カレリア (シベリウス)
『カレリア』(Karelia, フィンランド語:Karjala)は、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウスの管弦楽作品。当初は劇音楽として作曲された。その後、1曲の序曲と8曲からなる組曲とし、組曲はさらに3曲に絞られ、現在にいたる。
作曲の経緯
「カレリア」序曲 作品10
組曲と比較して演奏の機会は少ない。中間部に組曲の第1曲「間奏曲」と共通の主題が現れる。
「カレリア」組曲 作品11
映像外部リンク | |
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Jean Sibelius - Karjala süit op.11 - サーシャ・マキラ指揮エストニア国立交響楽団による演奏。 エストニア音楽アカデミー(EMTA)公式YouTube。 |
3曲から構成される。シベリウスの管弦楽曲のうち比較的よく演奏される作品で、第3曲「行進曲風に」は単独で演奏されることも多い。
劇音楽版の復元
1893年の初演後まもなく、シベリウス自身はこの曲の譜面を廃却したが、初演を担当したヘルシンキ交響楽団の首席指揮者であったロベルト・カヤヌスが、自筆譜の一部などを保存していた。後年、フィンランドの作曲家カレヴィ・アホによって不足分の譜面が補筆され、1997年にBISレコードによって全曲が世界初録音された(CD:BIS-CD-915)。それによると、作品全体は序曲および全8幕(第7幕と8幕は続けて上演)10曲で構成され、途中2曲で声楽が導入されている(第1幕で男性民謡歌手による重唱、第4幕でバリトン独唱=組曲版の第2曲に相当)。なお、この序曲は作品10とほぼ同一であるが、劇音楽の方が概してテンポ指定が速いなど、若干の違いがある。
楽器編成
- 序曲 ― フルート2、ピッコロ1、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、シンバル、大太鼓、トライアングル、タンブリン、弦5部
- 組曲 ― 序曲の編成にコーラングレ(ホルンで代用してもよいとされているが、実際に代用されることはほとんどない)とシンバルが加わる。
原曲の劇音楽版では、男性民謡歌手重唱とバリトン独唱が入る。(バリトンの代わりに組曲版で用いられる)コーラングレは用いられない。
演奏時間
- 序曲 ― 約10分
- 組曲 ― 第1曲:約3分、第2曲:約7分、第3曲:約4分、計:約14〜15分
- 劇音楽 ― BISによる録音では約50分
脚注
- 『シベリウス生涯と作品』209頁
参考文献
- 『作曲家別解説ライブラリー18 北欧の巨匠』(音楽之友社)
- 『シベリウス生涯と作品』(1967年 菅野浩和)
- BIS-CD-915 ライナーノーツ(劇音楽版)
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