エテジアン

エテジアンギリシア語:meltemiμελτέμι〉、トルコ語:meltem:Etesian)とは、ギリシャトルコエーゲ海沿岸地域で季に吹く、乾燥した強い北風のこと。エテジア、エテジア風とも言う。

地表付近では、図左のヨーロッパ中部の高気圧からは時計回りに風が吹き出し、図右のアナトリア半島低気圧には反時計回りに風が吹き込み、それらの中間では北風となる

夏になると、バルカン半島やヨーロッパ中部に高気圧、トルコ(アナトリア半島)に低気圧が発生しやすくなる。これは、の日本付近と似た西高東低の配置であり、高気圧と低気圧の間では強い北風が吹くことになる。これがエテジアンである。アドリア海イオニア海沿岸でも同様の風が吹く。エーゲ海北部ではおもに北東、中部では北、クレタ島などの南部では北西の風となることが多い。

5月中旬から9月中旬にかけての間発生する。夏の暑い日、晴天にもかかわらずエテジアンの強風が吹き荒れる日も多々ある。1日のうちでは午後の時間帯が最も強く、間は収まることが多いが、1日中吹き続けることもある。一般的に、強風の吹き始めには雲が出るなどの予兆がみられるが、エテジアンの場合は快晴でも吹き荒れる場合が多く、船乗りにとっては危険な風として知られている。エテジアンの風は最大で風力7~8(約14~21 m/s)程度に達し、ヨットなどは危険のため航行ができなくなる。

大陸部の空気発祥の風であるため乾燥しており、山越えによるフェーン現象も加味されて北風であるにもかかわらずあまり寒くない。むしろ高温の場合が多く、乾燥しているため山火事を誘発する。一方、エーゲ海南端のキプロスでは、エテジアンが水蒸気を含んで変質し、湿った風になる。

「エテジアン」の名称は古代ギリシャ語でέτος (étos、1年中)吹き続ける風、つまり恒常風を意味する"ετησίαι"に由来する。そのラテン語表記etesiaeが英語名etesianとなり、日本語名として使われている。トルコ名meltemは、イタリア語mal tempo(悪天候)からきた借用語である。

地中海東部で広く発生する夏の季節風であり、地中海性気候を特徴づける要素の1つである。地中海性気候を"etesian climate"(エテジアン気候)と呼ぶこともあるほど。

出典

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