β鉄
概要
純鉄にはA2点(770℃)、A3点(912℃)、A4点(1394℃)の3つの変態点があるが、結晶構造解析が未発達だった時代では、A2点以下の強磁性体の鉄をα鉄(フェライト)、A2点以上A3点以下である常磁性体の鉄をβ鉄、そしてA3点以上A4点以下の鉄をγ鉄、A4点以上の鉄をδ鉄としていた。しかしその後の解析で、α鉄・β鉄は両方とも同じ体心立方格子構造をとる、すなわちA2点においては相変態が起こっておらず、α鉄とβ鉄の結晶構造は同じであるということがわかった。このような経緯で現在ではβ鉄はα鉄に統一されたため、『β鉄』という用語は用いられておらず、α鉄の次の相はβを飛ばしたγ鉄となっている。
なお、A2点は純鉄におけるキュリー温度で、鉄の磁性が変化する。
出典
- 石田 四郎・和田 次郎、『新制 機械材料』増補第1版、オーム社、1957、84頁
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