コンパニオン・オブ・オナー勲章

コンパニオン・オブ・オナー勲章(コンパニオン・オブ・オナーくんしょう、Order of the Companions of Honour)は、英連邦王国勲章オーダー、騎士団勲章)である。1917年6月4日イギリス国王ジョージ5世によって、優れた業績に対する褒賞として、大英帝国勲章と共に創設された[1][2]。この勲章は元々、この特別な区分が最も適切であると認められる限られた数の人物に授与されることが意図されており、称号の承認や功績の分類とは切り離された名誉を構成するものである[1]。現在では、「芸術、科学、医学、行政の分野における長期に渡る大きな貢献をした人物」に授与することと規定されている[3]。最初の叙勲はいずれも第一次世界大戦に関する功労に対するものであり、『ロンドン・ガゼット』紙に掲載された[4]

コンパニオン・オブ・オナー勲章
種別 騎士団勲章
標語 In Action Faithful and in Honour Clear
創設者 ジョージ5世
対象 コモンウェルス域内の存命人物
状態 存続
主権者 チャールズ3世
歴史・統計
人数 定数65名(外国人受章者は定数外)
略綬

構成

コンパニオン・オブ・オナー勲章を首にかけたカナダ総督のトゥイーズミュア男爵ジョン・バカン

コンパニオン・オブ・オナー騎士団は、騎士団の主権者(Sovereign)である連合王国の君主と、最大65人の会員で構成される。さらに、英連邦王国の領域外の外国人または英連邦市民を名誉会員として加えることができる。会員の階級は1階級のみであり、連合王国の君主のみが、この騎士団の主権者として会員を任命することができる。叙勲に伴って称号や席次が与えられることはないが、"CH"のポスト・ノミナル・レターズを使用することができる。

一般に、叙勲は英連邦王国首相の助言によって行われる[2]。カナダ国民の場合、君主への助言は官僚が行うことができる[5]。当初は50人だったが、1943年に65人に拡張され、イギリス45人、オーストラリア7人、ニュージーランド2人、南アフリカ2人、その他9人の枠が設けられた。1970年にイギリス47人、オーストラリア7人、ニュージーランド2人、その他9人となった。1975年には、ニュージーランド4人、その他7人に改められた[6]

オーストラリア内閣は、現在でも授章候補者を推薦することはできるものの、他のオーストラリア国内の栄誉より優先してこの勲章を自国の国民に授与することを事実上停止している。最後に授与されたオーストラリア国民はダグ・アンソニーであり、2020年12月20日に死去した[7]。その他の英連邦諸国からの推薦は継続して行われており、2018年にはニュージーランドのソプラノ歌手のキリ・テ・カナワに、2019年にはカナダの作家のマーガレット・アトウッドに対して叙勲された。

徽章

コンパニオン・オブ・オナー勲章の徽章は、青い楕円形の縁の中に、オークの木、イギリスの国章の入った盾、鎧を着た騎士が刻まれた長方形のパネルが入っており、楕円形の縁の上に王冠が載っている。楕円形の縁には金色で"IN ACTION FAITHFUL AND IN HONOUR CLEAR"という文言が書かれている。これは、アレキサンダー・ポープジェームズ・クラッグスに宛てた手紙から引用したもので、ウェストミンスター寺院のクラッグスの記念碑に刻まれている。男性は赤地に金色の縁取りをしたリボンで首にかけ、女性は左肩にかけたリボンに徽章を付ける。

現在の会員

会員番号[n 1] 名前 ポストノミナル 職業 授与年月日 年齢
1 (267)イギリスの旗 テビット男爵ノーマン・テビットCH, PC政治家1987年7月31日92
2 (270)イギリスの旗 ドーキングのベイカー男爵ケネス・ベイカーCH, PC政治家1992年4月13日88
3 (271)イギリスの旗 サットン・マンデビルのブルック男爵ピーター・ブルックCH, PC政治家1992年4月13日89
4 (278)イギリスの旗 ブリッジウォーターのキング男爵トーマス・キングCH, PC政治家1992年4月13日89
5 (282)イギリスの旗 デイム・ジャネット・ベイカーCH, DBEオペラ歌手1993年12月31日89
6 (287)イギリスの旗 オーウェン男爵デイヴィッド・オーウェンCH, PC政治家1994年6月11日84
7 (289)イギリスの旗 サー・デイビッド・アッテンボローOM, GCMG, CH, CVO, CBE放送司会者、博物学者1995年12月30日96
8 (291)イギリスの旗 ウェストウェルのハード男爵ダグラス・ハードCH, CBE, PC政治家1995年12月30日93
9 (294)イギリスの旗 デイヴィッド・ホックニーOM, CH芸術家1997年6月14日85
10 (296)イギリスの旗 ヘーゼルタイン男爵マイケル・ヘーゼルタインCH, PC政治家1997年8月2日90
11 (297)イギリスの旗 バーンズのパッテン男爵クリストファー・パッテンCH, PC政治家、元香港総督1997年12月31日78
12 (299)イギリスの旗 サー・ジョン・メージャーKG, CH, PCイギリス首相1998年12月31日80
13 (300)イギリスの旗 ブリジット・ライリーCH, CBE芸術家1998年12月31日92
14 (305)カナダの旗 ジョン・ド・シャステレンCC, CMM, CH, CDカナダ陸軍将校、外交官1998年12月31日85
15 (317)イギリスの旗 ダン・マッケンジーCH, FRS地球物理学者2003年6月14日81
16 (318)イギリスの旗 デイビッド・ハネイGCMG, CH外交官2003年6月14日77
17 (320)イギリスの旗 デイム・ジュディ・デンチCH, DBE女優2005年6月11日88
18 (321)イギリスの旗 サー・イアン・マッケランCH, CBE俳優2007年12月31日83
19 (323)イギリスの旗 ラインプネのハワード男爵マイケル・ハワードCH, PC, KC政治家2011年6月11日81
20 (324)イギリスの旗 クックハムのヤング男爵ジョージ・ヤングCH, PC政治家2012年9月20日81
21 (325)イギリスの旗 コー男爵セバスチャン・コーCH, KBE, Hon FRIBA政治家、アスリート、ロンドンオリンピック組織委員会会長2012年9月29日66
22 (326)イギリスの旗 ピーター・ヒッグスCH, FRS物理学者2012年9月29日93
23 (327)イギリスの旗 ストラスクライド男爵トマス・ガルブレイスCH, PC政治家2013年1月7日63
24 (328)イギリスの旗 ピッテンウィームのキャンベル男爵ミンギス・キャンベルCH, CBE, PC, KC政治家2013年6月15日81
25 (329)イギリスの旗 サー・ニコラス・セロタCHキュレーター2013年6月15日77
26 (331)イギリスの旗 ベンガーブのオニール女男爵オノラ・オニールCH, CBE, FBA, FRS, FMedSci哲学者2013年12月31日81
27 (332)イギリスの旗 デイム・マギー・スミスCH, DBE女優2014年6月14日88
28 (333)イギリスの旗 ノッティンガムのクラーク男爵ケネス・クラークCH, PC, KC政治家2014年7月22日82
29 (336)イギリスの旗 メアリー・ピーターズLG, CH, DBE, DStJアスリート2015年1月1日83
30 (339)イギリスの旗 ウルフ男爵ハリー・ウルフCH, PC, FBA, FMedSci裁判官2015年6月12日89
31 (341)イギリスの旗 サー・ロイ・ストロングCH, FRSL美術史家、美術館長2016年1月1日87
32 (343)イギリスの旗 ケルヴィンのスミス男爵ロバート・スミスKT, CH実業家2016年6月11日78
33 (344)イギリスの旗 アモス女男爵ヴァレリー・アモスLG, CH, PC政治家、外交官2016年6月11日69
34 (345)イギリスの旗 ジョージ・オズボーンCH, PC政治家、元財務大臣2016年8月4日51
35 (347)イギリスの旗 サー・リチャード・エアーCH, CBE映画監督2016年12月31日80
36 (348)イギリスの旗 デイム・エヴェリン・グレニーCH, DBE音楽家2016年12月31日57
37 (349)イギリスの旗 サー・アレック・ジェフリーズCH, FRS遺伝学者2016年12月31日73
38 (353)イギリスの旗 サー・マーク・エルダーCH, CBE指揮者2017年6月17日75
39 (355)イギリスの旗 サー・ポール・マッカートニーCH, MBE音楽家2017年6月17日80
40 (356)イギリスの旗 J・K・ローリングCH, OBE著述家2017年6月17日57
41 (357)イギリスの旗 デイム・ステファニー・シャーリーCH, DBE, FREng起業家、慈善家2017年6月17日89
42 (358)イギリスの旗 デリア・スミスCH, CBE料理人、著述家2017年6月17日81
43 (359)イギリスの旗 ブレントフォードのスターン男爵ニコラス・スターンCH, FRS, FBA経済学者2017年6月17日77
44 (361)イギリスの旗 ブラッグ男爵メルヴィン・ブラッグCH, FRS, FBA, FRSL放送司会者2017年12月30日83
45 (362)イギリスの旗 レディ・アントニア・フレーザーCH, DBE, FRSL著述家2017年12月30日90
46 (363)カナダの旗 マーガレット・マクミランOM, CC, CH歴史学者2017年12月30日79
47 (364)イギリスの旗 リチャード・ヘンダーソンCH, FRS, FMedSci生物学者2018年6月9日77
48 (365)ニュージーランドの旗 デイム・キリ・テ・カナワONZ, CH, DBE, ACオペラ歌手2018年6月9日79
49 (366)カナダの旗 マーガレット・アトウッドCC, OOnt, CH, FRSC, FRSL著述家2018年12月29日83
50 (367)イギリスの旗 マクローリン男爵パトリック・マクローリンCH, PC政治家2019年9月10日65
51 (368)イギリスの旗 サー・エルトン・ジョンCH, CBE音楽家2019年12月28日76
52 (369)イギリスの旗 サー・キース・トーマスCH, FBA, FLSW, FRHistS歴史学者2019年12月28日90
53 (370)イギリスの旗 サー・ポール・スミスCH, CBE, RDIファッションデザイナー2020年10月10日76
54 (371)イギリスの旗 サー・デイヴィッド・チッパーフィールドCH, CBE, RA, RDI, RIBA建築家2020年12月31日69
55 (372)イギリスの旗 サー・ポール・ナースOM, CH, FRS, FMedSci, HonFREng, HonFBA, 遺伝学者2021年12月31日74
56 (373)イギリスの旗 バーケンヘッドのフィールド男爵フランク・フィールドCH, PC, DL政治家2021年12月31日80
57 (374)イギリスの旗 サー・クェンティン・ブレイクCH, CBE, FCSD, FRSL, RDIイラストレーター2022年6月1日90
58 (375)イギリスの旗インドの旗 サー・サルマン・ラシュディCH, FRSL著述家2022年6月1日75
59 (376)イギリスの旗 デイム・マリナ・ワーナーCH, DBE, FRSL, FBA著述家2022年6月1日76
60 (377)イギリスの旗 サー・マイケル・マーモットCH, FRCP, FFPM, FMedSci, FBA学者2022年12月31日78
61 (-)2022年7月2日のピーター・ブルックの死後、空位
62 (-)2022年7月26日のジェームズ・ラブロックの死後、空位
63 (-)2022年12月8日のグラフアムのヤング男爵デイビッド・ヤングの死後、空位
64 (-)2022年12月10日のデイム・ベリル・グレイの死後、空位
65 (-)2023年4月13日のデイム・マリー・クヮントの死後、空位

名誉会員

会員番号[n 1] 名前 ポストノミナル 職業 授与年月日 年齢
1 (261)インドの旗 アマルティア・センCH, FBA経済学者2000年5月11日89

脚注

注釈

  1. 括弧内は創設以来の授与順

出典

  1. “A New Order”. The Times: p. 7. (1917年8月25日). http://www.thetimes.co.uk/tto/archive/article/1917-08-25/7/12.html
  2. The Monarch of the Today > Queen Ann arbor to the new one w public > Honours > Companions of Honour”. Royal.gov.uk. 2011年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月3日閲覧。
  3. The honours system: Types of honours and awards”. UK Government (2016年8月22日). 2016年8月31日閲覧。
  4. "No. 30250". The London Gazette (Supplement) (英語). 24 August 1917. p. 8799.
  5. McCreery, Christopher (2005a). The Canadian Honours System. Toronto: Dundurn Press. p. 100. ISBN 978-1-55002-554-5. https://books.google.com/books?id=eQZ-db0k1jAC&q=The%20Canadian%20Honours%20System&pg=PA1
  6. Rayment, Leigh. Companions of Honour”. 2008年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月7日閲覧。
  7. Barbour, Lucy (2020年12月20日). “Doug Anthony, former Nationals leader and deputy prime minister, dies aged 90”. ABC News (Australia). https://www.abc.net.au/news/2020-12-20/former-deputy-prime-minister-doug-anthony-dies/12590524 2020年12月20日閲覧。
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