アオスジアゲハ
アオスジアゲハ(青条揚羽、学名:Graphium sarpedon)は、アゲハチョウ科アオスジアゲハ属に分類されるチョウの一種。都市周辺でもよく見られ、公園、街路樹、照葉樹林などに生息する。クロタイマイともいう。
アオスジアゲハ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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日本亜種 G. s. nipponum | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Graphium sarpedon Linnaeus, 1758 | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Common Bluebottle | ||||||||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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形態・生態
成虫の前翅長は 30-45 mm ほど。翅は黒色で、前翅と後翅に青緑色の帯が貫いている。この帯には鱗粉がなく、鮮やかなパステルカラーに透き通っている。ごくまれに、青帯をまったく欠く変異個体が発見されることがある。翅斑は雌雄ともによく似ているため、雌雄の同定は生殖器で判断するのがよい。複眼がよく発達していて、昆虫の中では最も多くの色を識別できる[2]。
成虫の出現期は5-10月。年3-4回発生する。飛び方は敏捷で飛翔力が高く、樹木や花のまわりをめまぐるしく飛び回っていることが多い。雄は初夏から夏にかけて水辺に吸水集団を形成する。アゲハチョウ類としては珍しく、静止時には通常、翅を閉じて止まるが、翅を開いて止まることがないわけではない。
幼虫の食草はクスノキ科植物(クスノキ、タブノキ、シロダモ、ヤブニッケイなど[3])の葉である。
蛹はクスノキの葉を似せた形状をしている。一般のアゲハチョウ類と違い、幹ではなく葉に蛹を形成する。越冬態は蛹。
- アオスジアゲハ
- アオスジアゲハ
- 舗道で羽を広げた姿
- 吸水
分布
東アジア、東南アジア、オーストラリア北部の広い範囲に生息し、15の亜種に分かれる。日本では G. s. nipponum (Fruhstorfer, 1903)[4] が本州以南に分布するが、南方を起源とするチョウなので、本州中部以北ではそれほど多くなく、東北地方南部あたりが北限とされており、北海道にはいない。この亜種は日本のほか朝鮮半島にも分布する。
熱帯性である Graphium 亜属の中で、北半球の温帯に分布を拡大しているのは、わずかにアオスジアゲハとミカドアゲハの2種である[5]。
アオスジアゲハ属
アオスジアゲハ属(学名: Graphium)は東南アジアを中心に分布しており、5亜属に分かれ、主に次の種が属する。
- Graphium 亜属
- タイワンタイマイ Graphium cloanthus Westwood, 1841
- コドルスタイマイ Graphium codrus codrus (Cramer)
- オナガクロタイマイ Graphium empedovana Corbet, 1941
- ミロンタイマイ Graphium milon (Felder & Felder, 1864)
- アオスジアゲハ Graphium sarpedon (Linnaeus, 1758)
- セラムタイマイ Graphium stresemanni Rothschild, 1916
- ミイロタイマイ Graphium weiskei (Ribbe, 1900)
- コモンタイマイ Graphium agamemnon (Linnaeus, 1758)
- ミカドアゲハ Graphium doson (C.Felder & R.Fedler., 1864)
- Arisbe 亜属
- オナガコモンタイマイ Graphium antheus (Cramer, 1779)
- コオナガコモンタイマイ Graphium policenes (Cramer, 1775)
- アフリカマダラタイマイ Graphium leonidas (Fabricius, 1793)
- アダマストールタイマイ Graphium adamastor (Boisduval, 1836)
- アガメデスタイマイ Graphium agamedes (Westwood, 1842)
- アカネタイマイ Graphium pylades
- ベニモンタイマイ Graphium ridleyanus (White, 1843)
- Paranticopsis 亜属
- Pathysa 亜属
- アゲテスオナガタイマイ Graphium agetes Westwood, 1841
- オナガタイマイ Graphium antiphates Cramer, 1775
- オオオナガタイマイ Graphium androcles Boisduval, 1836
- ゴマダラタイマイ Graphium delesserti palawanus Guérin
- デゥカリオンタイマイ Graphium deucalion (Boisduval, 1836)
- シロマダラタイマイ Graphium encelades Boisduval, 1836
- Pazala 亜属
脚注
- Bains, T., Moonen, J. & Peggie, D. 2021. Graphium sarpedon. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T160215A821002. doi:10.2305/IUCN.UK.2021-2.RLTS.T160215A821002.en. Accessed on 05 July 2022.
- 黒田悠希 (2016年3月28日). “アオスジアゲハ 昆虫最多の色センサー 総研大など解明”. 産経新聞. 2022年7月5日閲覧。
- 『昆虫の食草・食樹ハンドブック』、20頁。
- “日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2011年8月20日閲覧。
- 『アゲハチョウ科の系統進化と生物地理』 p.20 4. アゲハチョウ科の系統分類の生物地理学への応用 (pp.17-21)