オリヅルラン
オリヅルラン(折鶴蘭、Chlorophytum comosum)は、キジカクシ科オリヅルラン属に属する常緑多年草。観葉植物としてよく栽培される。
オリヅルラン | ||||||||||||||||||||||||
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オリヅルラン | ||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Chlorophytum comosum (Thunb.) Jacques[1] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Spider plant |
形態・生態
葉は根出状で、細長く大株になると4、50cm程になる。色は緑色で、柔らかく艶がない[2]。原種には基本的に斑が無いが、園芸分野においては斑入りのものが非常に多く栽培される。品種は斑(ふ)の入る場所により葉の縁が白い外班をソトフオリヅルラン(外斑折鶴蘭。葉は中斑のものより固めであり強健[3]。ランナーの色は緑。)、葉の中央が白い中斑をナカフオリヅルラン(中斑折鶴蘭。葉はソトフオリヅルランより柔らかめ。ランナーの色は白。)と呼んでいる(以前はソトフオリヅルランが主流であったが、近年はナカフオリヅルランが主流。)(他の園芸品種としては、葉が強くカールするボニー、中斑を持ち葉がとても広くなるナカフヒロハオリヅルランなどがある。)。根は太い。班の色は株の栄養状態に左右され、貧栄養状態では白、富栄養になると黄色や黄緑色になる。
ある程度成長すると細長い花茎を高くのばし、白い花がその複数箇所でまばらに咲く。その後花序に不定芽ができて花柄は栄養繁殖を行うランナー(匍匐茎)となり、新しい株を作る[4]。この株の様子が折り鶴に似ていることから名付けられた(海外では、蜘蛛を思われる事からSpider Plantと呼ばれている。)。ランナー及び花は一年中発生する。
なお、オリヅルランは単体で種子まで作る事ができ、花が咲いた後は、受粉し、栄養状況等に問題が無ければ、発芽可能な種子が出来る。(この種子から発芽したオリヅルランは、親が斑入りでも斑入りでないものである事が多い。)
乾燥には非常に強く、太い根の中に水分を蓄えているので葉が全て枯れる程乾燥させても水を与えればまた新芽を出す事ができ、過加湿な環境においても根腐れがおきにくい。ただし、水分が不足すると葉の先端から枯れてくるので見栄えは悪くなる。害虫ではカイガラムシに注意が必要である。ランナーでよく増え、丈夫で栽培が容易なことから観葉植物として、またグラウンドカバーとしても使用される。
1984年にNASAが行った実験では、空気中のホルムアルデヒドを葉に吸着する能力が高く、室内の空気清浄効果があることが示された[5]。(他にもキシレン及びトルエンの除去効果が示されている[6]。)
注と出典
- “C. comosum”. GRIN Taxonomy for Plants. 2012年8月13日閲覧。
- ただし、他観葉植物一般と同様に、鉢物にしてケイ素肥料(シリカゲル等)を多めに用いると、葉がやや固くなり、また葉がよく立つようになり、また葉に光沢が出る。
- 葉の中央脈周辺で光合成が行われるため、その周辺へのホウ素、ケイ素、カルシウム等の蓄積及び固定化が発生して当該部分の組織が強固になるため(細胞壁の強化、クチクラ層周辺でのケイ化細胞層の発生等による。)。
- 基本的には花の咲いた所に子株が出来る。よって、子株が成長してきた際にランナーの根元から切らず、先端の子株の近くで切ってやると、一つのランナーから複数の子株を順々に取る事が出来る(なお、子株がある程度成長すると、ランナーを切らずに子株部分のみをもぎ取る事が出来る。この場合、先端の子株を残して途中の子株を取るというような事が出来る。)。なお、ランナーは、株が成長し栄養状態が良いと、枝分かれをしていく事もあり、またランナーに付いた子株から更にランナーと子株が生じる事もある。また、ランナーに子株が生じてから子株が成長すると、ランナーに付いたまま出根する(空中で生じたこの根には表面に細かい毛が生えており、ある程度の乾燥にも耐えられる。また水が根の一部に接していると毛によって濡れが根に広がっていく性質がある。)。
- B. C. Wolverton, Rebecca C. McDonald and E. A. Watkins, Jr.. “Foliage Plants for Removing Indoor Air Pollutants from Energy-Efficient Homes”. Economic Botany .
- NASA空気清浄研究