オランダ美術

オランダ美術英語: Dutch art)とは、オランダの独立以後の美術をいう。オランダ独立以前の美術は一般に「フランドル美術」と呼ばれる[1]。そのため、「オランダ美術」はオランダの独立以後の美術を指すことが多く、本項でも17世紀初頭の独立以降の美術について述べる。

『ローヌ川の星月夜』ゴッホ

オランダ黄金時代の絵画

牛乳を注ぐ女』フェルメール

オランダ黄金時代の絵画とは、オランダが世界的な影響力を持っていた、ネーデルラント諸州の独立戦争である八十年戦争(1568年から1648年)の終わりから17世紀(オランダ黄金時代)を中心として、オランダ人画家たち、あるいはオランダで活躍した外国人画家たちによって描かれた絵画のことである。日本で「オランダ絵画」と呼称される絵画は、この時代に描かれたものをさすことが一般的である。八十年戦争でスペインからの独立を宣言したネーデルラント連邦共和国は当時のヨーロッパで最も富裕な国で、貿易、学問、芸術の最先端国家だった。連邦共和国を構成した北部の州は、南部の州に比べると芸術分野で優っているとはいえなかった。しかし戦争による混乱と住民の大規模な移動はそれまでの君主制やカトリック的伝統の破壊につながり、オランダ芸術はこれらの大きな変革の結果、素晴らしい成果となって結実した。

オランダ黄金時代の絵画はヨーロッパ全体でみるとバロック絵画の時代と合致し、なかにはバロック絵画の特徴がみられるものもある。しかし、バロック絵画の典型的な特徴である対象の理想化や壮麗な画面構成はほとんどなく、隣国であるフランドルのバロック絵画の影響も見られない。この時代に制作された有名なオランダ絵画の多くは、伝統的な初期フランドル派から引き継いだ細部にわたる写実主義の影響を強く受けている。

この時代の絵画を最もよく特徴づけるのは、それまでになかったジャンルの絵画が制作されたことであり、画家の多くがさまざまなジャンルに特化して絵画を描いた。このようなジャンルの専門化は1620年代後半に始まっており、1672年のフランスのオランダ侵略までが、オランダ黄金時代絵画の最盛期となった。

オランダ黄金時代の主な画家には、ヨハネス・フェルメールレンブラント・ファン・レイン などがいる[3][4]

19世紀

フィンセント・ファン・ゴッホ

ハーグ派

ハーグ派とは、1860年から1890年までの間にオランダハーグで活動した画家たちの呼び名である。フランスバルビゾン派による写実主義に大きな影響を受けている。ハーグ派の画家たちは、くすんだ色合いを多用する傾向にあったことから、「灰色派 (Grijze School)」と言われることもある。

フィンセント・ファン・ゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホは、19世紀のオランダポスト印象派画家である[5]。主要作品の多くは1886年以降のフランス居住時代、特にアルル時代(1888年 - 1889年5月)とサン=レミでの療養時代(1889年5月 - 1890年5月)に制作された。感情の率直な表現、大胆な色使いで知られ、ポスト印象派を代表する画家である。フォーヴィスムドイツ表現主義など、20世紀の美術にも大きな影響を及ぼした。

出典

  1. Flemish art”. britannica. 令和3年7月4日閲覧。
  2. Girl with a Pearl Earring (英語). britannica. 2021年7月4日閲覧。
  3. Johannes Vermeer”. britannica. 2021年7月4日閲覧。
  4. Rembrandt (英語). britannica. 2021年7月4日閲覧。
  5. Vincent van Gogh”. 2021年7月4日閲覧。
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