようになった[1]

U-2
SR-71B

以下にはロッキード・マーティンのスカンクワークスについて記す。

概要

軍用機開発を主な任務とし、秘密、独立、迅速を軸に、数十名の設計者と百数名の技能職従業員によって構成されている。初代ボスは航空機設計家クラレンス・レオナルド・ジョンソン(Clarence Leonard Johnson)。

ナチス・ドイツMe 262戦闘機に対抗できる、XP-80戦闘機を開発する為に設立された[2]。当初、設計室として設置したテントが、プラスティック加工工場(牛皮加工工場との説もある)に面しており、室内が異臭に満ちていた。このため、電話をとった従業員が「はい、こちらスコンクワークス[3]と答えた。スコンクワークス(Skonk Works)とは、アルフレッド・ジェラルド・カプリン(Alfred Gerald Caplin)作の漫画であるインディアン・ジョー(テレビ番組説も存在する)に登場する怪しげな飲料を製造する蒸留所の名前である。部門長であるジョンソンはこれを聞いて激怒したが、従業員はジョンソンのいない間は「スコンクワークス」と電話に出続けたため、「ケリーのサーカス小屋」をロッキード本社側でも「スコンクワークス」と呼ぶ様になった。その後、カプリンの漫画を出版していた出版社(テレビ番組の制作会社とする説も存在する)に訴えられたため、発音や語義の似かよった「スカンクワークス (Skunk Works)」という名称で商標登録された。

U-2偵察機SR-71偵察機F-104戦闘機などを開発し世界に名を轟かせた一方で、XFV戦闘機のような過大な要求ゆえの失敗作[4]も存在した。

その後、1975年にジョンソンは引退してロッキード社から去ったが、スカンクワークスは存続し続けた。二代目ボスであるベンジャミン・ロバート・リッチ(Benjamin Robert Rich)によって引き継がれ、その後もステルス攻撃機であるF-117などを開発、アメリカの航空産業の最先端を担っている。

開発中のプロジェクト

2014年

  • 小型核融合炉(CFR: compact fusion reactor)[5]

2008年初頭

開発が進行中のもの
  • 船上発射-垂直離着陸先進型無人機システム(VARIOUS)
  • 監視任務用飛行船-統合センサー搭載偵察システム (ISIS)
  • マッハ10飛行-成層圏巡航攻撃/偵察機 (FALCON)
  • リフティングボディ&エアシップ ハイブリッド機
  • 超長距離超音速(RATTLRS)ミサイル
開発が進行途中で凍結されたもの
  • 潜水艦発射回収式多目的無人航空機(MPUAV)
  • 先進型統合空中戦闘システム(AJACS)
  • 長距離超音速無人攻撃プラットフォーム
  • 静粛型超音速輸送機(QSST)[6]
  • ポールキャット

脚注・出典

  1. 企業の“スカンクワークス”が滅亡する理由”. 日経XTECH (2014年12月15日). 2023年6月22日閲覧。
  2. ベン・リッチ『ステルス戦闘機—スカンク・ワークスの秘密』増田興司講談社 1997年 ISBN 4062085445 p.160
  3. ベン・リッチ『ステルス戦闘機—スカンク・ワークスの秘密』増田興司訳 講談社 1997年 ISBN 4062085445 p.161
  4. ベン・リッチ『ステルス戦闘機—スカンク・ワークスの秘密』増田興司訳 講談社 1997年 ISBN 4062085445 p.162
  5. Compact Fusion
  6. 「Military News」(JDW誌) 軍事研究2008年2月号 p184

関連項目

外部リンク

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