ジョセフ・アカバ

ジョセフ・マイケル・アカバ(Joseph Michael "Joe" Acaba、1967年5月17日 - )は、アメリカ合衆国教育者水文地質学者、アメリカ航空宇宙局宇宙飛行士である[1][2]。2004年5月、彼はプエルトリコ系として初めて宇宙飛行士の候補となり、NASA Astronaut Training Group 19のメンバーに選ばれた[3]。2006年2月10日に訓練を終え、2009年3月15日から3月29日にかけて国際宇宙ステーション(ISS)に最後の太陽電池アレイを運ぶSTS-119で初めて宇宙飛行を行った[4]。アカバは、2012年5月15日に打ち上げられたソユーズTMA-04Mで再び宇宙を訪れ[5]、5月17日にISSに到着し、ISSではフライトエンジニアを務めた。約6ヵ月滞在し、ロシア連邦宇宙局によると9月17日に地球に帰還した[6][7]

ジョセフ・マイケル・アカバ
Joseph M. Acaba
NASA宇宙飛行士
国籍 アメリカ合衆国
現況 現役
生誕 (1967-05-17) 1967年5月17日(55歳)
イングルウッド (カリフォルニア州)
他の職業 水文地質学者
教師
宇宙滞在期間 137日19時間22分
選抜試験 2004 NASA Group 19
ミッション STS-119, ソユーズTMA-04M, 第31次長期滞在 第32次長期滞在
記章 STS-119 Expedition 31 Expedition 31

生い立ち

アカバの両親であるラルフとエルシーはプエルトリコのHatillo出身で、1960年代中盤にイングルウッドに転居し、そこでジョセフが生まれた[8]。一家は後にアナハイムに転居した[9]。子供の頃は、読書、特にSFを読むのが趣味であった。学校では理科と数学が得意であった。両親は彼を定期的に教育映画を見せたが、彼の宇宙への興味をかきたてたのは、ニール・アームストロング月面着陸の8mmフィルムであった。高校時代、ジョセフはスキューバダイビングに興味を持ち、高校の教育訓練プログラムを通じてスキューバダイビングの免許を取った。この経験から彼は地質学に興味を持ち[10]、1985年、アナハイムのエスペランツァ高校を優秀な成績で卒業した[11]

教育

彼は、1990年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校から地質学の学位号、1992年にアリゾナ大学から地質学の修士号を得た。彼はアメリカ海兵隊予備役軍曹として6年間軍役に就いた。また、ロサンゼルスで地質学者として働いた。彼はアメリカ合衆国の平和部隊で2年間を過ごし、ドミニカ共和国の300人以上の教師に、近代教授法の訓練を行った。その後彼はバハマリー・ストッキング島にあるCaribbean Marine Researchのマネージャーとなった。アメリカ合衆国に戻るとフロリダ州に転居し、高校で1年間、中学校で4年間科学と数学を教えた[1]。また、短期間、メルボルン (フロリダ州)のメルボルン高校でも教鞭を取った[12]。2012年秋に地球に戻った後は、テキサス工科大学で教育学の博士課程に進んだ[13]

NASAでのキャリア

STS-119でプエルトリコの国旗を持つアカバ

2004年5月6日、アカバとその他10人は、99人の応募者の中からNASAによって宇宙飛行士の候補に選ばれた。NASA長官のショーン・オキーフは、ジョン・グレン同席の下、1958年に最初の宇宙飛行士グループが出席して以来開かれていなかったイベントの場で、"19th group of Astronaut Candidates"のメンバーを公表した。Educator Mission Specialistに選ばれたアカバは、他の10人の候補とともに2006年2月10日に宇宙飛行士としての訓練を終えた[11][14]。訓練を終え、彼は国際宇宙ステーション部門のハードウェア統合チームに配属され、欧州宇宙機関のハードウェアの技術的な問題についての仕事を行った[1][14]

Mission Specialist Educators Lindenberger, Arnold, and Acaba during a parabolic flight.

アカバは、Mission Specialist EducatorとしてSTS-119の乗組員に選ばれ、前週にNASAの技術者が排気システムの漏れを修理した後、2009年3月15日午後7時43分に打ち上げられ、ISSに最後の太陽電池アレイの部品を運んだ[4][15]。個人的にプエルトリコの国旗を持ち込んだアカバは、5日目の3月19日に、プエルトリコのフォークソングである"Que Bonita Bandera"(『何と美しい旗』)を起床の音楽として使用する事を提案した。

3月20日、彼はこのミッションで最初の船外活動の支援を行い、翌3月21日には自身が船外活動を行い、ISSに電力を供給する最後の太陽電池アレイを設置した。3月28日、ディスカバリーと7人の乗組員は、午後3時14分(EDT)にケネディ宇宙センターの第15滑走路に無事着陸した。

2012年5月15日、アカバは3人の乗組員の1人として、ISSを訪れるため、ソユーズTMA-04Mでカザフスタンから打ち上げられた[16]。彼とゲンナジー・パダルカセルゲイ・レビンは、2日後の3月17日4時36分(UTC)にISSにドッキングした。3人は、第31次長期滞在/第31次長期滞在で約半年間ISSに滞在し、2012年9月17日に地球に帰還した[6][17]

その他の活動

2008年3月18日、アカバはプエルトリコ上院から表彰され、宇宙飛行士に選ばれて以来、初めてプエルトリコ連邦を訪れた[18]。プエルトリコ上院議長のケネス・マクリントックによって公表された彼の訪問中、国会議事堂やバヤモンのサイエンスパークで児童達と会った[19]。アカバは2009年6月1日にプエルトリコに戻った。7日間の訪問中、彼は児童を中心に1万人以上の人とふれあった。また、プエルトリコ工科大学からは、Ana G. Mendez University System Presidential Medalと名誉博士号を授与された[20]。Caras Magazine誌は、2012年最も影響力を持ったプエルトリコ人として彼を選んだ[21][22]

出典

  1. NASA (2006年2月). Astronaut Bio: Joseph Acaba”. National Aeronautics and Space Administration. 2006年11月26日閲覧。
  2. NASA. NASA Hispanic Astronauts”. National Aeronautics and Space Administration. 2001年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年11月26日閲覧。
  3. NASA. Astronaut Class of 2004 (Group 19)”. NASA. 2006年11月26日閲覧。
  4. Launch Schedule: Consolidated Launch Manifest”. NASA. 2010年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月2日閲覧。
  5. “Biography of Josepth Acaba”. Space Facts
  6. Harwood, William (2012年5月17日). “Three-man crew docks at International Space Station”. Spaceflight Now. http://www.spaceflightnow.com/station/exp31/120517dock/ 2012年5月17日閲覧。
  7. “Soyuz lands in Kazakhstan after ISS mission”. RT. (2012年9月17日). http://rt.com/news/line/2012-09-17/#id37388 2012年9月17日閲覧。
  8. Astronomy PR Archived 2009年5月6日, at the Wayback Machine.
  9. Bunis, Dena (2004年5月10日). “Teacher Is First Peace Corps Veteran To Be Named NASA Astronaut”. Orange County Register. http://www.puertorico-herald.org/issues/2004/vol8n37/TchrPeacCorps.html 2008年3月31日閲覧。
  10. NASA (2006年). Astronaut Candidate Interviews - Joseph Acaba”. NASA. 2007年11月21日閲覧。
  11. NASA (2004年5月6日). Joe Acaba, Mission Specialist-Educator”. 2004 Astronaut Class. NASA. 2006年11月26日閲覧。
  12. “Inglewood Astronaut to Make 2 Spacewalks”. NBC. (2008年12月17日). http://www.nbclosangeles.com/news/local/Joseph-Acaba.html 2008年1月8日閲覧。
  13. “Astronaut Launches into Texas Tech Doctorate Program”. Texas Tech University. (2012年5月15日). http://today.ttu.edu/2012/05/astronaut-launches-into-texas-tech-ph-d-program/ 2012年7月23日閲覧。
  14. NASA (2004年9月23日). Meet NASA's Future Explorer - Joe Acaba”. NASA. 2006年11月26日閲覧。
  15. NASA (2007年). NASA Assigns Crew for Final Solar Array Delivery to Station”. NASA. 2007年10月19日閲覧。
  16. “Three New Crew Members En Route to Station”. NASA. http://www.nasa.gov/mission_pages/station/living/index.html 2012年5月14日閲覧。
  17. Puerto Rican Astronaut Joins Russians in Space Flight
  18. ADENDI Archived 2008年3月21日, at the Wayback Machine.
  19. アーカイブされたコピー”. 2009年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月29日閲覧。
  20. Sociedad de Astronomia del Caribe
  21. Most Influential Puerto Ricans”. Caras Magazine/Latin Culture Today (2013年1月8日). 2013年4月22日閲覧。
  22. Ivette Romero (2013年1月15日). "The 12 Most Influential Puerto Ricans,"”. Repeating Islands: News and commentary on Caribbean Culture, Literature, and the Arts. 2006年11月26日閲覧。

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.