スウィートハーツ (キャンディ)

スウィートハーツ(Sweethearts)は、小さなハート型の砂糖菓子であり、アメリカ合衆国において特にバレンタインデーの前後に販売される。それぞれに、"Be Mine"(私のものになって)、"Kiss Me"(キスして)、"Call Me"(私に電話して)、"Miss You"(あなたがいないと寂しい)などの様々なメッセージがプリントされている。

スウィートハーツ

スターク・キャンディ・カンパニーが製造販売を始め、1988年に同社を買収したネッコ(New England Confectionery Company)が引き続き販売を行った。ネッコ社は年間80億個を製造していた[1]。ネッコ社の破綻に伴い、2018年以降はスパングラー・キャンディ・カンパニーが販売している。ブラークスの"Conversation Heart"など、類似の製品が他社からも販売されており[2]、イギリスにもラブハーツ(Love Hearts)という名前の類似の製品がある。

歴史

1847年、オリバー・R・チェイス(Oliver R. Chase)が、今日のネッコ・ウェハースに似た砂糖菓子の製造を始めた[3]。当時は、格言が書かれた紙がパッケージに封入されていた[4]。オリバーの兄弟のダニエル・チェイスは、菓子の表面に、食紅でスタンプのようにメッセージをプリントする機械を発明し、1866年からこの菓子に様々な格言をプリントして販売を始めた。特に結婚に関連する格言が多かったことから、この菓子は結婚式の参列者への贈り物としてよく使われた[4]。ハート型の菓子は1901年から販売された。当時はハート型以外にも野球ボール、蹄鉄、時計など、様々な形のものが作られていた[4]

"LOL"とプリントされたスウィートハーツ

1990年代、ネッコ社のヴァイスプレジデントのウォルター・マーシャルは、古臭い文言を更新して新しいものにしようと考えた。この際に登場した"Fax Me"は注目を集め、ネッコ社には、新しい文言の提案が毎年数百件も寄せられるようになった。文言は、アメリカの若い世代の志向に合わせて改訂され続けている[4]

ネッコ社ではスウィートハーツを一年中製造販売しているが、9月から、パッケージや菓子の色を、バレンタインデー向きのものに変えている[1]

2010年、それまでのパステルカラーから鮮やかな色に変え、新しい味を追加した。しかし、これらは一部のファンからは不評だった[5][6]

2018年、ネッコ社は破産した。工場は閉鎖され[7]、同社が保有する商品のブランドは売却された。スウィートハーツの権利はスパングラー・キャンディ・カンパニーが購入した[8]。スパングラー社は、ネッコ社のスウィートハーツの製造設備を自社工場に移設したが、2019年のバレンタインデーには間に合わなかった[9]。2020年、スパングラー社によりスウィートハーツが復活し、味も2010年の変更前のものに戻された。しかし、製造施設の問題で、印刷できる文言の種類が減っていた[10]

2022年2月14日、「バレンタインデー」がTwitterトレンドで1位になり、そのサムネイルの画像にスウィートハーツが使用された。しかし、販売されていない日本ではスウィートハーツになじみがなく、その見た目が違法薬物のMDMAに似ていることから話題となり、日本のTwitterトレンドに「MDMA」がランクインした[11]

脚注

  1. Dispatch, Lisa Abraham, The Columbus. Candy hearts celebrating 150 years of sweetness”. The Columbus Dispatch. 2022年2月18日閲覧。
  2. EGKOLFOPOULOU, MISYRLENA; Benveniste, Alexis; Bloomberg News (2019年2月13日). “With Candy-Heart Maker Necco Out of Business, Other Confectioners Vie for Valentine's Day Love”. Fortune. http://fortune.com/2019/02/13/candy-hearts-valentines-day/ 2019年2月14日閲覧。
  3. NECCO History Archived 2006-05-06 at the Wayback Machine.
  4. Sweethears”. Necco. 2010年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月18日閲覧。
  5. Gray, Joe (2010年1月26日). “Pining for old Sweethearts”. The Stew. http://leisureblogs.chicagotribune.com/thestew/2010/01/pining-for-old-sweethearts.html
  6. Floyd, Jacquielynn (2010年2月12日). Conversation Hearts overhaul is tough for some fans to swallow”. The Dallas Morning News. 2022年2月18日閲覧。
  7. Mettler, Lyn (2019年1月22日). This classic Valentine's Day candy may be missing from store shelves this year”. The Today Show. 2019年1月23日閲覧。
  8. Ewers, Josh (2018年9月21日). Spangler Candy buys Sweethearts, NECCO, Canada Mints and New Era campus”. The Bryan Times. 2019年1月23日閲覧。
  9. Lucas, Amelia (2019年1月23日). “America's favorite Valentine's Day candy is unavailable this year”. CNBC. https://www.cnbc.com/2019/01/23/americas-favorite-valentines-day-candy-is-unavailable-this-year.html
  10. Valentine's Sweethearts Candies Return This Year With Some New Changes (英語). Time. 2022年2月18日閲覧。
  11. バレンタインデーだというのにTwitterトレンドに「MDMA」 “バレンタイン”サムネ画像が誤解生む 実は150年以上の歴史あるキャンディー”. ねとらぼ (2022年2月14日). 2022年2月18日閲覧。

関連項目

外部リンク

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