アーセナル・ウィメンFC

アーセナル・ウィメン・フットボール・クラブ (英語: Arsenal Women Football Club) は、イングランドロンドンを本拠地とする女子サッカークラブ。アーセナルFCの系列クラブのひとつ。2011年からは新規発足したウィメンズ・スーパーリーグに所属している。

アーセナル・ウィメンFC
原語表記 Arsenal Women Football Club
愛称 ガナーズ (The Gunners)
クラブカラー    
   
創設年 1987年
所属リーグ WSL
ホームタウン ロンドン
ホームスタジアム
メドウ・パーク
収容人数 約4,500
代表者 イギリスの旗 ヴィナイ・ヴェンカテシャム(CEO)
監督 スウェーデンの旗 ヨナス・エイデヴァル
公式サイト 公式サイト
ホームカラー
アウェイカラー
サードカラー
■テンプレート(■ノート)■サッカークラブPJ

歴史

リーグ・FA杯・リーグ杯を囲んで (2009年)

1987年、アーセナルFCの用具監督であるヴィック・エイカーズ (Vic Akers) によって設立された。設立当初はアマチュアチームであったが、2002年よりセミプロフェッショナルチームとなった。エイカーズは同クラブの初代監督に就任し、2009年、用具監督の職務に専念するため退任するまでの22年間同クラブの指揮を取った。1991-92シーズン、アーセナルはイングランド女子リーグカップ (FA Women's Premier League Cup) で優勝し、初めてのタイトルを獲得した。1992年にFA女子プレミアリーグが開幕した時、アーセナルは初年度から参入し、参入初年度を優勝という成績で終えた。2008-09シーズン終了までの間に、16のリーグタイトルのうち11を獲得し、そして3回準優勝した[1]

2009シーズンまでに、アーセナルはFA女子カップ (FA Women's Cup) で10回、FA女子プレミアリーグカップで10回優勝し[1]、うち5度 (1994-95, 2003-04, 2005-06, 2006-07, 2007-08) 、FA杯とリーグ杯の2冠を達成した。またUEFA女子カップにイングランド代表として6度出場し[注釈 1]、2002-03シーズンおよび2004-05シーズンはベスト4の成績を修めた。

2006-07シーズンには、国内タイトル3冠を達成した[注釈 2]のみならず、UEFA女子カップにおいてもスウェーデンウメオIKに合計1-0の成績で勝利して優勝。アーセナルはイングランドのクラブで初めての欧州チャンピオンとなった。当時のアーセナルはアマチュアチームであり、所属選手の殆どはフルタイムで仕事をしながらサッカーに打ち込んでいた、一方ウメオは選手全員がプロフェッショナル契約を結んでいたクラブであった[3]。この結果が認められて、アーセナルとエイカーズは2007シーズンSJA(英国スポーツジャーナリスト協会)スポーツ賞の委員会賞を受賞した[4]

2007-08シーズンはリーグ及び女子FAカップの2冠を達成した[注釈 3]が、UEFA女子カップでは準決勝でオリンピック・リヨンに敗れて敗退し、FA女子プレミアリーグカップでは決勝戦でエヴァートンLFCに敗れた。

2008-09シーズン、アーセナルの2003年10月16日(チャールトン・アスレティックWFCに敗北した日)から続くリーグ戦無敗記録[5]が108試合で終了した。2009年3月29日、アーセナルはホームでエヴァートンLFCに0-3のスコアで敗北した[6]。また2005年11月から2008年4月までの間に、51のリーグ戦を引き分けの結果で終えている[7]

2008-09シーズンはリーグ・リーグ杯・FA杯で3冠を達成。リーグでは、優勝のためには勝利する事が必須であるという条件下[8]において、最大のライバルであったエヴァートンLFCに1-0で勝利し、タイトルを勝ち取った。この試合はエイカーズの監督として最後の試合となった。

エイカーズ退任後、トニー・ジャーヴィス (Tony Gervaise) が第2代監督に就任したが、8ヵ月後の2010年2月11日、ジャーヴィスはアカデミー(下部組織)のディレクター職への就任に伴い辞任、後任にはU-19イングランド代表コーチだったローラ・ハービーが就任した[9]

2011年よりアーセナルはプレミアリーグに代わる最上位リーグとして新規発足したFA WSLに参加。同年、リーグタイトル、FAカップ、コンチネンタルカップ(FA WSLカップ)の国内三冠を達成した。2012年にはリーグとWSLカップの二冠を獲得。2013年にはFAカップとWSLカップを獲得したが、リーグでは過去10年で初めて、クラブ史上でも過去1度しかない3位という成績に終わった[10]。2014年はFAカップで連覇を達成したものの、リーグ戦では開幕から4試合で勝ち点を1しかとれないなど不調を極め、過去最低を更新する4位に終わった。

2017年7月、チームの名称が「アーセナル・レディースFC」から「アーセナル・ウィメンFC」へと変更された[11][12]

男子のトップチーム同様にリザーブチームを保有しており、主にアカデミー在籍中の選手が所属している。リザーブチームはFA女子プレミアリザーブリーグで4度優勝し、FA女子プレミアリザーブリーグカップでも5度優勝を経験している。

タイトル

国内

  • FA女子スーパーリーグ:3回(2011、2012、2018-19)
  • FA女子プレミアリーグ:12回(1993、1995、1997、2001、2002、2004、2005、2006、2007、2008、2009、2010)
  • FA女子リーグカップ:6回(2011、2012、2013、2015、2017-18、2022-23)
  • FA女子カップ:14回(1992-93、1994-95、1997-98、1998-99、2000-01、2003-04、2005-06、2006-07、2007-08、2008-09、2010-11、2012-13、2013-14、2015-16)
  • FA女子プレミアリーグカップ:10回(1992、1993、1994、1998、1999、2000、2001、2005、2007、2009)
  • FA女子コミュニティシールド:5回(1999-2000、2001-2002、2005-2006、2007-2008)
  • ロンドン・カウンティFA女子カップ:10回(1995、1996、1997、2000、2004、2007、2008、2009、2010、2011)
  • AXAチャレンジカップ:1回(1998-99)
  • ナショナル・リーグ・サウス:1回(1998-99)
  • ハイフィールド・カップ:1回(1990-91)
  • リーボック・カップ:2回(1991-92、1995-96)

国際

シーズン成績

シーズンリーグ勝点順位チーム数FAカップリーグカップ[注 1]UWCL
2001-02 FA女子プレミアリーグ・
ナショナルディヴィジョン
1816116015491位10準々決勝敗退準決勝敗退CL準々決勝敗退
2002-03 1813145321403位10準決勝敗退準優勝CL準決勝敗退
2003-04 1815216511471位10優勝準決勝敗退--
2004-05 1815305713481位10準決勝敗退優勝CL準決勝敗退
2005-06 1816208320501位10優勝準優勝CL準々決勝敗退
2006-07 22220011910661位12優勝優勝CL優勝
2007-08 2220208515621位12優勝準優勝CL準々決勝敗退
2008-09 2220118914611位12優勝優勝CL準々決勝敗退
2009-10 2220117919611位12準優勝準決勝敗退CL準々決勝敗退
2011 FA WSL141022299321位8優勝優勝CL準決勝敗退
2012 1410403918341位8準決勝敗退優勝CL準決勝敗退
2013 1410313111303位8優勝優勝CL準決勝敗退
2014 FA WSL 1146352421214位8優勝準優勝--
2015 148332113273位86回戦敗退優勝--
2016 1610243314323位9優勝準決勝敗退--
2017

スプリングシリーズ

8530229183位96回戦敗退---
2017-18 1811433818373位10準優勝優勝--
2018-19 FA WSL2018027013541位115回戦敗退準優勝--
2019-20[注 2] 1512034013363位12準決勝敗退準優勝CL準々決勝敗退
2020-21 2215346315483位12準優勝GS敗退--
2021-22 2217416510552位12準決勝敗退準々決勝敗退CL準々決勝敗退
2022-23 WSL125回戦敗退優勝CL準決勝敗退
  1. 2009-10シーズンまではFA女子ナショナルリーグカップ、2011シーズンからはFA女子リーグカップ
  2. 2019-20シーズンはコロナ禍により中断、中断時までの公式記録がシーズンの記録となった。

現所属メンバー

2023年1月18日[13]現在

注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。

No. Pos. 選手名
1 GK オーストリア マヌエーラ・ツィンスベルガー
2 DF ブラジル ラファエル・スーザ
3 DF イングランド ロッテ・ウッベン=モイ
5 DF スコットランド ジェニファー・ビーティ
6 DF イングランド リア・ウィリアムソン
7 DF オーストラリア ステフ・キャトリー
9 FW イングランド ベス・ミード
10 MF スコットランド キム・リトル キャプテン
11 FW オランダ フィフィアネ・ミデマー
12 MF ノルウェー フリーダ・マーナム
13 MF スイス リア・ウェルティ
14 GK カナダ サブリナ・ダンジェロ
No. Pos. 選手名
15 FW アイルランド ケイティ・マッケイブ
16 DF スイス ノエル・マリッツ
17 FW スウェーデン リナ・ハーティグ
18 GK アメリカ合衆国 ケイラン・マルケス
19 FW オーストラリア ケイトリン・フォード
20 FW ブラジル ジョバナ・ケイロス
21 MF オランダ ビクトリア・ペロワ
22 MF デンマーク カトリーヌ・モラー・キュール
25 FW スウェーデン スティナ・ブラクステニウス
26 DF オーストリア ラウラ・ヴィーンロイター
29 DF イングランド テヤ・ゴールディ

ローン移籍

out

注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。

No. Pos. 選手名
4 DF イングランド アンナ・パッテン (アストン・ヴィラ, 2022-23シーズン終了時まで)
23 MF 日本 岩渕真奈 (トッテナム, 2022-23シーズン終了時まで)
24 GK イングランド フラン・ステンソン (バーミンガム・シティ, 2022-23シーズン終了時まで)

歴代所属選手

所属日本人選手

スタジアム

ハートフォードシャーボーハムウッド (Borehamwood) に所在するメドウ・パーク (Meadow Park) をナショナルリーグに属するボレアム・ウッドFCと共有しており、ここでホームゲームの殆どが行われる。観客席数は4,502席あるが、リーグ戦の殆どにおける観客動員数は1,000人を超えることはない。 ホームゲームのうち、UEFA女子チャンピオンズリーグの試合はセント・オールバンズ・シティFCのホームスタジアムであるクラレンス・パーク (Clarence Park) で行われる。ロンドン・カウンティFA女子カップやリザーヴチームの試合はポッターズ・バー・タウンFCのホームスタジアムであるパークフィールド (Parkfield) で行われる。アーセナルFC側のホームスタジアムであるアーセナル・スタジアム (2005-06シーズンまで) やエミレーツ・スタジアムでの試合開催権も与えられている。

アーセナルFCとの関連

アーセナルFCからの全面的後援を得ている。同クラブ前副会長のデイヴィッド・デインは、2007年4月18日に退任するまで、レディース側の会長職にあった。デインの後任にはマネージング・ディレクターのキース・エデルマンが就任し、2008年5月1日まで会長を務めた。

選手の何人かはクラブに雇用されており、レディースやアカデミーの発展と統合に寄与している。エミレーツ航空アディダスなど主要スポンサーはレディースチームにおいてもスポンサーを務めている。

脚注

注釈

  1. UEFA女子カップ時代は、前年度優勝クラブ以外は、各国リーグ、国内リーグを持たない場合はカップ戦の優勝クラブのみに出場資格が与えられていた。
  2. リーグでは、全22試合あったリーグ戦で全勝し、通算119得点を挙げての優勝だった[2]
  3. リーグ戦は全22試合中20勝2分、女子FAカップ決勝戦では、対戦相手のリーズ・ユナイテッドLFCを4-1で破っての優勝。

出典

  1. Arsenal Ladies Honours”. アーセナルFC公式サイト. 2010.4.23 12:31 (UTC)閲覧。
  2. FA Women's Premier League women.soccerway.com 2010.4.23 12:20 (UTC) 閲覧
  3. Tony Leighton, Arsenal boss hails Uefa Cup win BBC Sport 2007.4.29付記事
  4. Sports Journalists' Awards 2007”. sportsjournalists.co.uk. 2010.4.23 12:08 (UTC)閲覧。
  5. Ladies complete unbeaten League century アーセナルFC公式サイト 2008.10.22付ニュースリリース
  6. Arsenal Ladies' unbeaten run finally ended アーセナルFC公式サイト 2009.3.30付ニュースリリース
  7. The invincibles”. ガーディアン. 2010.4.23 12:27 (UTC)閲覧。
  8. Winner takes it all FA公式サイト 2009.5.9付ニュースリリース
  9. Laura Harvey becomes Arsenal Ladies manager アーセナルFC公式サイト 2010.2.11付ニュースリリース
  10. Arsenal miss Champions League next seasonfutaa.com、2013年9月18日(2014年5月23日閲覧)。
  11. Important update from our women's teamアーセナルFC公式サイト(2017.7.28付)、2018年9月15日閲覧。
  12. Women's Super League One: Arsenal drop 'Ladies' from nameThe BBC(2017.7.28付)、2018年9月15日閲覧。
  13. Women | Arsenal.com”. www.arsenal.com. 2023年1月18日閲覧。

関連項目

外部リンク

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